《高校生男子による怪異探訪》4.奇病とイジメ
脅威のイケメンバトルから數日、やはり樹本・嵩原の諍いは多數の注目を引いたようで校に噂話として広まってしまった。
あることないこと尾ひれ背びれが付著して生徒の間を飛びう噂話なのだが、そんな噂話の中でも気になるのが『樹本の姉は例の奇病に罹って倒れた』というものだ。これ絶対嵩原の所為だろ。
奇病自半信半疑の域を出ていないってのに、噂ではさもそれが真実みたいに語られてて樹本本人に影響が及んでいる。
あれだ、小學生なんかが〇〇菌~とか言ってハブったり個人攻撃するあれ。奇病に罹ったのいる樹本に関わると、自分も病気になるとかなんら拠のない差別発言かます奴が出て來ているのだ。
勿論病気を忌避して自衛に勵むことを否定したりはしない。
インフルエンザ等の染を防止するため、他人との接を一時的に制限するなど、防疫という観點からして有益な手法ならそりゃ実行した方がいいだろう。結局、染のある病気は他人との接をなくすことが一番の防疫だからな。
だが、今回の奇病に関してはそもそもが実在自が妖しく、現狀噂の域を出ていない。
そして染の病気かも分からず接を制限することに意義があるのかもはっきりしていないのだ。
そんな中でまるで樹本が病原菌かのように扱うことに果たして正當なんてあるのか?
そもそも、そうして糾弾している形で樹本に悪口ぶつけてる奴らは、揃ってニヤニヤと小馬鹿にした笑いを顔に浮かべているのだからその本旨が何かなどお察しだろう。
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高校生が小學生レベルの嫌がらせを嬉々として行っている姿は、傍から見ていて失笑ものでしかない。
そういう奴らに限ってこそこそそこらに屯して聞こえるように悪口を言うのだから険極まる。というか非常に邪魔。
教室の出り口付近とか渡り通路の差點とか、果ては廊下で広がって通り掛かる樹本の傍で、聞くに堪えない暴言ぶつけたりと通行そのものの障害化してたりすんだけどなんなの?
ただでさえ見苦しいのに理的にも他人の邪魔するって一何がしたいのか。周囲の人間が迷そうに睨んでいるのに、當人たちは樹本をめるのが楽しいからかそんな視線気付きもしない。
俺も何度かそういった邪魔してる連中には「邪魔だから」と、直接文句言って散らしたりしてるんだが一向に改善が見られないのがもうねぇ。
向こうは集団だから、ソロの俺に強気で聲荒げたりしてくるけどこっちだって苛ついてるんだ。文句あんのかと睨み付けてやればそそくさどっか行くのだから大概がない。
俺もどちらかと言えばヘタレで平和主義者だから喧嘩とか好きくないけど、流石に日常で邪魔してくる輩相手には黙ってもいられない。本當通行の邪魔。道幅一杯に広がってちんたらチャリ漕いでる學生並に奴らは鬱陶しい。
最近は、俺にまでヘイト溜まってるような気配が見られるが知ったことじゃない。これまで誰一人俺に一人で言い返して來た奴がいないのだから所詮そんなものなのだろう。
いっつも誰かと連んでは聲合わせて文句言うのも一緒。男子が揃いも揃ってまるで子みたいに肩寄せ合って、ニヤニヤ笑ってるのって本當絵面が酷いからな。とても見られたものじゃない。
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そう、樹本に文句言ってるのが極一部の男子のみってのも事態のけなさを演出している。つまる所、樹本に嫌がらせを行っている輩は嫉妬を機としてここぞとばかりに攻撃を加えているんだ。
樹本は年だ。に見える年だ。その上禮儀正しく穏やかな気質も相俟って、當然けはこれ以上ないほどに良い。
そんな樹本を元から面白くないと思っていた輩共は、都合よく湧いて出た攻撃材料である奇病云々の噂にこれはいいと飛び付いた訳だ。自の面白くないという気持ちと、上手くすれば樹本を排除出來るかもしれないというを昇華させるためいたと。実態はそんなけなくも理不盡なイジメだったのだ。
狙いが明けけな野郎共の嫌がらせだ、當然第三者としては何やってんだと辛辣な印象しか持たれない。
そもそも樹本は元々子からの人気が高い。そんな樹本に対して不穏な噂が流れたとして、果たして子が忌避など抱いたりするのか?
答えは否だ。確信のない噂話程度で樹本に対する好度など目減りはしない。寧ろ噂に乗っかってめてくる輩を、一部過激派子はこれでもかと敵視して排除に回った。
まぁ、極一部の男子VS樹本ファンの集合という図式がり立つよね。なので樹本の學校生活そのものはそこまで悲慘な様相を呈していない。
やっぱり子の集団は、男子のそれより遙かに厄介で恐ろしいものだなと心の底からじった。なるべくこれからも子の集団だけは敵に回さないよう気を付けよう。
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子の怖さを再認識したことはともかく、嵩原の奴もなんだってこんな爭いの種を蒔いたりしたのか。
長雨と不穏な噂で浮き足立った空気が校には蔓延っているというのに、そこに限定的且つ結果的にだが男子と子の対立を引き起こしたその行いは罪深い。
あいつなんでいきなり樹本に突貫して來たんだろうか。に病気になった人間がいるとか初対面で訊ねることじゃないよな。
樹本が不機嫌になったからっていうのもあるだろうが、質問後早々に辭去したのはやっぱりその問いが本命だったってことか。
意図はなんだ? 樹本を孤立させるのが狙い? 自分のライバルになりそうだから嵌めたとか?
嵩原の人となりなんてさっぱり知らないからなんとも言えん。罠に嵌めたっていうならとても最低。この時期にやることじゃなかろうて。これもまた推測でしかないから頭の片隅に『嵩原最低』と置いておくだけにするけど。
同じクラスという誼から俺は斷然樹本の味方だ。客観的に見ても悪いのは嵩原の方なので、これは決してモテ野郎が憎いとかそんな私怨なんかは込められてはいない。
この騒で嵩原の人気が下がってくれたら何より、いや、そんな個人的な願、いやいや、み、いやいやいや、私怨はない。ないったらない。ないのだ。
あくまで奇病は噂の域を出ない、そんな風に學校の騒ぎを靜観していたのだが、騒はこちらの楽観など端から無視するつもりであったようだ。
最悪なことに、雨で沈む我が地元に更なる兇報がもたらされた。
噂の段階を越えなかった奇病が実在すると斷定されたのだ。
事の始まりはいつも通りに生徒間での噂からだった。
三年生が一人暫く學校を休んでいる。三年という時期もあり長期に學校を休むのもあまりいいことではない。現在の狀況も相俟り、流石にどうしたのかと心配した友人が自宅へお見舞いに伺ったらしい。
対応してくれた母親は始めは口重く、會わせてくれと頼む友人の言葉に頑なに頷こうとしなかった。
しかし心の底から心配だと訴える姿にやがて口を開け、そして実は重い病気に罹って院してしまったと明かしたと言う。
この時期に院ともなれば脳裏に浮かぶのはあの奇病の噂だろう。その友人は純粋にただその生徒への心配から院した病院を聞き出し、見舞いへと向かった。
通された病室で友人が対面したのは、低い溫で昏々と眠り続ける噂通りの癥狀を発癥した生徒の姿だったという。
この話はその友人當人から聞き出したものらしい。虛したように元気のないその友人を心配した周囲の人間が聞き出し、そしてあっという間に學校全に広がった。
その友人としても院している生徒を気味悪がってといったことはなく、ただショックが酷くて聞かれるがまま答えてしまっただけらしいのだが、おかげで校は奇病に関する噂で持ち切りとなってしまった。
皆実在したのかと必死にこれまで流された病気についての真偽不明の話を囁き合っている。
罹りたくない。倒れたくない。その一心でどうにか病気への対抗策はないか、それを探っているのだろう。
そのに病気の発癥原因についてあーでもないこーでもないと語る一派も出始めた。そいつらは新種のウィルスだ、日照不足が原因だとこれまでのテレビ放送の容もえて講説振り、さもこれが正解だといったように持論をあちこちで話して回った。
テレビで語られるような科學的拠を基にした推論ならばともかく、果ては長く振り続ける雨と関連付け、この雨に當たるから病気になるのだと聲高にんで早退する生徒もいたとか。
はっきり言ってもう滅茶苦茶だな。
それでも罹らないようにと的な対処法を求める生徒たちはその考察に飛び付き、皆これが原因、あれが原因と日々論拠を変えながら必死になって病気についての噂を話し合った。
ちょっと前の流行り方など目でもない、皆が皆曇った空を見上げ病気について噂する。ちらちら上目遣いで空を眺める姿は、まるでお伺いを立てているようでうっすら背筋が寒くなったほどだ。
ここまでの混振りも中々のものがあったが、最悪なのはこの事実により樹本にまで大層な煽りがいってしまったことだ。
話は簡単であの小學生の嫌がらせが真実のものとして周囲に流布された。
病気のがいるならそいつから染してもおかしくない。近しい人間からどんどん染していくんだ、近付くと病気になるぞ、と言った風に。
拠も何もない滅茶苦茶な主張だ。だが、これを囁く一派が、原因解明について考察する一派と接したがために事態はおかしな方向へといてしまった。
病気の原因はウィルスか、日不足か、あるいは化學製品によるものか、はたまた雨の所為か。
真実は未だ解明されてない。だからこそ、曖昧な理論でもそれっぽく裝飾して口に乗せてしまうのだ。病気に罹った者が近くにいるならそこから広まってしまってもおかしくない、と。
多數の人間が理に適った推測だと聞きっていた一派からの発言だ。真実だと広まるのは本當にあっという間だった。
これにより樹本を白眼視する人間は確実に増え、校における風當たりも非常に厳しいものとなった。
樹本の注目度もさることながら、やはりに罹患者がいると一度でも広まってしまったのがまずかった。まるで病気を撒き散らすその原因であるかのような扱いを周囲の人間がし始めた。
近付かず、れ違うのも回避してれられるのも嫌う。イジメと言うよりも、より悪質な差別が校で橫行することとなってしまったのだ。
勿論、噂話を真にける人間ばかりではない。一部の冷靜、または良識ある人間、それから樹本のファンなどは対応を変えなかったり、寧ろ樹本を守ろうとに日向に庇い立てもしていたようだ。
だが、過激な嫌がらせを行う人間は止めろと言われて止めたりはしない。多くの生徒が奇病に対して忌避を抱くようになった現在、奴らにとっては自分たちの主張を貫くにはこれ以上ない環境だと思うようになったのだろう。大衆を味方に付けたと言わんばかりの強気な姿勢を崩そうともせず樹本に絡む。
実際に奴らに賛同する生徒はそれなりにいた。樹本を嫌っている人間もいれば病気を忌避しているのもいる。嫌がらせは勢いを弱らせることもなく、樹本の華奢なに何度も何度も見舞われた。
大多數の人間による集団イジメだ。クラス処か學年さえ飛び越えてのイジメだが、當の本人である樹本はそれをただ無視するだけだった。
悪口も自分を忌避する態度も涼しい顔で流してしまう。それがまた嫌がらせをする人間は気にらないようで、よりエスカレートしていくのだがそれもなんでもないように無視する。
変に相手にせずただ無視することで同じ土俵に上がることは回避してみせる。変にやり返してそれを槍玉に挙げられては樹本も無傷ではすまないしな。後々のことを思えば、ただ向こうの非ばかりを積み上げさせる樹本の対応は遙かに賢く、そして大人であると言えた。
俺もヘイトを稼いでいたとして勢い付いていた野郎共に軽く嫌がらせなどされたりしたが、泰然と流していた樹本を見たあとなのでその稚さには失笑しか出なかった。
同じように無視すれば聲高にばれたが、俺まで排除する意義は果たしてあったりするのかね。
所詮奴らは、今流布している奇病の噂に乗っかることでしかでかい顔も出來やしないのだ。あまり好き勝手やり過ぎると噂が終息したあと困るのは奴らなはずなんだけど。勿論、親切な助言なんかしてはやらない。
校はそんなじで荒れて樹本の辺も慌ただしく不穏な気配を見せている。クラスでも噂を鵜呑みにする馬鹿がいるが、幸い子の大半が樹本の味方なので大事にはなっていない。
いや、ムカっとはするけど。モテ野郎ムカつくとは思ってはいるけども。過保護発した子に囲まれる樹本見ると嫉妬心が沸き上がってはくるけども。
まぁ、それでもどこか元気のない樹本を見ればやはり影響はあるのかとちょっと同心は湧いてもくる。大多數から敵意向けられて平然としている方がおかしいもんな。
変に反抗したり、もしくは怯えて見せたらエスカレートしそうだから敢えて無視なんてしているんだろうし、本當はベコベコに凹んでいたりするんだろう。それだって教室では見せられないって、あいつ、今辛いだろうなぁ。
痛々しく思えるが、だからと言って俺がやれることもない。
調子に乗っている奴らを諫めた所で、敵対心を煽るばかりで樹本への被害は減らせないだろうし、樹本個人へのではなく、奇病を恐れるからこそ排除にく人間には道理を説いた所で意味はない。
人道に悖る行為だとこんな混した狀況で告げたとして、果たして冷靜に聞きれる人間なんて何人いるか。
冷靜さを失っているからこそ個人攻撃に至っているんだろうしな。病気の発覚のタイミングがあまりに悪かったとしか言うしかない。
こんな長雨なんていう非常事態も起こらなければ、きっと樹本はイジメとも無縁でいられただろうに。
そう考えれば早くこの雨も止めと願わずにはいられない。多くの人間を不安にさせて混させてくるのだ、時期によっては恵みのなんて形容詞が付くこともあるが、現狀ではただ禍を呼び寄せるものにしかなっていない。
なんだってこうも長く振り続けるのか。大量の水分の所為で高まる気とは別に、どうにもクサクサとする気分をぶつけるつもりで曇天の空に思いっ切りため息を吐き出した。
【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、女醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄光のラポルト16」と呼ばれるまで~
【第2章完結済】 連載再開します! ※簡単なあらすじ 人型兵器で戦った僕はその代償で動けなくなってしまう。治すには、醫務室でセーラー服に白衣著たあの子と「あんなこと」しなきゃならない! なんで!? ※あらすじ 「この戦艦を、みんなを、僕が守るんだ!」 14歳の少年が、その思いを胸に戦い、「能力」を使った代償は、ヒロインとの「醫務室での秘め事」だった? 近未來。世界がサジタウイルスという未知の病禍に見舞われて50年後の世界。ここ絋國では「女ばかりが生まれ男性出生率が低い」というウイルスの置き土産に苦しんでいた。あり余る女性達は就職や結婚に難儀し、その社會的価値を喪失してしまう。そんな女性の尊厳が毀損した、生きづらさを抱えた世界。 最新鋭空中戦艦の「ふれあい體験乗艦」に選ばれた1人の男子と15人の女子。全員中學2年生。大人のいない中女子達を守るべく人型兵器で戦う暖斗だが、彼の持つ特殊能力で戦った代償として後遺癥で動けなくなってしまう。そんな彼を醫務室で白セーラーに白衣のコートを羽織り待ち続ける少女、愛依。暖斗の後遺癥を治す為に彼女がその手に持つ物は、なんと!? これは、女性の価値が暴落した世界でそれでも健気に、ひたむきに生きる女性達と、それを見守る1人の男子の物語――。 醫務室で絆を深めるふたり。旅路の果てに、ふたりの見る景色は? * * * 「二択です暖斗くん。わたしに『ほ乳瓶でミルクをもらう』のと、『はい、あ~ん♡』されるのとどっちがいい? どちらか選ばないと後遺癥治らないよ? ふふ」 「うう‥‥愛依。‥‥その設問は卑怯だよ? 『ほ乳瓶』斷固拒否‥‥いやしかし」 ※作者はアホです。「誰もやってない事」が大好きです。 「ベイビーアサルト 第一部」と、「第二部 ベイビーアサルト・マギアス」を同時進行。第一部での伏線を第二部で回収、またはその逆、もあるという、ちょっと特殊な構成です。 【舊題名】ベイビーアサルト~14才の撃墜王(エース)君は15人の同級生(ヒロイン)に、赤ちゃん扱いされたくない!! 「皆を守るんだ!」と戦った代償は、セーラー服に白衣ヒロインとの「強制赤ちゃんプレイ」だった?~ ※カクヨム様にて 1萬文字短編バージョンを掲載中。 題名変更するかもですが「ベイビーアサルト」の文言は必ず殘します。
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