《高校生男子による怪異探訪》3.上蔵高校七不思議
「七不思議?」
「へぇ……、會長さんはそれを調べるんですか」
はてと首を傾げた檜山の隣で嵩原が愉快げに呟く。噂の検証マニアとしては食指が疼く話題ではあるだろう。
「おや、嵩原君は我が校の七不思議を知っていたかな?」
「勿論。戦前から母を持つ歴史深い學舎ですからね。伝わる逸話も興味深く、俺たちで真偽の解明は出來ないかと以前下調べをしたことがあります」
「また何勝手に計畫練ってやがるお前」
山云々は初犯じゃねぇのかよこいつ。
「ほう。流石は嵩原君だな。一どこまで調べ上げたんだい?」
「七不思議と銘打ってはいますが、実際にはそれ以上の數の怪談が校では語られており、時流によって七不思議として採用される怪談にも変化が生じる……、といった合ですかね?」
「……素晴らしい! よくぞそこまで調査の手をばした! 流石嵩原君だ!」
唐突に始まった問答の結果、蘆屋先輩がに打ち震えている。何これ? オカルトマニアたちの急なオフ會?
「?? どういうことだ?」
「つまりね、上蔵高等學校の七不思議ってこれと決まってずっと同じ怪談が語り継がれるんじゃなくて、幾つか校で流布される怪談が度々代していって七不思議として存続していくって形態のものらしいんだよ。昔の學級新聞や広報なんかを調べると語られてる七不思議が違ってたりしたんだって」
Advertisement
「へぇー……、つまり、八不思議とかあんの?」
「ううん、『七』っていう數字に変わりはないよ。七話という數には括って容だけが変わるの。だから數年前には七不思議の一つとして扱われていたものが消えて、代わりにその前に七不思議りしていた怪談が取り上げられたりする。レギュラーがれ替わってるようなものだね」
「ああ! なるほど!」
檜山と樹本のやり取りで俺も理解した。くるくると中がれ替わるのな。それはまた変わった形式と言うか、でもよく考えれば數十年も前から一切変化なく伝えられ続けるってのもおかしな話か。場合によっちゃ校舎の建て替えなんかで怪談の該當箇所自なくなることもあるだろうし。
「それでは嵩原君は現在の七不思議も知っているのかな?」
「當然、と言いたい所ですが、俺が知っているのは昨年のものなんです。今年になってから変化はありましたか?」
「うむ。幾つか変わっているな。何、それならそれで新鮮な気持ちで調査に當たれること請け負いだ。獨自に調べてくれても構わないが、樹本君たちに明かすことだけは止めておいてもらえないかな?」
「あれ、緒にするんですか?」
Advertisement
あ? 樹本の解説に耳を傾けていればなんか取引が開始されていた? 思わず先輩の顔を見る。
「え? ちょっと會長?」
「お? 緒話?」
「ふふ、君たちには申し訳ないが、調査の中には先観を排除して當たってもらいたいものもあるのだよ。嵩原君が存じているなら都合がいい。七不思議に関する的な容は當日までとさせてもらおう」
急な流れで調査方針が決められてしまったが、報の出し惜しみは味方の壊滅を招くこともあるから出來れば必要なものは開示した方が、って別に敵地に乗り込むでもないのでそこまで警戒する必要はないけども。でも緒とか言われると気になる。
「え、決定なんですか? それ」
「うむ。決定だ。何、事前に知らなくても全く問題などはないさ。そもそもがこの學校の調査だよ? 敷地には危険箇所等は特にないし、夜に彷徨くことになってもきちんと懐中電燈等の裝備は持たせる。ただ校舎を移するだけなんだ、そう構えなくても大丈夫」
「いえ、そういうことじゃ……?」
反論を口にした樹本が途中で訝しげに言葉を止める。先輩、今気になることを言っていたよな。
「あの、會長。今、夜がどうこうって……」
Advertisement
「ん? 七不思議の調査ともなればそれはちゃんと夜間に行わなければならないだろ? 明るいでは出るものも出ないからな」
「いやいやいや……」
何を當たり前なと言わんばかりな言い方だが、待ってくれ、まさか夜に校舎に忍び込んで云々などと言い出さないだろうな?
「あれ、俺たち夜に學校來んの?」
「夜間の校舎への侵は止されていたんじゃ……?」
「そう、そうです! 立派な校則違反ですよ!? バレたら部の存続処じゃなくなりますよ! 最悪僕たち停學とかになるかも……!」
樹本が顔を青冷めて必死に言い募る。それは停學という処分を恐れてか、それとも夜に怪談の検証を行うという恐怖故か。一先ず胃は痛そうだ。
「ああ、いやいや、許可ならばもうきちんと取っているよ。私の方で計畫書を提出し、きちんと意義のある申請として一夜だけ自由に校舎に出りしてもいいと學校長から許しを出してもらっている。校則違反などには當たらないから安心してくれ」
顔の前で手を左右に振って先輩が樹本の心配を否定する。あ、もう許可申請済み? 流石、事前の回しには慣れていらっしゃる。
「あ、許可取っているんですね。それならよか……、良くはない……」
「おー。夜の學校とか小學校以來? なんかワクワクすんなー」
一瞬ほっと安堵した樹本は瞬時に肩をめて蹲る。大々的に夜の校舎で怪談スポットを巡るという苦行が認められたんだからな。樹本からすれば許可があるにしろないにしろ地獄には変わりなかった。目を輝かせて遠足前の子供狀態になっている檜山と比べればあまりに哀れ過ぎる。
「……公認で夜の校舎への立ちりを認めさせた……!? 流石、會長さんですね……」
こっちはこっちでなんか心してる。嵩原の奴が珍しくテンション高い。
「俺も七不思議の検証のために夜間の校舎への侵を検討したりしました。でも當直の教師の見回りもあり、見付かれば最悪停學などの重い罰則も適用されるとあって二の足を踏んでいたんです。それがまさか、公然と調べられるとは……」
「ほう。まぁ、下調べをしたと言っていたし、調査の見當くらいはつけていてもおかしくはないな。それなら規範に則り、自らにストップを掛けたことは中々に難しい判斷だったことだろう。分かるぞ、嵩原君。私も極近なこの學舎に伝わる怪談を知って尚、それを自由に検証することも出來ないとなればどれほど気が苛まれるか……。よくぞ己の好奇心を抑えてみせたな」
「會長さん……」
オカルトマニアがなんか熱く語ってる。高尚な語り合いに見せ掛けて中は不法侵するか否か、校則破るか否かなんで次元としては全く高くない。
好奇心を抑えて學校のルールに従ったことをさも英斷みたいに言ってるけど普通だから。肝試ししたいからって學校の敷地に無斷で立ちる輩とそう大差ないぞ。
「そんなこと考えてたのな」
「去年の夏休みにお前たちを巻き込んで侵してやろうと計畫も立てていたんだよ。危ない橋だし結局は鍵が手出來ないと何も調べられないから斷念したんだ。だから代わりに市の心霊スポットツアーを敢行したんだよ」
「勝手に悪事の片棒擔がせようとしないでくれる?」
「お前の好奇心に俺たちを巻き込むんじゃねぇ」
今更の主張であるがこういうのは都度都度言っていかないと。學校の怪談検証の代わりに心霊スポットツアーをねじ込んでくるような奴だから、気を張らなければ今後もどんなことに巻き込まれるか分かったもんじゃない。というか俺たちを道連れにすることを當然のように思うなよ。
「ふむ。市の心霊スポットか。そう言えば個々には取材も申し込んだが、全員一緒には話を伺ってないな……」
まずい、先輩のインタビュー癖が発仕掛けてる。あっちの棚のファイルを持ってきたら強制的に開始されるぞ。
「あ、あー、それで、會長。その七不思議の検証というのはいつ頃行う予定なんですか? 僕たちも予定というものがありますし、出來れば日にちは早めに教えてもらいたいんですけど……」
ナイス樹本。上手く話題を振ったな。これならば先輩も答えざるを得な……、危な。ファイルの背に指が掛かってたぞ。
「ああ。それも忘れていたね。失敬。予定としては皆が參加し易いだろう日を既に押さえている。日時は終業式當日、夏休み開始のその前日だよ」
こちらに向き直った先輩がそう宣言する。凄い直近。あと數日しかないですけど?
「わ、近っ」
「隨分タイトですね」
「なんでそんな近い日に?」
それぞれ日程の近さに驚きを見せる。こういうのってもうちょっと時間を置いておくものでは?
「先にも言ったが協力者の皆が參加し易いようにと思って決めたものだ。夏休みともなればそれぞれ予定が詰まるものだし、全員のり合わせだけでも煩雑となってしまう。そこで予定などりようもないだろう日を先に指定させてもらったんだ。終業式當日であれば君たちも暇なのではないかな?」
なるほど。敢えて夏休み前日を狙ったと。確かに休みにればそれぞれ予定が立てられていくから時間を合わせるのは難しくなる。
それに比べて終業式は、余程急ぎの用事でもなければ他に予定なんて詰め込まないか。遊ぶ約束なども次の日から盛り込むよな。なんせ夏休み初日なんだし。
「私の方で聲を掛けた三人も終業式當日ならば予定はないという返事をもらえたよ。君たちはどうかな?」
「……確かに、特に予定はないです」
「俺もそうですよ」
「嵩原に同じく」
「永野に同じく!」
全員問題なし。決行までの期間が短いが、しかし事前に知っておくことも準備しておくことも特にないとなれば問題にもならない。中々に秀逸な読みだと言ってもいいのか。
「ならば全員參加でいいかな? 時間は終業式當日の夜七時半。場所は上蔵高等學校の正門前集合となる。調査に掛かる時間は最大でも二時間ほどで、遅くなるようならこちらからタクシーの手配も行おう。勿論通費は部から出す。どうだね?」
夜間の外出を求めるということでフォローが手厚い。そこまで回ししたからこそ學校側からも許可が出たのかもしれないな。普通に考えて高校生を夜九時以降出歩かせることを學校が認めるとは思えないしな。
結局特に拒否出來るような事由もなく俺たちは全員參加と相った。先輩は協力者の名前を學校側に報告しなければならないらしく、俺たちの參加が決まった途端に書類を作しなければならないとこの日は解散となった。また長時間のインタビューなど行われずに済んで正直ほっとした。
終業式當日になんとも面倒な予定がってしまったが、前向きに考えれば夏休み前日に事が片付けられると思えば殘りの日は憂いなく過ごせるとも言える。下手に時間を延ばさない分気楽ではあるだろう。あの先輩のことだから、その點も考えての提案だっかもしれないなぁ。
検証參加者は俺たちいつもの四人とあと三人が加わるとのことだが、そちらに関してはなんの報も得られていない。話し合い直後は聞く暇もなく、また後日樹本が訊ねたそうだが教えてはもらえなかったとのこと。「當日を楽しみにしていたまえ」などと含みを持たされて終わり、樹本ももやもやしたじで俺たちに報告兼愚癡なんぞ吐いてきた。協力者の選別に慎重な姿勢を見せていた先輩のことだ、おかしな人選などは決してしないと思う……、思いたいな。
比較的常識的であるはずなのだが、どうにも突発的におかしな暴走をするという認識があるために先輩を心から信じられない己がいる。せめて話が通じる相手であればいい。オカルト方面以外は真面な人格であればもうそれで文句はない。
多の心配はあれどそれで何がどうなることもなく、あっという間に數日が過ぎ、そして終業式當日を迎えた。
現実でレベル上げてどうすんだremix
ごく一部の人間が“人を殺すとゲームのようにレベルが上がる”ようになってしまった以外はおおむね普通な世界で、目的も持たず、信念も持たず、愉悅も覚えず、葛藤もせず、ただなんとなく人を殺してレベルを上げ、ついでにひょんなことからクラスメイトのイケてる(死語?)グループに仲良くされたりもする主人公の、ひとつの顛末。 ※以前(2016/07/15~2016/12/23)投稿していた“現実でレベル上げてどうすんだ”のリメイクです。 いちから書き直していますが、おおまかな流れは大體同じです。
8 183異世界転移〜チートすぎました!〜
いつもの日常が退屈だった主人公 八雲 禪(やくも ぜん)、いつも通り授業を聞いていつも通り終わると思っていた退屈な日常から一変、なんと!クラス全員で異世界転移してしまったのだ‥‥‥ そこで新たに知ることとなるのは‥‥‥‥ この続きは本編で、とりあえず不定期すぎですね 頑張ります
8 192発展途上の異世界に、銃を持って行ったら。
「おめでとう!抽選の結果、君を異世界に送ることになったよ!」 「……抽選の結果って……」 『百鬼(なきり) 樹(いつき)』は高校生―――だった。 ある日、授業中に眠っていると不思議な光に包まれ、目が覚めると……白い空間にいた。 そこで女神を自稱する幼女に會い『異世界を救ってくれないか?』と頼まれる。 女神から『異世界転移特典』として『不思議な銃』をもらい、さらには『無限魔力』というチート能力、挙げ句の果てには『身體能力を底上げ』してまでもらい――― 「そうだな……危険な目には遭いたくないし、気が向いたら異世界を救うか」 ※魔法を使いたがる少女。観光マニアの僕っ娘。中二病の少女。ヤンデレお姫様。異世界から來た少女。ツッコミ女騎士、ドMマーメイドなど、本作品のヒロインはクセが強いです。 ※戦闘パート7割、ヒロインパート3割で作品を進めて行こうと思っています。 ※最近、銃の出番が少なくなっていますが、いつか強化する予定ですので……タイトル詐欺にならないように頑張ります。 ※この作品は、小説家になろうにも投稿しています。
8 116魔術がない世界で魔術を使って世界最強
現代に生きる魔術師日伊月彌一は昔、魔術師にとって大事な目の右目を失い戦闘魔術師の道をあきらめ、亡き父が殘した魔術に科學兵器を組み込んだ”魔動器”の開発・研究を行っていた。 ある日、突如教室に魔方陣が浮かび上がり、気がつけばそこは異世界だった!? 困惑の中、話し合いの末、魔王軍との戦爭に參加することになり、ステータスプレートと呼ばれるもので潛在能力と職業をしる。 彌一の職業は”魔術師” それは魔術に対して大幅な補正が掛かるとゆうものだのった。 「この職業を伸ばせば俺は昔の俺に戻れる。いや昔を超える魔術師になれる!!」 と喜んだが、 「魔術とは?」 「・・・え?」 なんとこの世界には魔術をいう概念が存在しない世界だった!! そんな中初めての訓練の最中、魔王軍の奇襲を受けてしまい彌一は世界の6大古代迷宮のひとつに飛ばされてしまった。 大迷宮を攻略するため迷宮の最深部を目指す中、迷宮の中で一人の少女と出會う。 ーーーー「あなたも私を殺しにきたの・・・」 これは、魔術がない世界で現代の魔術師が世界中の大迷宮を旅しながら、嫁とイチャイチャしたり、可愛い娘や美人エルフの従者と出會い、世界最強の魔術師を目指す物語である。 週一回のペースですが、最近は遅れ気味です。出來次第更新していくつもりです。暇なときにぜひ!評価、感想どしどしお待ちしています! ツイッターもやっているのでよければフォローよろしくお願いします!
8 183やっと封印が解けた大魔神は、正體を隠さずに凡人たちに力の差を見せつけます ~目覚めた世界はザコしかいない~
【主人公最強・ハーレム・チートスキル・異世界】 この作品には以上の要素がありますが、主人公が苦戦したり、キャラクターが死亡したりと、テンプレにはあまりない展開もございます。ご注意下さい。 それゆえの熱い物語を書く予定であります。 世界はまもなく、激動する―― 大魔神たる僕が、封印から目覚めたことによって。 魔王ワイズ率いる、魔物界。 國王ナイゼル率いる、人間界。 両者の存在によって、世界は危うくも均衡を保てていた。どこかで小規模な爭いはあっても、本格的な戦爭になることはなかった。 僕――大魔神エルガーが封印から目覚めることで、その均衡はちょっとずつ崩れていく。 なぜ僕は封印されていたのか。 失われた記憶にはなにが隠されていたのか。 それらすべての謎が解き明かされたとき、世界は激動する…… けど、僕は大魔神だ。 いくらスケールのでかい事件だって、神にかかれば解決できるはず。 ――面倒だけど、なんとかしてみよう。
8 139コミュ障だけど転生したし、なんだかいけそうな気がします!!
ある日から不登校になってしまって家でゲームばかりしていた少女にゲームの運営からあるプレゼントが屆く。 「プレイ時間が一定數以上のプレイヤーの中で抽選してあなたが當選しました」 中には可愛いスキンとかわいい裝備しかも能力はどれも飛び抜けていた。 ついでに頼まれた変な質問が多いアンケートに答えていざログイン! ゲームのバグかそれとも………ってやっぱり私転生しちゃったの!? 私、何年も人と會話すらしてない、というかそもそもコミュ障だから人に話しかけられないんだけど!! 神様からもらったかわいい見た目と飛び抜けた能力の裝備があるから平気?ほんと? 確かに、せっかくつまらない現実じゃなくなったんだし!今までいなかった友達も欲しい!勇気、出してみようかな。そう思うとなんだかいけそうな気がしてきた!! 時には癒し?時にはピンチ!?いきなり異世界にとばされた少女がコミュ障ながらも色んな出會いをして沢山の人と仲良くなっていくお話です。 小説家になろうでも書いてます。
8 81