《銀河戦國記ノヴァルナ 第2章:運命の星、摑む者》#08
高速高機のBSIユニットに艦の懐へ飛び込まれないようにするため、艦の間隔を詰めるのは珍しい事ではない。しかし今回の場合は詰め過ぎであった。いや、むしろBSIの機戦に慣れているはずの、ソーン・ミであったからこその誤判斷なのかもしれない。自分目掛けて巨大なプラント衛星が、當たりを喰らわせようとするなど、想定外に違いないからだ。
「右舷に回避! 回避だ!」
「左舷の艦《ふね》、変針しろ。衝突するぞ!」
「前進…いや後進一杯!!」
「舵戻せ! 急げ!」
ソーン・ミの『レイギョウ』の巨が迫り來る。それを躱そうとする宙雷戦隊の軽巡航艦と駆逐艦は、見るからに狼狽している。急加速で離しようとする艦、『レイギョウ』と共に総旗艦艦隊を組む、別の戦艦に衝突しそうになる艦、空気の抜けた風船のように、グルリと大きく捻り込みをかけて上昇して行く艦…各艦の間隔は數キロ単位もあるが、高速航行する宇宙艦にとっては、ほんの一瞬の距離だ。
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そして案の定、遂には味方同士で衝突してきが止まる駆逐艦が出る。外殻を覆うエネルギーシールド同士が接して猛烈なスパークを発生させると、次いで艦同士がぶつかり合ってめり込んだ。そしてそのままあらぬ方向へ漂いだす。
そこへ突っ込んで來たのがプラント衛星だった。
月面からの砲撃でボロボロになってはいるものの、その大きさと原型はいまだ留めており、カーナル・サンザー=フォレスタ率いるナグヤBSI部隊と、キオ・スーBSI部隊の空戦域を掠め、キオ・スー艦隊の中へ跳び込んで來たのである。
同士討ちを恐れて『ムーンベース・アルバ』は砲撃を中止したが、今度はキオ・スー艦隊がプラント衛星へ攻撃を開始した。だがそうなると、プラント衛星のに隠れていたナグヤ艦隊も飛び出して來る。
「よし。先鋒宙雷戦隊、突撃だ!!」
プラント衛星と並走している『センクウNX』から、ノヴァルナが命令を出す。それを待ちわびていたナグヤの宙雷戦隊群は、艦尾の重力子ノズルから、黃いのリングを重ねて輝かせると、解き放たれた猟犬の群れように最大戦速で突っ走り始めた。ノヴァルナは即座に次の指令を出す。
「戦艦群、援護撃。次鋒、重巡部隊突撃開始!」
ようやく殘骸になりかけたプラント衛星のから、巨大な戦艦達がぬう!…と姿を現して主砲から火を噴く。その脇を駆け抜けていくのは重巡部隊だ。
宇宙空間の大規模艦隊戦において戦局を左右するのに、決定的であって最もタイミングが難しいのが、宙雷戦隊への突撃命令である。宙雷戦隊が突撃する事で艦隊の陣形が一瞬崩れ、再編するまでの間に大きな隙が生まれるからだ。數ヵ月前の『アーク・トゥーカー星雲會戦』では、イマーガラ家に寢返ったヤーベングルツ家の艦隊が、い込まれる形で迂闊に宙雷戦隊を突撃させ、待ち構えていたノヴァルナの戦艦部隊の餌食になったのは、その悪例と言える。
しかしこの戦いにおける、ノヴァルナの突撃命令のタイミングは完璧だった。
総旗艦『レイギョウ』目掛けた、プラント衛星のキオ・スー艦隊中央部への突で、各艦が混をきたしており、ナグヤ宙雷戦隊の突撃に対し、それを気付いて組織立った反撃を行う余裕などはない。
「突撃! 全艦突撃!!」
扇狀に散開したナグヤ軍の軽巡航艦と駆逐艦は、その數およそ百と二十。思い思いにキオ・スー艦隊へ迫して行く。
「右舷、敵駆逐艦! 咄嗟撃!」
一隻のキオ・スーの戦艦が、急接近して來るナグヤの駆逐艦に主砲を放つ。戦艦の主砲ビームをまともに喰らえば駆逐艦など、エネルギーシールドを張っていても、ひとたまりもない。だが回避不能な間合いまで飛び込んで必殺の宇宙魚雷を叩き込むのが、宙雷戦隊の真骨頂だ。急回頭で直撃を逃れ、艦の上半分を主砲ビームに持って行かれながらも、駆逐艦は宇宙魚雷を全弾発。その半數が戦艦の腹を喰い破り、大発を引き起こした。
しかも宙雷戦隊の突撃でキオ・スー艦隊の混が大きくなったところに、ナグヤの戦艦部隊が砲撃を加え始める。配下の重巡戦隊の隊列を立て直そうとしていた司令の乗る、キオ・スー重巡が艦の中樞部まで抉り取られ、総旗艦『レイギョウ』との衝突を何とか逃れる事が出來たばかりの、軽巡が々にされる。
「後退だ! 一時後退して距離を取れ!」
総旗艦『レイギョウ』ではソーン・ミ=ウォーダが、大混狀態の自軍を複數のホログラムスクリーンで見せつけられ、蒼白になってぶ。そしてこのような“おいしい場面”に大人しくしているノヴァルナではない。プラント衛星と共に、キオ・スー艦隊の中へ突した『ホロウシュ』達へ命じる。
「行くぞてめぇら! 全機、俺に続けッ!!!!」
と言うや否や『センクウNX』のスロットルも全開に、飛び出して行くノヴァルナ。
▶#09につづく
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