《銀河戦國記ノヴァルナ 第2章:運命の星、摑む者》#00

星ラゴンへ帰る宇宙戦艦『ヒテン』、ノアの私室―――

照明を落としたベッドの上に一人、仰向けに寢転んだノアは、涙の滲んだ瞼を軽く右手の指で拭った。

思い出すのは義弟のイグティスとキーベイト。父のドゥ・ザンのクローン猶子であり、の繋がった弟ではない。それ故だったのだろうか、いつも自分に対しては控え目で大人しい印象だった。

いや、自分にだけではない。家中の誰に対しても控え目だった二人の義弟。ただその眼は、義父ドゥ・ザンのクローンらしく時折鋭くり、ノアをしてめた武將の才をじさせたものだった。

それが、もう失われてしまった―――

実の子と変わらない態度で接してくれた義母オルミラと、実の兄のように慕ってくれたリカードとレヴァルの命を守るために………

ノア自心ついた頃にはすでに一緒にいたイグティスとキーベイトを、クローン猶子などという複雑な立場で見た事などなかった。素直で分かりのいい弟達………

それでもやはり二人の方は、心のどこかで自分達は本當の子供では…と思っていたのだろうか。今となっては、そんな二人の本心を知る事は出來ないし、それを知って叱ってやる事も出來ない………

ノヴァルナやリカードとレヴァルの前では、普段通りに笑顔を見せてはいても、一人になるとつらくなる。だけどそんな素振りは見せたくない。ノヴァルナもこの數か月で父親や、父親以上に親だった後見人を失っているのだ。

ノヴァルナと失ったイグティスとキーベイトを思い比べ、ノアは出逢った頃のノヴァルナが、どうしてあんなに嫌いだったのかに思い當たった。

なんでも自分の言う事を聞く、素直で分かりのいい二人の義弟…対するノヴァルナときたら、義弟達とほとんど同じ歳だというのに我儘放題で傍若無人。人の心に土足で上がり込んで來るような奴だったからである。

今もそばにいてしいという人の気持ちも知らずに、格納庫で二人の『ホロウシュ』に説教中だ。昨日の戦いで対艦徹甲弾を早く撃ち盡くしてしまい、宙雷艇に損害が出た事を怒っているらしい。幸い宙雷艇に戦死者は無かったようだが。

“こんな時にまで、アイツの事なんて…私も馬鹿ね”

最後はなんでもノヴァルナに結びつけてしまうようになった自分に、裏返した手首で雙眸を隠したノアの表は、泣き笑いに変わっていった………

▶#01につづく

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