《銀河戦國記ノヴァルナ 第2章:運命の星、摑む者》#16
シェイヤ=サヒナン率いるイマーガラ家の六つの艦隊が、ノヴァルナ艦隊を求めてロンザンヴェラ星雲へ進して約三十分が経過していた。
ノヴァルナのキオ・スー第1艦隊は、戦艦11・重巡12・軽巡14・駆逐艦28・打撃母艦(宇宙空母)6・巡航母艦(軽空母)6の計77隻。
それに対するイマーガラ家の戦力はシェイヤの第3艦隊に、増援として到著した第4、第6、第8、第9、第11の艦隊で総勢、戦艦82、巡航戦艦12、重巡航艦94、軽巡航艦98、駆逐艦212、打撃母艦(宇宙空母)20、巡航母艦(軽空母)16の合計533隻と圧倒的である。
巨大な赤い薔薇の花を連想させるロンザンヴェラ星雲の中で、シェイヤはこの圧倒的な戦力を、投網のように広げてノヴァルナ艦隊を捜索中であった。これは勿論、より早くノヴァルナ艦隊を発見するのが目的だが、それにもう一つ、先にこちらがノヴァルナ艦隊に発見されても、戦力差を気付かせないという理由がある。一個艦隊同士の演習のはずが、実は一個対六個だと早々に知られでもすれば、ノヴァルナ艦隊に逃げ出される可能があるからだ。
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それに備えて星雲外にも、モルトス=オガヴェイの第5艦隊を待機させているが、シェイヤからすれば、出來れば星雲でノヴァルナを、自分の手で仕留めたいところである。
シェイヤの旗艦『スティルベート』の艦橋は、靜寂に包まれていた。
外部を映し出すスクリーンはどれもが、ロンザンヴェラ星雲の赤系統に染まる雲海で覆われている。クルーの誰もが無言で計を睨み、ノヴァルナ艦隊の反応が現れるのを、固唾を飲んで待っている狀態だ。
確かに戦力はこちら側が圧倒的だが、電子機に障害を及ぼすほどの濃な星間ガスが充満する、星雲のこの狀況である。先にこちらがノヴァルナ艦隊に発見され、つまらない損害を出したくはない。
「………」
各艦隊のきが表示されている艦橋中央の戦狀況ホログラムを、司令席から無言のままアイスブルーの瞳で見詰めるシェイヤ。表示は通常はリアルタイムなのだが、この星雲では長距離センサー等の機能が低下しているため、統合指揮システムのデータがバックアップする推定位置を表示していた。
「まもなく、ゾーン2」
オペレーターの報告に、各クルーの視線が鋭さを増す。ノヴァルナ艦隊がいると予想される座標の一つに近付いたからだ。
「接敵警戒を厳にせよ」
ノヴァルナ艦隊が潛んでいる可能が高い位置に近付き、司令席のシェイヤの傍らに立つ艦隊參謀が、言わずもがなの命令を発する。
「想定位置ゾーン2、左舷水平方向十時。約2億キロ」
オペレーターの報告が靜かに響き、參謀達が一斉に左前を向く。想定位置としているのはそこの星間ガスが特に濃で、質量センサーも空間スキャニングも度が著しく低下するため、待ち伏せに適した場所の事であった。
演習開始からこの時間で、ノヴァルナ艦隊がける範囲を算出し、その中でこういった潛伏の可能かある個所を洗い出し、ゾーン1から7まで割り振っているのである。
ゾーン2と名付けられたそこは、緋のガスと暗黒質が三つ、渦を巻いて高くび上がり、その渦の間に稲妻が無數に走っている。
「前哨駆逐艦から報告はないか?」
「何もありません」
別の參謀とオペレーターのやり取りを聞きながら、シェイヤは戦狀況ホログラムを一瞥し、NNLで手元に重力波解析データのホログラム畫面を呼び出した。等圧線が描かれた大昔の天気図に似たその解析畫面を見ると、重力勾配率がかなり高くなっており、この中に艦隊を隠しても、艦そのものにダメージが及ぶはずだ。
“たぶんこんな所にはいないわね…”
そう思うシェイヤだったが、すぐに頭を軽く振り、その考えを否定した。ノヴァルナのこれまでの戦い方を思い返せば、そういった固定観念に囚われるのが一番危険である。
その時、司令席に取り付けられている、艦隊司令用の直通通信機がコール音を鳴らした。シェイヤ達の左翼を進む第4艦隊司令のゲン・シー=アンベルからだ。シェイヤは回線を開いて聲をかけた。
「アンベル司令」
小さなホログラムスクリーンが現れて、ノヴァルナの『ホロウシュ』のササーラと同じガロム星人の顔が映される。
「宰相閣下。ここにはノヴァルナ艦隊は、おらぬと思われますが」
アンベルもあのような危険な場所にはノヴァルナ艦隊はいないはず…と考えての意見申なのだろう。だが自分以外の人間もそう考える事自、やはりノヴァルナの中に嵌っている可能もあるのだ、とシェイヤは思って返答した。
「油斷はです。引き続き哨戒を厳にして進んでください」
▶#17につづく
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