《銀河戦國記ノヴァルナ 第2章:運命の星、摑む者》#00

ノヴァルナ・ダン=ウォーダが艦隊を率い、罠を仕掛けようとしているシェイヤ=サヒナンを放置して、ロンザンヴェラ星雲から引き上げだした頃―――

宵の口を迎えたナグヤ城。まだ太が西の空を赤く染め殘している時間だが、広い講堂は華やかな裝をに纏った男が集まっている。今夜は星ラゴンの金融と植民星開発業界の主要人を集めたダンスパーティーであった。その主催者は無論と言うべきか、ヴァルツ=ウォーダの妻カルティラである。

集まった男は二百名近くはいるであろうか、その中で、の當たり合によって虹に輝くシズマパールを裝飾にふんだんに使用し、コーラルピンクのドレスを著たカルティラは注目の的であった。

「まぁ、おしい!」

「素敵ですわ、カルティラ様」

経済界の貴婦人達が、カルティラを褒めそやかす。その中心にいるカルティラはまさに有頂天だ。これこそが彼んでいたものだからである。そしてやはり、集まった人間の數は、以前に暮らしていたモルザン星系の首都星モルゼナの比ではない。一人の貴婦人がカルティラの首に巻かれた、いかにも豪華なシズマパールのネックレスの事を尋ねる。

「とても素晴らしいネックレスですこと。どちらでお求めに?」

カルティラはネックレスに右手の指先を軽く置き、上品な笑顔を向けて応じた。

「これは主人が買ってくれましたの。ナグヤへ移り住む記念だと言って」

それを聞いて周りの他の婦人達も口々に言う。

「ヴァルツ様が」

「仲がお宜しいのですね」

「羨ましいですわ」

貴婦人たちの言葉が半ば世辭である事が分かっていても、カルティラには心地よい。自分が追従口を聞ける立場にある事を、実できるからだ。

するとそこに、やや離れた所から「カルティラ!」と聲が掛かった。振り向くと招待客が頭を下げながら左右に分かれる中を、こちらへ歩いて來る夫の姿がある。

「まぁ、あなた」

カルティラは笑顔を浮かべて自分からも夫に歩み寄る。

「どうされましたの?…ご出陣中ではなかったのですか?」

「うむ。々事が変わってな。イル・ワークラン家のきに、備える必要がなくなったのだ」

「そうでしたか」

「それで折角だから早く戻って、おまえと一曲踴ろうと思うてな」

「まぁ、嬉しい」

ヴァルツ=ウォーダが差し出す手をにこやかに取り、腕を組んで、ダンスを踴る招待客の中へ消えていくカルティラ。そして大きく背中が開いた彼のドレスの後ろ姿を、し離れた人混みの間から、きつい視線で見詰める給仕がいた。いや正確には給仕ではない、給仕に変裝したカルティラの夫、マドゴット・ハテュス=サーガイである………

▶#01につづく

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