《銀河戦國記ノヴァルナ 第2章:運命の星、摑む者》#03
會議を早々に切り上げて約二時間後、ノヴァルナは『ホロウシュ』らと共に早くも、星ラゴンと月の間の宇宙空間にいた。そのを『センクウNX』のコクピットに置いて。
ノヴァルナの『センクウNX』の両側背後には、ラン・マリュウ=フォレスタとナルマルザ=ササーラの『シデンSC』。さらにその後ろには、ノヴァルナの専用戦闘輸送艦『クォルガルード』が浮かんでいる。
そしてそこから眼では見えない距離だが、約千キロの位置で正対するのは、ヨヴェ=カージェスを指揮とした若手『ホロウシュ』十八機。こちらも機種は『シデンSC』だ。彼等の背後には、一年半前のキヨウ訪問後に就役した、『クォルガルード』の同型艦『ヴァザガルード』と『グレナガルード』が並ぶ。
現在、ウォーダ軍では主力BSIユニットを、新型の『シデン・カイ』に更新中であり、開発・建造を行っているガルワニーシャ重工でも、イマーガラ家の侵攻に備え急ピッチで量産中だった。
Advertisement
しかしながら『ホロウシュ』用の親衛隊仕様『シデン・カイXS』は、いまだ開発中である。これは『シデン・カイ』が舊來の『シデン』のバージョンアップとは違い、システムも含め、基礎設計から見直しを行っているため、搭乗者へのカスタマイズ化に時間がかかるからだ。
親衛隊仕様機はBSHO同様、登録搭乗者の縦技能の長・短所や癖が、機にフィードバックされていく。つまり使い続けるほど強くなるわけで、いま白紙の狀態の『シデン・カイXS』に乗ったところで、総合能で最終バージョンの『シデンSC』には及ばないし、カスタマイズレベルを引き上げるには、時間が無さすぎる。あと二週間もすれば、イマーガラ家の大軍がここへ押し寄せて來るのだ。それならばしでも、使い慣れた『シデンSC』での技量を高めた方がいい、というのが、ノヴァルナと『ホロウシュ』達の考えだった。
ノヴァルナは対峙する十八機の『ホロウシュ』に、通信で呼びかける。
「いいか、てめぇら。いつも言ってる通り、手ぇ抜きやがったら、晩メシも抜きだかんな。俺をギィゲルト・ジヴ=イマーガラだと思って、殺す気になってかかって來い!!」
すると十八機の指揮を執るヨヴェ=カージェスが、「ハッハッハッ…」と笑い聲を上げて応じて來る。
「ギィゲルト様にしては隨分とスマートですが、晩メシ抜きはかないませんので、我等こそ手加減は致しませんぞ!」
その言葉にノヴァルナは不敵な笑みを浮かべ、縦桿を握り締めて言い放った。
「おう。掛かって來いや!!!!」
ノヴァルナの放言を合図に、両者は相手に向けて一斉に加速を掛ける。コクピットを包む全周囲モニターで、すべての星のが尾を引き、千キロの距離も一瞬で詰まる。縦桿のグリップエンドに備え付けられているウエポンセレクターで、超電磁ライフルを選択したノヴァルナは、『センクウNX』がライフルを構えるや否や一弾倉分八発を無造作に連した。
だが當てずっぽうにバラ撒いたように見えたペイント弾は、『ホロウシュ』部隊の中の八機の進路上に、効果的に放たれたのである。突然の被弾予想警報に慌てる八名は咄嗟に回避行を取った。
「うえっ!?」
「げげっ!!」
「きゃ!!」
シンハッド=モリン、モス=エイオン、ジュゼ=ナ・カーガなどは、特に大きく進路をし、その影響は『ホロウシュ』全の編隊に及んだ。衝突しそうになったモリンの機を避けたために、編隊から単機で飛び出したヨリューダッカ=ハッチの『シデンSC』を、ランがすかさず狙撃する。腹部のコクピット付近にペイント弾の青い塗料を、ベッタリと塗りつけられたモリンの『シデンSC』。
それを見たノヴァルナは、他の『ホロウシュ』達からの反撃の銃弾を悉く躱しながら、ハッチを怒鳴りつけた。
「馬鹿野郎! あっさり喰らいやがって。んな“死に方”してるような奴は、晩メシ抜きだ!!」
叱責をけたハッチは、被撃破判定判定音が甲高く鳴り響くコクピットで、モリンに対して罵聲を浴びせる。
「てめぇ、モリン! 覚えてやがれぇ!!!!」
だがこの初手で撃破されたのがハッチ一人であったのは事実で、それだけ『ホロウシュ』達の縦技能レベルは、一段と上がって來ていると言っていい。銃撃距離を搔い潛り、格闘戦距離まで間合いを詰めると、『ホロウシュ』側の指揮のカージェスが下令する。
「手筈通り、かかれ!!」
カージェスの指示で『ホロウシュ』達は三方に分かれる。単純に考えるならばノヴァルナ、ラン、ササーラに対して三等分するところだが、そうではない。ジュゼ=ナ・カーガとキュエル=ヒーラー、そしてキスティス=ハーシェルの三人の『ホロウシュ』がランを相手取り、カージェスは一人でササーラと戦う。そしてノヴァルナには殘る『ホロウシュ』が全員で立ち向かう作戦だ。
この変則的な分かれ方にカージェスの意図を察したノヴァルナは、「アッハハハハハ!」と笑い聲を上げて言う。
「面白(おもし)れぇ。相手になってやるぜ!!」
▶#04につづく
真実の愛を見つけたと言われて婚約破棄されたので、復縁を迫られても今さらもう遅いです!【書籍化・コミカライズ連載中】
【雙葉社様より2022年8月10日小説3巻発売】 番外編「メルティと貓じゃらし」以外は全編書き下ろしです。 【コミカライズ連載中】 コミックス1巻発売中 漫畫・橘皆無先生 アプリ「マンガがうがう」 ウェブ「がうがうモンスター」 ある日突然マリアベルは「真実の愛を見つけた」という婚約者のエドワードから婚約破棄されてしまう。 新しい婚約者のアネットは平民で、マリアベルにはない魅力を持っていた。 だがアネットの王太子妃教育は進まず、マリアベルは教育係を頼まれる。 「君は誰よりも完璧な淑女だから」 そう言って微笑むエドワードに悪気はない。ただ人の気持ちに鈍感なだけだ。 教育係を斷った後、マリアベルには別の縁談が持ち上がる。 だがそれを知ったエドワードがなぜか復縁を迫ってきて……。 「真実の愛を見つけたと言われて婚約破棄されたので、復縁を迫られても今さらもう遅いです!」 【日間総合ランキング・1位】2020年10/26~10/31 【週間総合ランキング・1位】2020年10/29 【月間総合ランキング・1位】2020年11/19 【異世界(戀愛)四半期ランキング・1位】2020年11/19 【総合年間完結済ランキング・1位】2021年2/25~5/29 応援ありがとうございます。
8 55異界の勇者ー黒腕の魔剣使いー
あるところにすべてを失った少年がいた。 あるところに運命によって愛する者と引き裂かれた少女がいた。 あるところに幸せを分け與える少年がいた。 あるところに少年達を支える少女が現れた。 あるところに奇妙な日常が生まれた。 ある時、日常が終わりを告げた。 また、あるところに大切なモノを取り戻さんとする少年が生まれた。 また、あるところに愛するものを変わらず愛し続ける少女がいた。 また、あるところに自身の愛する人を守らんとする少年が生まれた。 また、あるところに愛しき人のため日々前に進み続ける少女が生まれた。 ある時、世界に平和が訪れた。 -------------------------------------------------------- スランプより復帰いたしました! これからもよろしくお願いします! 現在、物語全體を通しての大幅な改稿作業中です。 作業中の閲覧は控えることを推奨します。 誤字脫字がありましたらご指摘お願いします。 評価、レビューどんとこい!
8 160死神始めました
ある日家で寢ていて起きたら死神を任された楠 浩太は異世界へと飛ばされるのだった。飛ばされた後は兵器を作って國をつくって?!おまけにさらりと重大情報聞かされて。 とにかく神様の力と、地球の兵器(スマホも)を使って無雙します。・・・多分! 何だか題名詐欺って言われそう。そこは誰も突っ込まないで。ね? *軍事ネタおよび、機械ネタは作者が調べたり、聞いたりしたことを少しいじってやっているのでかなり誤差があると思われます。(あと何が何だかわかっていない) 最終話を投稿した日のアクセス數が2000越してビックリしてます^^;
8 1532度目の転移はクラスみんなで(凍結中)
主人公、黒崎仁は元勇者だった しかし今はいじめられっ子 そんなある日突然、教室に魔法陣が現れた そして黒崎仁はまたもや勇者になって世界を救うことになってしまった やっと移動してきました!
8 56デフォが棒読み・無表情の少年は何故旅に出るのか【凍結】
特に希望も絶望も失望もなく 夢も現実も気にすることなく 唯一望みと呼べるようなもの それは “ただただ平々凡々に平和に平穏にこの凡才を活かして生きていきたい” タイトルへの答え:特に理由無し 〜*〜*〜*〜*〜*〜 誤字脫字のご指摘、この文はこうしたらいいというご意見 お待ちしていますm(_ _)m Twitterで更新をお知らせしています よろしければこちらで確認してください @Beater20020914
8 60うちの姉ちゃんはこわい
たいせつな、三輪の花。 うちには三人の姉ちゃんがいる。 みんなかわいくて、みんなこわいんだ。
8 157