《銀河戦國記ノヴァルナ 第2章:運命の星、摑む者》#07
同じ瞬間、マーディンの『シデンSC』は二機の敵BSIユニットと、立ち回りを演じていた。右手には超電磁ライフル、左手にはクァンタムブレードで、間合いを詰めて來る親衛隊仕様機の、『トリュウCB』のポジトロンパイクの斬撃をQブレードで打ち払うと、それに続いて後方から攻撃しようとする量産型『トリュウ』へ、ノールックで超電磁ライフルを向けて銃撃を加える。
驚いて急回避する量産型『トリュウ』。だが親衛隊仕様機の方がマーディンに対し、第二の斬撃を袈裟懸けに放って來た。殺気をじて機を翻し、敵の電子フィールドに包まれたパイクの刃を、マーディンの『シデンSC』は紙一重でやり過ごす。すると通過した親衛隊仕様機の背中ががら空きとなった。即座に超電磁ライフルの銃口を、隙が出來た敵機のバックパックへ向けるマーディン。
そうはさせじと量産型『トリュウ』が、橫合い上段から斬りかかって來る。それをマーディンは左手のQブレードを頭上に掲げて打ち防ぐ。ここでライフルのトリガーを引いて、まず親衛隊仕様機を撃破するのが一連の流れの括り―――ところがマーディンは突然、その銃口を全く別方向へ向けて撃ち放った。その銃弾が向かった先は、今まさにキノッサの『ルーン・ゴート』に回避不能の一撃を放とうと、急接近していく敵の『ゼラ・ランダン』である。牽制の一弾を放ったマーディンは、強い口調で通信機へ呼び掛けた。
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「キノッサ!!―――」
「うわぁあああ! もぅダメだぁああああ!!!!」
ポジトロンランスを左腕一本で構えた『ルーン・ゴート』のコクピットで、顔を引き攣らせたキノッサはび聲を上げている。機を必死にり、どうにか直撃は免れているものの、火力重視型『ゼラ・ランダン:バスター』の高威力ビームは、掠めるだけでも脅威で、人型に変形しているキノッサの機はあちこちが破損し、ボロボロになって來ていた。
そしてそんな必死の回避ももうもたないのは必至だ。このまま接近され近距離で撃たれたら、自分の技量では逃げようもない。ポジトロンランスの穂先こそ敵機にロックオンしているが、鑓の間合いにる前に撃たれるに違いない。
だが次の瞬間、敵の『ゼラ・ランダン』は不意に機をスクロールさせ、撃を中斷した。その直後、一発の銃弾が『ゼラ・ランダン』の進路を遮るように飛び去る。マーディンが放った牽制撃だ。そしてマーディンの聲。
「キノッサ!! 戦えーーー!!!!」
マーディンの聲に命じられるまま、キノッサは瞼をきつく閉じると無我夢中で、鑓を持つ『ルーン・ゴート』の左腕を突き出させた。
「わぁあああああああ!!!!」
直後にガガガン!…と機を激しく揺さぶる衝撃と震。キノッサは脳味噌が攪拌され、ヘルメットごと頭を持っていかれそうな思いをする。しかしその生存本能は、そのまま意識を失う事を許さなかった。すぐに我に返り、何がどうなったかを確かめようとする。
まず聴覚は、つい今しがたまであれ程けたたましく鳴り続けていた、ロックオン警報が止んでいる事に気付く。そしてコクピットを包む全周囲モニターのマーカー表示が示すまま、後ろを振り向いた視覚は、ポジトロンランスに機を貫かれている敵の『ゼラ・ランダン:バスター』が、無重力空間に漂ったのち、発を起こす瞬間を捉えた。
マーディンの牽制撃に対する回避運で、キノッサ機に対する點をずらされた『ゼラ・ランダン』のパイロットは、一旦キノッサ機をやり過ごして反転し、再度距離を詰めて撃しようと考えたのだ。だがその航過する際に、キノッサの突き出したポジトロンランスの間合いにってしまい、機が串刺しになってしまったのである。キノッサにとっての幸運は半分以上が偶然であるが、相手のパイロットがなまじ練者であったため、機より火力を重視した機で、紙一重の機戦を行おうとした過失。キノッサ自が恐怖に駆られて、むやみにポジトロンランスを振り回すのではなく、穂先を敵機にロックオンさせ続ける正しい戦といった、様々な要因が、戦場での生死を分ける好例であった。
「やった…やったッスか………ホントに…」
肩で息をしながら自分の戦果を確かめたキノッサは、戦場で立ち止まる危険を思い起こして、すぐに機を発進させる。そして自分の戦果に手を貸してくれた、マーディンの位置を再び探し始めた。
「マ、マーディン様は?」
そのマーディンは、キノッサを援護した直後、超電磁ライフルを失っていた。あのとき撃たなかった親衛隊仕様機に、振り向きざまの斬撃を喰らい、防のために咄嗟に出した超電磁ライフルを破壊されたのだ。
その後、互いに距離を取って仕切り直した三機は、宇宙空間にいびつな三角形を描く形でにらみ合っている。二対一でマーディンはが不利な狀況は変わらない。しかも相手の二機は手練れだった。ただマーディンに焦りはない。
「試してみるか…」
そう呟くマーディンの言葉と共に、彼の『シデンSC』はQブレードを鞘に収めて、代わりにバックパックのハードポイントに固定していた、大型のポジトロンランスを手にする。下段に構えられたその鑓は柄がびて、さらに長さを増した。
▶#08につづく
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