《銀河戦國記ノヴァルナ 第2章:運命の星、摑む者》#13
被弾の衝撃が『サモンジSV』のコクピットを激しく揺らし、ギィゲルトは「うむぅ…」とき聲をらした。機正面を『センクウNX』に向けたまま、ライフルを撃ちながら、『サモンジSV』は出せるだけの速度で後退し続ける。
激突を繰り返した巖塊が上下左右から飛來する間を複雑な機ですり抜け、斬撃の屆く距離まで、さらに間合いを詰めようとするノヴァルナの『センクウNX』。
だがそこへをして主君ギィゲルトを救援するため、複數の親衛隊仕様機『トリュウCB』がノヴァルナの前へ殺到して來た。不規則軌道を取る大量の巖塊の間を高速で抜けて來るのであるから、かなりの技量を有するパイロット達である事は間違いない。手ごわい敵だ。
「ギィゲルト様。お退(ひ)き下さい。この先に戦艦を待機させております」
親衛隊のパイロットが『サモンジSV』に通信をれる。それと同時に『サモンジSV』の戦狀況ホログラムにデータが転送され、パイロットが告げた戦艦の位置表示が追加された。戦艦『ヴェモールド』…通常の艦隊型戦艦だが、この混戦の中でもほとんど損害をけずにいる。しかも周囲には戦艦四隻に加え、重巡戦隊と二個宙雷戦隊が護衛として付いていた。
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これはイマーガラ軍第5艦隊司令の、モルトス=オガヴェイが機転を利かせて、指揮能力を失った主君と総旗艦に代わり、手配を命じたものだった。ちなみに総旗艦『ヒテン』は、ノヴァルナ達の奇襲攻撃で機能不全を起こしたまま、小星デーン・ガークの部分崩壊に巻き込まれ、航行不能狀態で漂流している。
「よしなに頼む!」
親衛隊パイロットに応じたギィゲルトは、『サモンジSV』に「撤退急げ!」と命じた。自分が為すべき事はノヴァルナを一騎打ちで倒す事ではなく、この戦いに最終的に勝利する事だと心得ているからだ。親衛隊の機數からして“トランサー”を発したノヴァルナを相手に、全滅させられる可能も高いが、それが彼等の役目だと割り切るのも、太守として必要な素養である。
超電磁ライフルを放ちながら、取り囲むように『センクウNX』へ迫る親衛隊の『トリュウCB』。“トランサー”を発しているノヴァルナは、警戒センサーの反応を視覚で見なくとも、いわゆる“心眼”で敵の位置ときを、捕捉できるようになっている。衝突コースにって來る巖塊を間一髪で躱し、命中の心配はない敵弾は放置。前進速度を落とさぬようにし、機をスクロールさせながらノールックでライフルを放つと、『トリュウCB』が二機、三機と散する。
だがイマーガラ軍親衛隊も、主君を守るため必死である。さらに二機が銃撃に撃破されても、強引に『センクウNX』へ間合いを詰めて來た。素早くQブレードをポジトロンパイクに変えて、ノヴァルナは敵機と得を打ち合う。超高速で飛びながら、電子の力場を帯びた刃を二合、三合…切り結ぶ度に紫電の火花が散る。
「めんどくせぇ!!」
機出力の差で敵機を突き飛ばした次の瞬間、『センクウNX』はさらに敵機の板を蹴りつけた。ポジトロンパイクを構え直そうとしたその敵機は、飛來した巖塊に激突して火だるまとなる。
ただこの時にはもう『センクウNX』は、次の敵機と刃をえていた。次の敵機はQブレードを二刀流に持つ強敵である。対するノヴァルナは“トランサー”狀態ではあるものの、ギィゲルトを逃がすまいという焦りが、集中力をいつもより妨げていた。ポジトロンパイクより側の間合いまで飛び込んで來た敵機のブレードが、『センクウNX』の板を斜め十字に切り裂いて來る。
“トランサー”発のパイロットには、神集中により機を包む重力子フィールド出力を偏向させ、一種の理防バリアを張る能力が付加される。これを破るにはかなり強力な斬撃…つまり一撃必殺となるような理攻撃が必要だった。しかし集中力が足りない今のノヴァルナの『センクウNX』は、部に損害をける。裝甲板とその下の外殻フレーム、さらにその下の電子整流機の一部が切り裂かれ、赤いプラズマが噴き出した。
だが深手ではない。電子整流機は破損個所のみが、自的に回路を閉塞され、噴き出していた赤いプラズマも停止した。そして斬りかかって來た敵機は、第二撃を放とうとしたところを、『センクウNX』がポジトロンパイクによって、斬り捨てる。
それでもまだ敵の親衛隊機は、十機以上が接近していた。それに今の戦闘で『サモンジSV』との距離が、し開いてしまっている。ギィゲルトを待つ戦艦との距離を考えると、もはや殘りの敵機を相手にしている時間はない。
“クソッ! こうなりゃ危険だが、追撃に専念するしか!”
するとその直後、ノヴァルナから一時退避を命じられていた、『ホロウシュ』が次々と急行して來た。真っ先に敵機に仕掛けるのは無論、ラン・マリュウ=フォレスタの機。それに続き、ナルマルザ=ササーラとヨヴェ=カージェス。さらにナガート=ヤーグマーとガラク=モッカに、キスティス=ハーシェルだ。その他の機も必死にノヴァルナに追いつこうとしている。
「ノヴァルナ様。ここは我等が!」とラン。
「殿はギィゲルトを!」とカージェス。
ノヴァルナは「おう。済まねぇ!!」と告げて、スロットルを全開にした。
▶#14につづく
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