《骸骨魔師のプレイ日記》降り立ったのは、地下でした
私が目を醒ますと、そこは薄暗い通路だった。って言うか…
「臭ッ!?」
思わずんでしまうほど、臭い!ここはそれなりに狹い通路だったらしく、私のび聲が反響していた。
それはともかく、此処はどこだ?もしかしてここは下水道なのか!?…マップで確認しました。ここはファースの街(下水道)となっております。嫌がらせ?嫌がらせですよね!?
「失禮なことはしていなかったハズなんだがなぁ…」
自分の気付かない所で無禮を働いていたのだろうか。その結果がこれだ、と言うのなら甘んじてけれる他あるまい。
疑似異世界型のVRゲームでは、NPCの機嫌次第で驚くほどに理不盡な目に會うのはゲームに疎い私でも知っている常識だ。ただ、好みにドストライクなNPCに嫌われたのは結構ショックだったりする。
「…ここでウジウジしても意味はない。先に進む…か?」
いや、待て。別れ際にイーファ様は何と仰った?アレは何かの呪文ないし合言葉だったのでは?気になるな。
「ええと、『足も…ッ!?」
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うおおッ!?背中に何かぶつかったぞ!?
「お前か…!」
私が背後を振り返ると、そこにはネズミが…そう、二足歩行で立つネズミがいたのだ。ただし、夢の國のネズミのように可らしくデフォルメされている訳ではない。ガリガリの小男の頭部を巨大なドブネズミのソレとすげ替えたような醜悪な容姿だ。その頭部には魔を表す黒いアイコンと力バー、そしていくらかの報が書かれていた。
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種族(レイス):小鼠男(レッサーラットマン) Lv5
職業(ジョブ):なし
能力(スキル):【???】
【???】
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ほほぅ?小鼠男(レッサーラットマン)とな?それに【???】というのは…なるほど、【鑑定】のレベル不足か。
種族(レイス)では負けてるけど、能力(スキル)の數では圧倒してるし職業(ジョブ)に至っては無いのか。総合力では互角、だと思いたいな。
「ヂューー!」
どうやら相手は悠長に戦力差を確認させてくれないみたいだ。小鼠男(レッサーラットマン)は獣みたいに飛び掛かって鋭い前歯でもって噛みついてくる。思っていたよりも素早いな!
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「うおおっ!」
「ヂュヂュ!?」
躱すのは不可能だと諦めた私は、一か八か、手に握っていた初期裝備の杖を振って迎撃する。小鼠男(レッサーラットマン)は反撃を想定していなかったのか、私のバットの素振りのような大振りの一撃を顔面に喰らってくれた。
すると黒いアイコンの上に二つの小さな星が回って円を描くエフェクトがついている。何事かと思ってエフェクトを【鑑定】すると、『狀態異常:気絶(8)』と表示され…ん?數字が減った?とするとこれは気絶の殘り時間か。急げ!
「ふん!せい!おりゃあ!」
「ヂュッ、ヂュ、ヂィ…」
――――――――――
戦闘に勝利しました。
種族(レイス)レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。
職業(ジョブ)レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。
【杖】レベルが上昇しました。
【鑑定】レベルが上昇しました。
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「勝った、けどなぁ…」
流れる戦闘ログを聞き流しながら、私は項垂れる。格上相手に勝利したのに、レベルも上がって新しい能力(スキル)を取るためのSPも手にれたのに喜んでいないのは何故かって?それはログを見れば解るんじゃないかな?
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そうだよ!魔、使ってないんだよ!気絶した小鼠男(レッサーラットマン)の頭を杖でひたすら毆って気絶狀態を維持して倒したのだ。うう、魔を使えない魔師なんて味噌のない味噌みたいなもんじゃないか…。
「文句を言っても仕方がないか。よし、剝ぎ取ろう」
半分諦めの境地に至った私は初期裝備の一つである剝ぎ取りナイフを小鼠男(レッサーラットマン)の死に突き立てる。すると小鼠男(レッサーラットマン)の死は白い粒子となり、私のストレージに二つのアイテムが追加されていた。
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鼠の皮 品質:劣 レア度:C
鼠の前歯 品質:劣 レア度:C
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これだけではどの程度アイテムなのか解らないだろう。ここで公式報を調べてみよう。それによると品質は『神>優>良>可>劣>屑』の、レア度は『G(神級)>L(伝説級)>T(寶級)>S(特別級)>R(希級)>C(普通級)』の六段階らしい。
こ、これはひどい…!使途不明かつ二束三文にもならないゴミじゃないか!苦労に対して割に合わないぞ?
いや、落ち著け、私。先ずはイーファ様のお告げを試してみるのが先決だ。これで何か有用なものがあれば気にられた証拠、何もなければ私は弄ばれただけ、そしてヤバい何かがいたなら嫌われたと思うべきだ。よし!
「『足元注意』!」
私は祈るような気持ちで神から託されたキーワードを唱える。さあ鬼が出るか蛇が出るか…!
ゴゴゴ…
お?おおお!凄いぞ!石同士がれるような音がしたかと思えば、下水道の壁がいて隠し扉が現れたではないか!基地っぽい仕掛けに年甲斐もなく興を抑えられない!
この向こうに何があるのかは全く解らない。現実でこんなあからさまに怪しい扉があったら見なかったフリをして逃げただろう。だが、ここはゲームの世界。冒険しなければ損だ。
「いざ行かん!虎にらずんば虎児を得ずよ!」
私は己を鼓舞しつつ扉のノブを握る。すると、頭の中にポーンと音がするではないか。これはレベルアップなどのインフォメーションが屆いた合図だったな。
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イザームは隠しエリア『異端魔導師の研究室』を発見した。
発見報酬として100SPが授與されます。
【考古學】レベルが上昇しました。
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隠しエリア、それも『異端魔導師の研究室』と來たか。そして【考古學】のレベルも上昇、と。しかも100SPだと?現在取得可能な能力(スキル)を全て取っても有り余るじゃないか。都合がいい。実に都合がいい。
だが、都合が良すぎるのではないだろうか。これ程のお膳立てをされて、多ひねくれている私は純粋な好意だとけとる事は出來ない。それにこのSPにも意味がありそうだ。どう考えてもイーファ様には何か目的があったとしか思えないぞ。
「…乗って差し上げようじゃないか」
何を考えているのかは解らないが、私の目指すロールプレイに役立つのならそれでいい。掌で踴るのも悪くない。むしろイーファ様が困するくらい派手に踴ってやろう。
私は意を決して扉を開ける。するとそこは正しく怪しい魔師の研究室と言うべき場所であった。剝き出しの土壁をくり貫いて設置された本棚には研究レポートらしきものがぎっしりと詰まっており、部屋の隅には錬金や実験に使うのだろう大釜やフラスコなどが理路整然と並んでいる。
実験や本棚に積もった埃から、ここに人の手がらなくなって相當時間が経っていると思われる。正確な年月などは全く解らないが。
それよりも気になるのは、下水道に続くのとは別の扉があることだ。あの奧には一何があるのだろうか。行ってみるしかあるまい。
コンコンコン
私は念のために扉をノックしてみる。それなら研究室にる前にやれと自分でも思ったが、先程は失念していたのだ。
ノックしてから一分経過したが、反応は無い。ならば恐らくは無人なのだろう。私は奧の扉を開いた。
「ここは…私室か」
どうやらこちらは前の持ち主のプライベートスペースであったらしい。埃の積もり合から見て、実験室と同じ位の年月放置されたと思われる。ここにいたのは一どんな仁だったのか。
そんな事を考えながら、私は私室の機や椅子にれる。うん、十分使えそうだな。出來れば此処を拠點にしたいものだ。このベッドも固いがこの骨しかないならば関係な…
――――――――――
隠しエリア『異端魔導師の研究室』をリスポーン地點に設定しますか?
YES/NO
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ほほう、このベッドにれる事がリスポーン地點として登録出來る條件だったようだな。これは迷わずYESだ。
さて、拠點も出來た事だし、これからどうするかだが…前の持ち主の研究をまるっと吸収する以外に選択肢はあるまい。私の目標である恐ろしい骸骨魔師が使いそうな魔がきっとあるだろう。
そうと決まれば早速家捜しの時間だ。舊時代のRPGの勇者よろしく、家中のあらゆるものを調べて見せようじゃないか!
◆◇◆◇◆◇
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【鑑定】レベルが上昇しました。
【言語學】レベルが上昇しました。
【考古學】レベルが上昇しました。
――――――――――
結論から言おう!現狀でこの叡智の結晶を我がとするのは無理だ。いや、元々私の趣味は読書だから苦痛ではないんだ。むしろ割りと初期の実験結果なんかは失敗だらけで悪戦苦闘しているのが面白い。
ただ、基礎の本が一切無いっぽいのだ。本棚にあるのは全て怪しげな研究レポートか専門書で、今の私のレベルでは失敗する所か実験に著手することすら不可能だろう。さらに思った以上に量があって、【言語學】と【考古學】のレベルが上がりするくらいに難解かつ古めかしい言い回しだらけという鬼畜仕様。しかも、一部の本に至っては【言語學】があるのに題名すら読めないものがある。どうにもならんわ!
「気分を変える、か」
私は実験室から私室に移る。そしてベッドに橫たわった。固いベッドの上でゴロゴロしていると、私室の機の引き出しをまだ調べていない事に気がついた。
思い立ったら吉日、というじで早速引き出しをオープン。するとそこには現金がった巾著と一冊の本があった。金は今のところ使う機會が無いので放置するが、問題は本の方である。これもレポートなのだろうか?
「これは、日記か」
私の予想とは異なり、これは前の持ち主の日記帳だったらしい。私だったら日記を他人に読まれるなど死んでもゴメンだが、慈悲は無い。読ませて頂こう。
「……ん?これは…」
日記の容は研究についての事ばかりであった。恥ずかしいポエムや妄想などは書かれておらず、その日の実験は上手く行っただとか失敗の原因が解らないだとか明日はこうしようとか言ったじだ。その中に気になる箇所を発見したのだ。
――――――――――
◯月×日
今日は買い出しのため、久々に地上へ出た。その帰りに普段とは違うルートを通った所、面白い事に気がついた。どうやら私の研究室から南に二ブロック、西に三ブロック進んだ位置にある梯子を上ると図書館に繋がっているようなのだ。試しに行ってみると警備はザルな上に夜中だったので、簡単に侵出來た。まあ、こんな辺境の図書館に私を満足させる書があるとは思えない。もう二度と使う事はないだろう。
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著者からすれば他ない報なのだろう。しかし、私にとっては何よりの朗報である。これは侵せざるをえまい。
「ええと、今は…夕方の六時か。なら、一度ログアウトして戻ってくれば丁度休憩にもなるか」
昨今のVR機では思考加速機能が普通に搭載されている。このゲームでは現実の四倍で時間が進んでいるのだ。即ち、現実での一時間はここでの四時間なのである。
一時間半の休憩で水分補給とトイレを済ませてから戻ってこよう。何、明日は休日だ。じっくり楽しめば良い。
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名前(ネーム):イザーム
種族(レイス):く骸骨(スケルトン) Lv1 up!
職業(ジョブ):見習い魔師 Lv1 up!
能力(スキル):殘りSP 102
【杖】Lv1 up!
【闇魔】 Lv0
【考古學】 Lv5 up!
【言語學】 Lv3 up!
【錬金】 Lv0
【鑑定】 Lv3 up!
【暗視】 Lv-
【狀態異常無効】 Lv-
【屬脆弱】 Lv10
【打撃脆弱】 Lv10
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【書籍化・コミカライズ】誰にも愛されなかった醜穢令嬢が幸せになるまで〜嫁ぎ先は暴虐公爵と聞いていたのですが、実は優しく誠実なお方で気がつくと溺愛されていました〜【二章完】
『醜穢令嬢』『傍若無人の人でなし』『ハグル家の疫病神』『骨』──それらは、伯爵家の娘であるアメリアへの蔑稱だ。 その名の通り、アメリアの容姿は目を覆うものがあった。 骨まで見えそうなほど痩せ細った體軀に、不健康な肌色、ドレスは薄汚れている。 義母と腹違いの妹に虐げられ、食事もロクに與えられず、離れに隔離され続けたためだ。 陞爵を目指すハグル家にとって、侍女との不貞によって生まれたアメリアはお荷物でしかなかった。 誰からも愛されず必要とされず、あとは朽ち果てるだけの日々。 今日も一日一回の貧相な食事の足しになればと、庭園の雑草を採取していたある日、アメリアに婚約の話が舞い込む。 お相手は、社交會で『暴虐公爵』と悪名高いローガン公爵。 「この結婚に愛はない」と、當初はドライに接してくるローガンだったが……。 「なんだそのボロボロのドレスは。この金で新しいドレスを買え」「なぜ一食しか食べようとしない。しっかりと三食摂れ」 蓋を開けてみれば、ローガンはちょっぴり口は悪いものの根は優しく誠実な貴公子だった。 幸薄くも健気で前向きなアメリアを、ローガンは無自覚に溺愛していく。 そんな中ローガンは、絶望的な人生の中で培ったアメリアの”ある能力”にも気づき……。 「ハグル家はこんな逸材を押し込めていたのか……國家レベルの損失だ……」「あの……旦那様?」 一方アメリアがいなくなった実家では、ひたひたと崩壊の足音が近づいていて──。 これは、愛されなかった令嬢がちょっぴり言葉はきついけれど優しい公爵に不器用ながらも溺愛され、無自覚に持っていた能力を認められ、幸せになっていく話。 ※書籍化・コミカライズ決定致しました。皆様本當にありがとうございます。 ※ほっこり度&糖分度高めですが、ざまぁ要素もあります。 ※カクヨム、アルファポリス、ノベルアップにも掲載中。 6/3 第一章完結しました。 6/3-6/4日間総合1位 6/3- 6/12 週間総合1位 6/20-7/8 月間総合1位
8 88ロング・ロング・ラブ・ストーリーズ 4度目のさようなら that had occurred during the 172 years
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