《骸骨魔師のプレイ日記》強敵(鼠)

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脆弱】スキルが緩和されました。

運営インフォメーションが2件屆いています。

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ログインしました。六時間ほど寢たので頭スッキリだ。おお、あれでも経験値は一応稼げていたのか。これは重畳。塵も積もればなんとやら、って事だな。

それで運営からのインフォか。何々…イベント報か。來週の日曜日に闘技大會とプレイヤーが生産した作品の品評會がある、と。ふむふむ、なるほど。

人間達は和気藹々としているなぁ。街中にった時點でアウトなのでイベントはスルーせざるを得ないのが魔プレイヤーの悲しい業である。まあ、私は悪役プレイをするつもりなので余り興味は無いのだが。

それよりも先ずは狩りだ。骸骨コンビはまだまだ使えるし昨日はあれで十分だったから、新たに連れていく必要はあるまい。では行くか。

◆◇◆◇◆◇

「昨日はこの辺りで引き返したんだったか」

道中で小鼠男(レッサーラットマン)を蹴散らしながら、下水道をひたすら東に進んでいた。現在は拠點から東に六ブロック地點。戦闘は數回あったが、特筆すべき事は無い。と言うか私のレベルも上がったせいでもう小鼠男(レッサーラットマン)では足りなくなってきた。経験値も味しくない。丁度いい敵はいないものか。

「む、待機」

下水道の橫路から何かの影が出てきたので、私は下僕に待機を命じる。相手はこちらに気付いていない。シルエットからすると小鼠男(レッサーラットマン)なのだが、様子がおかしい。何故なら、その影は武を持っているように見えるのだ。これは【鑑定】せねばなるまい。

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種族(レイス):鼠男(ラットマン) Lv??

職業(ジョブ):見習い戦士 Lv3

能力(スキル):【悪食】

【牙】

【剣】

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は?いやいや、なんだあいつは!思わず変な聲が出そうになったわ。小(レッサー)がとれてる、ってことは説明文にもあった進化した個、上位種って奴か。

進化とは特定の條件を満たしたあ(・)ら(・)ゆ(・)る(・)種(・)族(・)が一段階上の存在へと強化される事だ。進化した個はあらゆる能力が上昇しており、進化前と比べると圧倒的に強くなっているらしい。つまるところ、あの鼠男(ラットマン)は今まで私が相手にしてきた小鼠男(レッサーラットマン)とは別格の強さなのだ。

そして何よりも驚いたのは、奴が職業(ジョブ)持ちである點だ。小鼠男(レッサーラットマン)はどいつもこいつも職業(ジョブ)なんて持ってなかったのに!

【鑑定】でレベルが見えない事からも相手が格上なのは明らかだ。幸いにも気付かれていない。ではどうするか。

「魔強化(マジックブースト)、罠魔法陣設置…」

やってやろうじゃないか。ここで退くのは面白くない。格上?上等だ。経験値にしてくれるわ!

「魔法陣起…行くぞ!闇槍(ダークランス)!」

「ヂュギャア!?」

私は【付與】と【魔法陣】で出來る限りの強化を施した闇槍(ダークランス)を鼠男(ラットマン)に放つ。黒い槍は一直線に鼠男(ラットマン)へと飛び、【奇襲】の効果もあって彼奴の力を三割ほど削り取った。

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しかし、逆に言えば【奇襲】ありきでも三割しか効いていないことになる。私の闇槍(ダークランス)ならば【奇襲】無しでも小鼠男(レッサーラットマン)を確殺出來るので、こいつはその數倍の力を持つ事になる。魔への抵抗力も上がっているだろうから正確な數値は知らないが。

「ヂュガアアアアア!」

兎に角、仕留められなかったのは確かだ。不意討ちを食らった鼠男(ラットマン)は怒り狂ったらしい。鼠とは思えない野太い咆哮を上げながらこっちに突っ込んで來る。ただし、そのくらいは想定だ。

「石球(ストーンボール)、水球(ウォーターボール)」

私は二つの魔を連続して放つ。【魔法陣】レベルが上がっていれば同時に使えるのだが、無いねだりをしても仕方がないだろう。

私の魔は鼠男(ラットマン)目掛けて真っ直ぐ飛んでいく。だが、流石は進化した個と言うべきか。俊敏なきで魔を易々と躱した。

「掛かったな」

「ヂュ?」

私は作戦が上手く運んだ事にほくそ笑む。下位種族ですら魔を避けようとしたのだ。奴に出來ないハズがない。だから私は【魔】を用いて魔の軌道を変えて無理に當てようとせず、彼奴の回避を促して罠へと導したのだ。ここが狹い下水道だから出來た作戦だな。

そして私が【罠魔】によって設置したのは、【呪】の『敏捷低下の呪い』だ。今、あの鼠男(ラットマン)は自分の足が突然かし難くなって揺している。今がチャンスだ。

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「火球(ファイアボール)、風球(ウインドボール)」

「ガガッ…!」

今度こそ、私は【魔】を使用する。魔が追尾しないと思い込んでいた鼠男(ラットマン)は、足が遅くなっても躱せると高を括っていたらしい。突然グニャリと軌道を変えた火球(ファイアボール)が著弾して燃え上がり、追撃の風球(ウインドボール)によってが切り裂かれる。これで相手の力は殘り五割!

「闇槍(ダークランス)!」

怯んでいる鼠男(ラットマン)に、闇槍(ダークランス)を叩き込む。流石は今の最大火力、一撃で力の一割も削ってくれた。

「ヂィギャアアアア!」

「魔力球(マジックボール)、チッ!」

やられたい放題の鼠男(ラットマン)だが、回避を捨てたらしい。魔力球(マジックボール)のダメージを食らいながら真っ直ぐこっちに來るではないか。攻撃は最大の防ってか?この狀況なら大正解だよ、畜生!

「行け!」

「カタカタ」

私の命令に従って、待機させていた下僕の片割れが彼奴の腰にタックルをかます。筋力の差が激しいのでほとんど足止めになっておらず、事実鼠男(ラットマン)も鬱陶しそうにしながらも無視して歩を進めていた。

「馬鹿め。ぜろ!」

「ヂィィ!?」

轟音と共に私の下僕が発四散する。ここで私が使ったのは【死霊魔】だ。【死霊魔】は不死(アンデッド)の使役・強化・創造が可能だが、その使役の命令に『自』がある。その対象は【召喚】で喚び出した下僕でも有効だ。

そして『自』は下僕の殘り力と同じダメージを與え、尚且つ自したモノによって異なる追加効果を引き起こす事もある兇悪な命令だ。代わりに壁が一枚無くなるリスクを背負うのだからバランスは取れているのだろう。

そして、く骸骨(スケルトン)の追加効果は骨の飛散による斬撃・刺突ダメージと低確率の出だ。出は毒と同じくスリップダメージを與える狀態異常で、毒との違いはスリップダメージはないがそのままにしておくとステータスにペナルティをける點だ。さて、どうなった?

「ヂュゥ、ヂュゥ…」

鼠男(ラットマン)は中に骨が突き刺さった痛々しい姿になっているが、頭の上のマーカーによると出はしていないようだ。確率なのだから仕方がない。

しかし、奴は息も絶え絶えの瀕死だ。このまま仕留めてや…ってヤバい!火事場の馬鹿力って奴か!?早いぞ!

「ヂュアアア!」

「守れ!」

「カタカ…」

「ヂュウウウウ!」

うおっ!強化したく骸骨(スケルトン)が一刀両斷だと?何て威力だ!私だと即死するぞ!

「ヂュヂュヂュ!」

「ぐっ!」

これで私を守る壁は無くなった。絶絶命のピンチって奴だ。そしてこの狀況を打破する手段を私は持ち合わせていない。詰みだ。

「ヂュガアア!」

「ここまで、か」

鼠男(ラットマン)は勝利を確信した雄びと共に剣を振り上げて一気に踏み込んでくる。次に私が目覚めるのは研究室のベッドの上だ。

「と、思っていたのか?」

「ガッ…?」

ふふふ、私を甘く見たようだな。下僕が自して奴の視界が遮られた時、最悪を想定して私の足元に新たな【罠魔】を設置していたのだよ!込めた魔はもちろん最大火力の闇槍(ダークランス)である。

鼠男(ラットマン)が踏み込んで罠を踏んだ瞬間、足下から黒い槍が飛び出して奴のを抉る。そこは急所だったようで、ただでさえミリ殘りだった力が一瞬で吹き飛んだ。私の勝利である。

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戦闘に勝利しました。

種族(レイス)レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。

職業(ジョブ)レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。

【杖】レベルが上昇しました。

【魔力制】レベルが上昇しました。

【土魔】レベルが上昇しました。

新たに石槍(ストーンランス)と石壁(ストーンウォール)の呪文を習得しました。

【水魔】レベルが上昇しました。

新たに水槍(ウォーターランス)と水壁(ウォーターウォール)の呪文を習得しました。

【火魔】レベルが上昇しました。

新たに火槍(ファイアランス)と火壁(ファイアウォール)の呪文を習得しました。

【風魔】レベルが上昇しました。

新たに風槍(ウインドランス)と風壁(ウインドウォール)の呪文を習得しました。

【闇魔】レベルが上昇しました。

【無魔】レベルが上昇しました。

新たに魔力剣(マジックソード)と魔力盾(マジックシールド)の呪文を習得しました。

【召喚】レベルが上昇しました。

【付與】レベルが上昇しました。

【魔法陣】レベルが上昇しました。

【死霊魔】レベルが上昇しました。

【呪】レベルが上昇しました。

【罠魔】レベルが上昇しました。

【鑑定】レベルが上昇しました。

【隠】レベルが上昇しました。

【忍び足】レベルが上昇しました。

【奇襲】レベルが上昇しました。

稱號(タイトル)、『下剋上』を獲得しました。

稱號(タイトル)、『神算鬼謀』を獲得しました。

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「フフフフ、ククククク、ハーッハッハッハ!」

やった、やってやったぞ!思わず悪役風三段笑いが出てしまう位の達だ!もし私の手札が一枚でも欠けていれば、今頃私は私室のベッドに死に戻りしていただろう。

いや、正直滅茶苦茶キツかった。けど、やってみるものだな。魔力もほぼ空で下僕もやられたからもう狩りは出來ない。だが、それ以上の収穫があったのは事実だ。能力(スキル)が軒並み上がっただけでなく、多くの新たな呪文と二つも稱號(タイトル)まで得られたのだからな。確認しておこう。

先ずは呪文だ。【闇魔】だと闇槍(ダークランス)と闇波(ダークウェイブ)だったが、四屬は◯槍(ランス)と◯壁(ウォール)なのか。確かに、魔師は防手段として武に頼れない。早めに防が使えるのは有難いな。

問題は【無魔】だ。検証してみないとわからないが、これ、近接用魔なんじゃないか?近付かれた時の非常手段ってじで。使う機會が來ない事を祈ろう。

次は稱號(タイトル)に移ろう。各々の詳細は以下の通り。

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下剋上

格上に単獨勝利した者に贈られる稱號。

自分より高レベルの敵と戦闘時、あらゆる能力を強化。

獲得條件:Lv5以上の時、二倍以上のレベルの敵を単獨撃破

神算鬼謀

非常に優れた策士へ贈られる稱號。

罠のダメージ増加、罠が発見される確率低下、味方の能力微増加。

獲得條件:二倍以上のレベルの敵を罠を用いてノーダメージで単獨撃破

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うーん、素晴らしい。素晴らしいんだが…下剋上はともかく神算鬼謀ってのはこっ恥ずかしいな。神算鬼謀とは前漢の張良や三國志の諸葛亮公明にこそ相応しい。悪役志者としてはそれっぽくて嬉しいが、運が良かっただけの私には大袈裟過ぎる。

獲得條件がかなり厳しいから私のような小人が得られるとは想定していなかったのだろう。まあ、あって困るでもないし、有り難く頂戴しておこうか。それでは素材を剝ぎ取ってから帰るとしよう。

◆◇◆◇◆◇

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【隠】レベルが上昇しました。

【忍び足】レベルが上昇しました。

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あー怖かった。あの辺、鼠男(ラットマン)が結構徘徊してるんだな。危な過ぎる。東の探索は一旦中止だ。なくとも鼠男(ラットマン)一なら余裕で狩れるようになってからにするべきだな。

ん?鼠男(ラットマン)からのドロップアイテムは無いのかって?…聞かないでくれ、悲しくなる。察してくれ。

気を取り直して、魔力が回復するまで何を読もうか。研究室の資料もいいが、そう言えば前の持ち主の日記が読みきれていなかったな。図書館についての下りで切り上げたのだ。あれを最後まで読んで見ようかね。

◆◇◆◇◆◇

はぁ…読むんじゃ無かった。この日記、進むに従って書き手が病んで行くのだ。読後が最悪の類いである。

何でもこの人が【死霊魔】などに傾倒した切っ掛けは、する家族を喪ったことらしい。それでどうにかして家族を蘇生させようとして、手を出したのが【死霊魔】だった。

だが、【死霊魔】では家族をゾンビにすることは出來ても復活とは程遠い。なのでより完璧な復活のために【呪】などにも手を広げていったようだ。

しかし研究は遅々として進まず、募る苛立ちは徐々に彼を蝕んでいった。日記の中盤辺りでは完全に支離滅裂なことばかり書かれていて、正直気が滅ってしまった。だが、最後が近付くに連れて何らかの進展があったらしい。そして日記の最後はこう締め括られている。

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□月△日

ようやくだ。ようやく私の夢が、家族の復活が葉う。死者の魂を現世に呼び出す、【降霊】の獲得方法がようやく判明したのだ。それは百人の清らかな乙と聖を冥界に捧げること。條件が判明した今、あとは百一人のを集めるだけだ。

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【降霊】ね。死者の魂を現世に呼び出す、と來たか。東北のイタコとかの領分だったっけ。

私の雰囲気にはバッチリななのだが、生憎と私はNPCを殺する積もりはない。プレイヤーと違ってリポップしない彼らを殺してしまうのは避けたいからな。違う方法を探そう。それでもし、この方法しか無いのなら…諦めるか。

いや、諦められるのか?その時になってみないと解らないな。信條と我で揺れるとは…つくづく私は主人公になれない格をしていると実させられるな!

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名前(ネーム):イザーム

種族(レイス):く骸骨(スケルトン) Lv6 up!

職業(ジョブ):見習い魔師 Lv6 up!

稱號(タイトル):理の探求者

稱號を得し者

異端なる者

下剋上 new!

神算鬼謀 new!

能力(スキル):殘りSP 108

【杖】Lv6 up!

【魔力制】 Lv6 up!

【土魔】 Lv5 up!

【水魔】 Lv5 up!

【火魔】 Lv5 up!

【風魔】 Lv5 up!

【闇魔】 Lv6 up!

【無魔】 Lv5 up!

【召喚】 Lv5 up!

【付與】 Lv3 up!

【魔法陣】 Lv3 up!

【死霊魔】 Lv2 up!

【呪】 Lv2 up!

【罠魔】 Lv2 up!

【考古學】 Lv6

【言語學】 Lv4

【薬學】 Lv0

【錬金】 Lv0

【鑑定】 Lv6 up!

【暗視】 Lv-

【隠】 Lv7 up!

【忍び足】 Lv6 up!

【奇襲】 Lv4 up!

【狀態異常無効】 Lv-

脆弱】 Lv7 down!

【打撃脆弱】 Lv10

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