暗い話を読んだせいで興が殺がれたな。格上に勝った達と高揚が全て吹き飛んでしまったぞ。いい気分で酔っ払っていた時に納期が明日だと聞かされて酔いが一気に醒めた時と同じ気分だ。

もう本を読む気が起きないし、かといって魔力も無いから新しいの検証も出來ない。なら何をしようか。とりあえずランプを點けて…っと。

あ、レベルも上がったし、魔石二つでも大丈夫になってるかな？試してみよう。…お、ギリギリで回復量が上回ってるな。今後は魔石二つで行くとしよう。

そう言えば、この自傷行為めいた修行って【魔】を獲得出來るようになるためにやってるんだよな。いい機會だし、SPを消費して取得出來る能力(スキル)を見てみようか。

系統別に並び替えて、と。まずは武系か。おお、キャラクタークリエイト時もそうだったけど、魔師でも【剣】とか取れるんだな。けど5SP消費って重すぎないか？基本の四屬魔はどれも1SP消費だったぞ。

もしそうならSPを使ってあらゆる武を使いこなす『ウェポンマスター』みたいなのを目指すのってかなり大変なんだろうな。狀況に応じて武を切り替えるってのも面白そうだけど茨の道なのかね？私には関係ないけど、頑張ってくれたまえ。

お次は魔系だけど、お楽しみは最後に回そう。ってことで生産系だな。何々…こっちは普通だ。一律で2SP消費になってる。手を出しやすくしてくれてるのかな？今の私のように手持無沙汰になった時の手みには丁度良いか。取らないけど。

次は趣味系だ。々あるなぁ。【釣り】とか【登山】とかリアルで中々時間が取れない人は嬉しいだろう。ただ、こういう能力(スキル)が無いと行けない場所や手にらないアイテムがあるってのは語だと定番の展開だ。このゲームでもあり得るかもしれないな。一応、覚えておこう。

次は…おっ？ステータス上昇系？中は…【筋力強化】に【知力強化】だと？なるほど、マスクデータであるステータスそのものを底上げする能力(スキル)って訳か。これはいくつかしいな。特に魔と関係ありそうな【知力強化】と【神強化】、それに【力回復速度上昇】と【魔力回復速度上昇】だ。

先の二つは共に5SPでし重め、後の二つは8SPとかなり重めである。これは悩むぞ。一発の威力を優先させるか継戦能力を上げるべきか。後々全部取得する事になるとは思うが、序盤をどう乗り切るかが決まるからな。

私なら継戦能力優先かな。基本的にソロなので、不測の事態に対応出來るように魔力が枯渇しにくくなる方が大事だろう。

次は、報系か。【鑑定】やら【言語學】やらがこれにあたるな。うわ、重いな。【聞き耳】とか【遠見】とかどれも10SPってぼったくりじゃないか。

あ、ひょっとしてSP消費が激しい能力(スキル)は自力獲得推奨なのか？私は本を読したり、こそこそと移することで能力(スキル)を得た。それと同じく剣を素振りすれば【剣】が、耳を澄まして盜み聞きすれば【聞き耳】が手にると思われる。最初は自力で獲得して、SPはあくまでも能力(スキル)を進化させる為に使えってことか？何とも不親切なことで。

んで、最後は魔系だな。…見事に全部『取得済みです』って出てる。まあ、それなりに頑張ったからなぁ。って、え？こ、【降霊】…だと？何故、あるんだ！？前に四屬を取得したときは無かったぞ！それに100SPって何だよ。二桁すら無い中で堂々の三桁要求って。

けど取得出來ちゃうんだよなぁ。『異端魔師の研究室』発見ボーナスと丁度同じだから。これは絶対に偶然じゃない。どう考えてもお膳立てされてるじゃないか。

興味はある。あるんだが…今回は見送ろう。取得するのはあの神様が私に何を求めているのかを知ってからでも遅くはあるまい。それに今でも沢山の魔を使いこなすのに四苦八苦しているのだ。無理にやることを増やしてもロクな事にならんさ。

おっと、そうこうしているに魔力が全回復したようだな。それでは下僕を召喚してから南の探索を開始するとしますか。

◆◇◆◇◆◇

こっちも小鼠男(レッサーラットマン)だらけだな。けど、北と東に比べて妙に數が多いのが気になる。この先に何かあるのだろうか？

「って噓だろ？」

し遠くにいる三人組。全員武を持ってるってことは鼠男(ラットマン)のトリオってことかよ！ムリムリ！撤退！

北は小鼠男(レッサーラットマン)だけ、東は鼠男(ラットマン)がちらほら、それで南は鼠男(ラットマン)がパーティー組んでる。東が危険地帯なら、南は差し詰め魔境だな。なくとも初期種族(レイス)と初期裝備で突していい場所じゃない。後回し！

ってことで西に出発。小鼠男(レッサーラットマン)よりは強いけど鼠男(ラットマン)よりは弱い。そんな都合の良い相手がいると良いんだが。

◆◇◆◇◆◇

あの、一つ言っていいですか？何も居ない！全然居ない！小鼠男(レッサーラットマン)も疎らってどういうことだよ！南が魔境だった分、落差が激し過ぎる。

何にも居ない分、探索は捗るんだけど。しかし、今は拠點から十四ブロック離れた場所だ。どうやら拠點は街の東よりにあったらしいな。

「む、壁か」

更に一ブロック進んだ所で行き止まりに當たってしまった。拠點から十五ブロックで西の端、と言うことか。

しかし、戦闘が無さすぎたせいで私のレベルが上がっていない。それどころか自然回復で力も魔力も満タンになってしまった。探索を続行するしかあるまい。

では南北どちらに向かうべきか。東と南に鼠男(ラットマン)がいたことから、西と北は比較的安全だと推測される。不測の事態に備える意味でも、北側へ行くとしよう。

「――！―――！」

「ん？」

何だ？何かの聲が聞こえたような…？聲のした方角は南か。うーむ、行くべきなのだろうか。

迷う。迷うが…行ってみよう。何かしら新たな発見があるかもしれないからな。ヤバそうなら引き返せば良いのだし。

…ええと、この辺りか？下僕達は柱のに待機させて、【隠】と【忍び足】を発させる。さて、何が起きているのやら。

「ヂュヂュー！」

「SYURRRRRR！」

何だか戦闘になっているようだ。戦っている片方はもう見慣れた小鼠男(レッサーラットマン)が二匹と鼠男(ラットマン)が一匹の群れだな。だが、もう片方は初見の敵だ。【鑑定】してみよう。

――――――――――

種族(レイス)：大蛞蝓(ビッグスラッグ) Lv7

職業(ジョブ)：なし

能力(スキル)：【粘】

【打撃耐】

【痛覚耐】

【毒噴】

――――――――――

名前で分かると思うが、連中が戦っているのは人間ほどもある巨大な蛞蝓だ。私はヌメヌメ系の生で竦み上がるほど初ではないが、あれは流石に気持ち悪い。

大蛞蝓は一なのだが、鼠男(ラットマン)達は以外と苦戦している。特に鼠男(ラットマン)は私と戦った個と同格で、武も持っているのに、だ。格下相手に手古摺っているようである。

最初は何故？と思ったが、しばらく観察していると理由がわかった。【粘】のせいだ。連中の主な攻撃手段は前歯と剣だが、これが表皮の【粘】でってしまうらしい。では毆ったり蹴ったりすれば良いのだが、ここで【打撃耐】が効いてくる。毆打での攻撃はほぼ無意味なのだ。

「ヂュガアアアア！」

「SYUUUUUUUU！？」

ここで鼠男(ラットマン)が勝負に出た。一気に距離を詰めたかと思えば、手に持った剣で突きを放ったのだ。確かに斬撃がりやすく打撃が効かない相手なら、刺突で勝負するのは合理的に思える。相手がそれで死ぬならそれでいいだろう。しかし…

「JUUUU！」

「ヂヂュッ…！」

やはりな。相手は【痛覚耐】を持っている。ならば仕留めきれなかった場合、踏み込み過ぎた鼠男(ラットマン)は反撃を食らってしまうのは當然の結果だ。

そして反撃とは最後の能力(スキル)である【毒噴】だ。大蛞蝓(ビッグスラッグ)は口から汚いのを吐き出し、至近距離で鼠男(ラットマン)に毒を浴びせた。うわっ、ここまで臭いが漂ってくるぞ？最悪の攻撃だ。

大蛞蝓(ビッグスラッグ)の毒はそこそこ強力だったらしく、鼠男(ラットマン)のマーカーに毒の表示が出ている。しかし、ここで離れることの愚を理解しているのか、飛び退く処か突き刺した剣をグリグリかして大蛞蝓(ビッグスラッグ)を仕留めに掛かった。かなりの激戦である。で、あるが…

「魔法陣展開、闇波(ダークウェイブ)」

「「「「！？」」」」

私からすれば漁夫之利を得るチャンスでしかないな。卑怯？ハッハッハ、私は悪役志ですよ？姑息？譽め言葉ですなぁ！

――――――――――

戦闘に勝利しました。

種族(レイス)レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。

職業(ジョブ)レベルが上昇しました。1SP獲得をしました。

【杖】レベルが上昇しました。

【魔力制】レベルが上昇しました。

【闇魔】レベルが上昇しました。

【鑑定】レベルが上昇しました。

【隠】レベルが上昇しました。

【忍び足】レベルが上昇しました。

【奇襲】レベルが上昇しました。

――――――――――

経験値が味しいなぁ。鼠男(ラットマン)一匹でも相當味しいのに、小鼠男(レッサーラットマン)二匹に大蛞蝓(ビッグスラッグ)一匹の計四匹が一撃だもんな。

しかし、やっぱり南側は鼠男(ラットマン)が出沒するんだな。なら、當初の予定通り探索は北側にしよう。今回みたいな味しい展開ばかりな訳がないのだから。

それに、今の戦闘は大蛞蝓(ビッグスラッグ)という鼠男(ラットマン)系以外の魔がこの下水道にいることが分かった事も大きな収穫だ。能力(スキル)の構も安全に知ることが出來たし、遭遇しても慌てずに対処可能だ。

それでドロップアイテムは…また無しか。今回は全く苦労してないから徒労も無いが、しだけ寂しいな。では、北側の探索を開始しよう。

◆◇◆◇◆◇

――――――――――

【杖】レベルが上昇しました。

【魔力制】レベルが上昇しました。

【土魔】レベルが上昇しました。

【水魔】レベルが上昇しました。

【火魔】レベルが上昇しました。

【風魔】レベルが上昇しました。

【闇魔】レベルが上昇しました。

【無魔】レベルが上昇しました。

【召喚】レベルが上昇しました。

【付與】レベルが上昇しました。

【魔法陣】レベルが上昇しました。

【死霊魔】レベルが上昇しました。

【呪】レベルが上昇しました。

【罠魔】レベルが上昇しました。

――――――――――

はい、いました。大蛞蝓(ビッグスラッグ)の群れが。想像してほしい。人間よりも大きい蛞蝓が、蛇玉のように絡み合ったものが下水道の通路を塞いでいる景を。もう、気持ち悪い何てレベルではなかったぞ。私ですら発狂しかけたのだ。苦手な人だと見るだけで卒倒しかねない、映像の暴力としか言い表せない景だった。

しかし、悔しいことに経験値は味しい。とても味しかった。連中は魔を避けられるような俊敏が無く、私にとっては大きな的でしか無かった事も大きい。魔系の能力(スキル)が軒並み上がったくらいだからな。やはり、大蛞蝓(ビッグスラッグ)の大半が私よりもしだけ格上なのが利いているのだろう。

それにしても、今回は相と言うものを実したな。大蛞蝓(ビッグスラッグ)は鼠男(ラットマン)にとって相が悪いのと同じように、私は大蛞蝓(ビッグスラッグ)にとって最悪の敵だった。やはり、相は戦闘の大きな要素だ。不利な相手と如何にして渡り合うか。それも考えておかねばな。

因みに大蛞蝓(ビッグスラッグ)のドロップアイテムは全て魔石だった。合計で十四個。まあまあの収穫である。最初は粘とかが出たらどうしようと心ビクビクしていたぞ。

大蛞蝓(ビッグスラッグ)の群れがいたのが拠點から見て西に十五、北に三ブロックの地點。そこから真っ直ぐ進んで現在は更に進んで北に五ブロック地點に來ている。

「…風が吹いている？」

ここで私は微かにだが空気の流れがある事に気が付いた。ほぼ閉空間の下水道では風などなく、淀んだ空気が溜まっているだけのはず。逆に言えば風が吹いていると言うことは、外に繋がる空気の通り道があるということだ！

私は風のってくる方へと足を進める。その歩みが普段よりも若干速く、慎重さを欠いているのは許してしい。漸く外に出られるかもしれないのだ！

「おお、おおお！」

そして私は遂に風のり口を発見した。そこは拠點から西に十五ブロック、北に七ブロックの地點。天井が崩れており、人一人ならば余裕を持って通り抜けられそうな隙間からが差し込んでいる。遂に下水道から出られる！

だが、慌ててはいけない。私は不死(アンデッド)。太のを浴びれば浄化してしまう。ここは一旦拠點に戻り、しっかりと準備をしてから夜を見計らって行くとしよう。他のプレイヤーからリアルタイムで一日半ほど遅れたが、私の冒険が今始まる！

主人公、ようやく下水道から出に功。

――――――――――

名前(ネーム)：イザーム

種族(レイス)：く骸骨(スケルトン) Lv7 up!

職業(ジョブ)：見習い魔師 Lv7 up!

稱號(タイトル)：理の探求者

稱號を得し者

異端なる者

下剋上

神算鬼謀

能力(スキル)：殘りSP 110

【杖】Lv8 up!

【魔力制】 Lv8 up!

【土魔】 Lv6 up!

【水魔】 Lv6 up!

【火魔】 Lv6 up!

【風魔】 Lv6 up!

【闇魔】 Lv8 up!

【無魔】 Lv6 up!

【召喚】 Lv6 up!

【付與】 Lv4 up!

【魔法陣】 Lv4 up!

【死霊魔】 Lv3 up!

【呪】 Lv3 up!

【罠魔】 Lv3 up!

【考古學】 Lv6

【言語學】 Lv4

【薬學】 Lv0

【錬金】 Lv0

【鑑定】 Lv7 up!

【暗視】 Lv-

【隠】 Lv8 up!

【忍び足】 Lv7 up!

【奇襲】 Lv5 up!

【狀態異常無効】 Lv-

【屬脆弱】 Lv7

【打撃脆弱】 Lv10

――――――――――