《化けになろうオンライン~暴食吸姫の食レポ日記~》依頼

「むぅ……」

ステータスを見ながら唸る。

ひたすら唸り、頭を抱えて、そしてがくりと首を落とす。

「な、なぁ……何やってんだ?」

「デスペナ中は採取クエストでもやろうと思ってたの。だけど掲示板周りに聖水ばらまいた馬鹿がいて、お金もないしやることがなくなって……」

あの後何度か特攻してみたけど聖水は常に補充されているらしく、水たまりが消える様子はなかった。

いっそあそこに何度も突撃して墮ちた英雄でもぶつけてやろうかと思ったけど、どうやら複數人でやってるらしい。

やってる側からしたらライバル減るし、私みたいなのが飛び込んでくれば経験値も稼げて味しいんだろうなというのはわかる。

主導しているのはなんの種族も選ばなかった、いわゆるバニラと呼ばれる人間プレイヤー。

その恩恵をけているのは聖屬と聖水を弱點にしなかったプレイヤーだと思う。

聖水も微量ながらに聖屬をはらんでいるから、どうしてもね……。

「なぁ、聖水はれたらだめなんだよな」

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「うん、掲示板の周りびちゃびちゃになってるからどうやっても近づけない」

「その翼と手は?」

「え……? あっ!」

そうだ、飛んで近づいてドライアドの手でひっぺがせばいいんだ。

このゲーム部位特っていうのがあって特定部位が弱點にもなるし、逆にデメリットレベル無視できるポイントだったりする。

私の場合翼も含めて全が聖屬にも聖水にも太にも弱いけど、唯一それを克服できるのがドライアドだ。

霊というだけあって聖屬とか聖水は弱點じゃない。

故にこの手だけは聖水にれてももんだいないんだ。

とはいえ聖屬をぶつけられたらダメージけると思うけど……今は関係ない!

「ありがとう! お禮にこれあげる!」

「お、おう……って380ルルはいらねえって言ってんだろ!」

後ろから聞こえるPKさんの言葉を無視して広場へ突撃。

まだ人だかりはあるし、何人かが聖水まいているのが見える。

そしてゾンビアタックを仕掛けた私を見てにやりと笑みを浮かべたのも見えた。

後でマンドラゴラの刑だ。

「馬鹿め」

翼を広げて低空浮遊、ふっふっふ……聖水まいてる奴らの驚いている姿が実に稽だ。

そのまますいぃーと掲示板に近づいて、めぼしい依頼を見つけて手ではぎとる。

採取クエスト、薬草の採取だ。

同時に眼前に『薬草採取のクエストをけますか』というメッセージが現れてイエスを選択。

よっしクエスト注かんりょ……?

「え?」

ぱしゃりという音と共にリスポン……やろう、聖水直にぶっかけやがったな?

「衛兵さーん!」

広場を何度か往復している間に戻ってきた衛兵さんや他のNPC。

再び門番を始めていた衛兵さんにさっきの出來事を伝える。

「なるほど……それは迷だな、取り締まりの対象だろう」

「ですよねー」

「あぁこちらで手配しておく、英雄様との戦いはどうだった?」

「もう一方的にぼこぼこ、でも一矢報いることはできたから満足です!」

「そいつは……頑張ったな、いつか英雄様を安らかに眠らせてやってくれ」

「はい」

んー、この口ぶりは何か知っているんだろうけど深掘りしたらよくないことになりそう。

ここで無意味に好度を落とすのも愚策だから素直に返事をして終わりにしよう。

それとメニュー畫面から広場の狀況を運営に通報、衛兵さんもいてくれるとは言ってたけど運営かした方が早いからね。

まぁくとは限らないけどさ、迷行為であることは間違いないから注意くらいは飛ぶでしょ。

それに目的の採取クエストはけられたから問題はない。

むしろここに戻るまでの時間が短されたと思っておこう、その方が気が楽だ。

そういえばPKさんたちは姿を消してるしログアウトしたのかな、フレンド登録したかったんだけど……なんかの機會で會えたら今度はお願いしてみよう。

それより薬草採取か……小説とかだとこういう時にレアなクエストとかエリアボスに襲われるんだけど関係ないよね。

私勝手にボスみたいなの召喚したし。

しかし薬草とはまた適當なネーミングだなぁ、上級薬草とか特殊薬草とかそういうのが出てくると思っておくべきなのか、それとも生産職の人があれこれ研究するじか……。

MMOは種類によって回復アイテムが重要か、ヒーラーの腕前に頼るかが分かれるけれど化けオンの方針的には前者かな。

だって、このゲームまともにヒーラーできないし。

なにせ回復魔法の大半が聖屬だから下手に使うと味方をキルしちゃうから。

それ以外でも何かしらの屬を持った魔法扱いらしいから、うん……仲間を組む時しっかりデメリットレベルとか考えないと死ぬのよ。

そんな理由もあってPK推奨のパーティプレイはあまりお勧めしませんよってな扱いになってる。

そもそもパーティを組んだとしてもフレンドリーファイアとかあるし。

「ま、いいか。どうせのんびりやるつもりだったんだし今日は薬草採取終えたら街をぶらぶらして落ちよう」

リアルでもそろそろおひるごはんの時間だ。

……あと無殘な音立てたマグカップ、片づけなきゃね。

本日は2話+掲示板回の3話公開です

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