《VRMMOで妖さん》15:召喚しよう。
町のすぐ外に居る魔の事や、パーティーの組み方など々聞いてみた。
パーティーについては組むことがあるか解らないけど。
垢などの老廃は出ないものの、なぜか汗はかくという嫌な仕様も聞いた。
からは出なくても、埃や土などで汚れるので水浴びは必要みたいだ。
トイレ関連が無いのが開発最後の良心だとか。最後のって……
一どれだけやらかしてるんだろう。あ、私もう散々な目に合ってるわ。
「さて、そろそろ出ようか。ずっと話してても仕方ないしね」
會話が途切れたタイミングでアヤメさんが促した。
飲み一杯で(主に私のお金の事で)結構長い時間ここに居るしね。
お互いに全部聞いててもキリがないし丁度いいだろう。
役所から出て、一旦広場のベンチに戻る。
「さて、これからどうする?」
「私が言うのもなんだけど、皆は狩りに出たほうがいいんじゃないかな? 私のせいで出遅れさせちゃったし……」
「気にすんなって。好きでやってるんだから。それに言っただろ? 私達は別に攻略組とか目指してる訳じゃないって。焦る必要なんてないのさ」
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それでも申し訳ない気持ちは殘る。
「あっ、そうだ! 雪ちゃんの召喚獣見たい! わんこわんこー!!」
それはいいんだとばかりにお姉ちゃんが空気をぶった切る。
私は貓派だい。
よし。
「それじゃ呼んでみるよ」
とは言ったもののどうすればいいのかな?
あぁ、そういえば召喚獣パネルに契約ボタンみたいなのがあったような。
開いてみたらやっぱりあった。
お、一番下に 0/1|0/2 って表示されてる。
同時に呼べるのが一で、契約は二できるのかな。
とりあえず契約ボタンをポチッとな。
一覧が出てきた。最初は三種類だけかぁ。
>スライム
>ハウスキャット
>ドメスティックドッグ
おい開発。
スライムはいい。どのタイプかは判らないけど例外を除いて序盤の定番モンスターだし。
ただ殘り二つ、これキャットとドッグだと字面が寂しかっただけだろ。
まぁいいや。モフモフには変わりないんだし。
迷うことなく貓を選択。名前力畫面が出てきた。
どうするかなー……
よし。君は『珠』だ。貓だし。
フリガナも要求された。私の名前の時もだったし漢字を使うと出るのかな?
無條件で出てくるなら一緒に出すだろうし。
まぁどうでもいいな。『タマ』っと。
らかなが集まってきて貓の形になったかと思うと、次の瞬間にはそこに貓が座っていた。
茶トラの綺麗な並みをした子だ。
なぜか生後三ヶ月くらいの子貓だったが。
気付いたら私は貓の背中に飛び乗っていた。後頭部のモフモフに顔を埋める。しあわせー。
いきなり飛び込まれたのにじっとしていてくれる。良い子だ。
「かわいーーーー!! ちっちゃーい!!」
「あれ? 仔貓が出るなんて聞いたこと無いぞ……?」
「これも妖の獨自仕様でしょうか? それにしても可らしいですね」
開発グッジョブ!!
貓もいいけどこの時期の小っちゃい子の可らしさは格別だ!!
戦闘力? いいよそんなの。可いは最強。
それでも自分よりは強いだろうってことは忘れておく。
前に回って両手で元をわしゃわしゃしてから一旦戻ってもらう。
ステータスを見るとMPが三百減っていた。
初期の子でも結構コストはかかるのね。【妖】仕様で三倍だから余計にだけど。
続いて犬も契約する。
よし、名前は『ポチ』だ。 センス? 知らないよ。
あと、やっぱりフリガナ力は出なかった。
さっきと同じだとすると仔犬が出るのだろうか。
犬種は何かなー? 鼻ぺちゃ系よりシュッとした方が好みなんだけど。
貓の時と同じようにが集まる。さっきより大分大きいな。
……コーギーじゃないか! 犬ではあるけど!
いや可いから許す! オッケーだ!
「ブフッ………クッ」
はいアヤメさん笑わない。
「キャーーーー!!」
お姉ちゃんは出てきた瞬間に掻っ攫わない。
ポチびっくりして目が白黒してんじゃん。
ていうか私がさっきと同じように飛び込んでたらまた死んでたぞ。
「可いですねぇ。しかしこれも初めて見ましたね」
だっこされたポチの頭をでながらレティさんが言う。
しばらく見ていたがお姉ちゃんが落ち著く様子は無い。
ポチがだんだんと助けを求める顔になってきたので送還しておく。
「あーっ! もっとりたーい!」
「いやお前、加減ってものを知れよ」
「無理!!」
言い切ったな。
ポチを呼び直しても暴走するのは目に見えているので珠を呼ぶ。
普通のスキルと同じように念じるだけで出來た。
【召喚】の説明を見ると、呼んでいるだけでもしずつ経験値が溜まるらしい。
スキルレベルを上げて、二同時にモフモフしたいなー。
喧嘩しなきゃいいけど…… 多分大丈夫だよね?
「さて、召喚獣も見たしそろそろ行こうか」
「そうですね。可いのでもっと見ていたいですが、いつまでもそうしている訳にも參りませんし」
「あっ、雪ちゃん。召喚でMP減ったでしょ? 私から吸っちゃう?」
なんでだ。
「いや、なんでこれから狩りに行く人がMP減らそうとしてるの」
「これから狩りに行くのにMP減らしてどうすんだってさ。そりゃそうだ」
「MPポーション買ってあるから大丈夫!!」
そこまでする意味が解らん。
でもなんか退く気配が無いぞ。
「さぁさぁ!」
ズイッと指を突き出してくる。
やるしかないのか……
突き出された指に近寄り、両手を添える。
手からでも吸えるけど無駄が出ちゃうんだよなぁ。
仕方ない。覚悟を決めて指先に口をつける。
……いやレティさん、何そんな見てんの。
気にしないことにしていざ。
【吸】の発を意識しつつ吸ってみる。
おぉ? 何か口からってくる。イチゴみたいな味で味しいな。
と思った瞬間、目の前の指から力が抜けていく。
驚いて咄嗟に下がったらお姉ちゃんが膝をついていた。
「おいおい、あの一瞬で九割近く持っていかれたのかよ……」
「瞬間的なMP枯渇でし意識が飛んだようですね。大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫…… うぅ、強烈だった……」
鞄から薬瓶を取り出して飲んでいる。
どうやら吸いすぎたらしい。
「ご、ごめんね……」
「いや、こいつが言い出したことだし気にしなくていいだろ。初めて使うんだから加減も解らないんだし。ほら、謝ってくれてるぞ」
「いいよいいよー。悪いのは無理に吸わせた私なんだから」
「さて、それじゃ今度こそ行こうか」
「あっ、ちょっと待って。雪ちゃんとフレンド登録するの忘れてた」
そういえばやってないな。
「あぁ、そうですね。では申請を送りますね」
レティさんからフレンド申請が送られてきたので承認する。
「あーっ! 一番取られたーっ!」
いやいいじゃん別に。お姉ちゃんも承認と。
「何を騒いでるんだよ全く。はいよ」
アヤメさんもオッケーと。あ、そうだ。
「今更なんだけど、私の事も呼び捨てで大丈夫だよ」
「そうかい? じゃあ白雪、また今度ね」
挨拶と共に歩き出すアヤメさん。
「あっ、待ってよー! 雪ちゃん、またねー」
「それでは失禮します。またお會いしましょう」
二人も追いかけていく。
さて、これからどうしようかな。
とりあえず今は珠ちゃんをモフモフするので忙しいけど。
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