《VRMMOで妖さん》17:試してみよう。
うーん、一通り見てみてもやっぱり戦うのは厳しい。
召喚獣に戦ってもらおうにも珠は仔貓だしポチは小型犬なんだよなー。
コーギーは気が荒いって聞くけど、さっきの姿を見るとどうもねぇ。
助けてぇ……って顔してたからな。
戦いが無理そうなら生産とかはどうだろう。
このサイズがいい方向に働くとしたら【細工】とか?
やってみようにも覚えるポイントも無ければ練習する素材も場所も無いんだけど。
あ、そういえばアヤメさんが砂糖は貴重とか言ってたな。
花畑とか有れば作って売ったりできるかも。
でも負擔がかかるって書いてあったし、一回でどの程度採れるかも解らないんだよね。
そもそも安全な町中に十分な大きさの花畑があるだろうか。
うん、よく考えたら私まだこの広場と役場しか知らないや。
一度ぐるっと見て回ってみよう。
そう思い立って顔を上げると、男二人ずつの四人組が遠くからこっちを見ていた。
こっちを伺いながら何やら小聲で話し合っているようだ。
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何か面倒な予がするぞ。
レア魔とか思われてないよね? 一応町中だしそれは無いか。
まぁいいや。あっちが何を考えてるかは解らないけど、今は町を見て回りたいんだ。
「行くよー、珠ちゃん」
日差しで暖まって寢てた珠を起こして飛び立つ。
とりあえずこの町の地図とかどこかにないかな?
そうだ。役場ならきっとあるだろう。
ついでに【妖魔法】も登録しちゃおう。
空き地の雑草に混じって花も咲いてるから試せるだろう。
さて、役場に戻ってきた……のはいいけど、よく考えたらライサさんが付に居ないと會話が出來ないぞ。
さっき絞められて奧に引きずられて行ってたからなぁ。
とりあえず、中にれていいか判らないので珠は送還してからろう。
って居るし。しかもめっちゃこっち見てるし。
行くのやめられる雰囲気じゃないなこれ。用事があって來たんだからやめないけどさ。
「先程は失禮いたしました。この度はどのようなご用件でしょうか?」
頭を下げられた。
「いえ。で、用件の方ですが【妖魔法】も登録させて貰おうと思いまして」
何かされたわけじゃないしね。おかし貰ったし。
「それでは代筆させて頂きます。【妖魔法】ですね。
用途は如何なるものでしょうか?」
「ありがとうございます。
用途ですが【妖魔法】には【採取】という魔法があるので、そちらを使って蜂のようなを集めようと思いまして」
【採取】の詳細報パネルを可視化して渡す。
「なるほど。甘味料は貴重ですので作り出せるのであれば私もありがたいですね」
「甘味」「作り出せる」というキーワードを聞きつけた職員達が一斉にこっちを見た。
怖いよ。一杯作れるか解らないんだから期待しないで下さいよ。
「申し訳ないのですが、【妖魔法】には他にどのような魔法があるのか教えて頂けますか?
何分初めて耳にするスキルでして、何が出來るかも知らずに許可を出す訳には參りませんので」
【妖】が滅びてるなら使い手も居ないか。
【妖魔法】のパネルと各魔法の詳細パネルを一通り見せる。
「ありがとうございます。ふむふむ…… 【採取】以外は全て攻撃魔法のようですね。
確認の為、奧の中庭で試して頂いてもよろしいでしょうか?
もちろん消費したMPの回復はこちらで用意致しますので」
中庭はスキルを使って良い場所なんだな。訓練用とかこういう時の為とかかな?
別に初期スキルなんて隠すような事でもないし、MPも持ってくれて試し撃ち出來るのはありがたい。
「はい、構いません」
「ではこちらへどうぞ。 すみません、し離れますのでここをお願いします」
付を任せて歩いていくライサさんについていく。
あ、これさっきライサさんが連れていかれた扉だ。中庭だったんだな。
……お話(理)でもされたんだろうか。
開かれた扉をくぐった瞬間、何かを通り抜けるような違和があった。
よくある「中の出來事から周囲を守る結界」とかでも張ってあるのかな?
中庭は外周こそ花壇になっているものの、側は運場の様に整地されていた。
中庭っていうより訓練場だな。
「では、あちらに立ててある的へ向かって発してみて下さい。
防結界により建は守られていますので、気兼ねなくどうぞ」
あってた。
ん?知らないうちにライサさんの後ろに人が來てる。全然気付かなかったな。
あっ、あれさっき絞めたおじさんだ。見張られてるのか……?
「花壇に花があるようなので、丁度いいので【採取】から試してみてもいいですか?」
了承を得て発してみる。
対象にした花から何かが抜け出て私の前に集まり、五センチほどの球に実化して落下を始めた。
咄嗟に両手をにしてけ止める。 使うなら瓶が要るなこれ。
し舐めてみたらちゃんと甘い。 あれ? MPがし回復した。
採取した分をし消費すればMPのコストは無くせそうだな。
いや、數回やったらお腹いっぱいになりそうだけど。
「一回で一滴分といったところでしょうか。 良ければ私にも頂けますか?」
さっき金平糖貰ったお返しが出來るな。
返事をしつつライサさんの前まで飛んで行く。
差し出された指に殘りを全部乗せた。 うわぁ、両手がベトベトだよ。
「…………味しいですね。これは良いです」
おい、今ボソッと「妖さんの……」って呟いただろ。聞こえてるぞ。
それ、そこの花のだからね?私は関係無いからね?
でもれちゃダメな気がするのでスルーして進もう。
「それじゃ次に行きます。【大洪水】!」
両手を前に突き出して、わかりやすい様に宣言して発する。
手を出したところからかなりの勢いで大量の水が放出された。
……うん、當然私から見て「かなりの勢い」で「大量」。
通常サイズだとホースから水を撒いてるじだろうか。
出すのを片手からだけにしてみたり、量や溫度を変えてみたり、シャワーみたいにできるか試してみる。
ついでなのでそれぞれの手で溫水シャワーを出して反対の手を洗っておいた。
ベタつきがあるのでし強めにしないと流れなかったけど、結構便利だなこれ。
「あの、普通に発してそれなのでしょうか?」
ライサさんが「えぇー……?」って顔になってる。まぁそうだよね。
「はい。あっ、ライサさんも指を洗っておきますか?」
「え、えぇ。ありがとうございます」
ガッカリですいませんね。 しゃわわーっと。
次だ次。もう試すまでも無い気もするけど。
「次行きます。【灼熱旋風】!」
うん、熱風出たね。熱風。
髪とか乾かすのに良さそうだね。
あっ、これエアータオルも出來るんじゃないか?
先ほどの要領で両手の水気を飛ばして乾かす。出來た。
ライサさんはハンカチで拭いていたけどついでに乾かしておく。 ぶぉーっと。
「ええと、思っていたのとは違いますが便利そうですね」
フォローどうも。実際便利っぽいけど。
問題は殘りの二つだ。
「うん、よし。 次行ってみます。 【流星】!」
しかし何も起きない。 MPはきっちり減っている。
「……何も起きませんね?」
「MPは減ってるんですが…… 【流星】!」
しかし何も起きない。
これ、隕石呼んではみたけど大気圏で燃え盡きましたとかいうオチでしょ。
「まぁ、害はなさそうですね……」
うん、今度夜に使ってみよう。
で、最後の一つなんだけど……
「あの、【自《これ》】試さないとダメですか……?」
「いえ、流石にそれは結構です。
威力などは気になりますがそのために死ねという訳にもいきませんので」
良かったー。
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