《VRMMOで妖さん》37:竹をねよう。
本の背表紙をぺちぺちして取ってもらう。
「今日は錬金かー。もしかしてもう【魔力作】は覚えちゃったの? へぇ、小っちゃいのに凄いんだねぇ」
小っちゃいのは別にいいじゃん。やっぱり子供扱いされてないか?
一日で覚えたことには驚かないんだな。我慢できずにポイントで取ったって思われてそうだ。
表紙を開いて機に置いてくれた。ハードカバーの表紙は重かったからこれはありがたい。
「それじゃごゆっくり。終わったら呼んでねー」
ざっと読んでみた所、の狀態をいじりまわすスキルらしい。
らかくして変形させたり、違う質を混ぜ合わせたり逆に出したり。
生産スキルの補助に使うのが主なのかな?
覚えるには何らかのに魔力を流して、それを変質させようとしてみたりね回してみたりすると良いみたいだ。
相変わらず習得法が々と雑だな。決まった手順に則った厳しい修行を積めとか言われるより楽でいいんだけどさ。
「あ、読み終えたかな? それじゃ片付けておくね。 まだ何か読むかな?」
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首を振り頭を下げ、手を振って飛び立つ。
そしてドアの前で立ち往生する。むぅ。
「あはは。ちょっと待ってね、これ仕舞ったら開けてあげるから」
さて、次は中庭で々と練習しようかな。
なんかカウンターの奧の機の上に、珠ちゃん用の貓ベッドみたいなのが出來てる。無駄に仕事が早いな。
窓は開いてるかな? あれ、開いてはいるけど何か板で塞いであるな。
窓をし開けて出來た空間に板が張ってあり、その一番下に高さ二メートル幅一メートル位の板がはめ込まれていた。
を掘った枠に上下を挾まれているし、取っ手もついてる。引き戸っぽいな。
こんなの見たことあるわ。うん、ペット用の出り口だこれ。開き戸じゃないけど。
なんか微妙に気になるけど戸を開いて中庭へ。
し重いけど私の力でも開けられた。凄い丁寧に作ってあるな。ちょっと引っかかるだけでもかなくなるだろうに。
ていうかこんなの設置してないで仕事を…… いや、妖用のバリアフリー化と考えればこれも仕事のうちか。実際助かるしね。
さて、まずは花壇で疲れが出始めるまで【施】して回ろうかね。
あ、そういえば【採取】の説明に「対象の狀態が良いほど生量は増える」ってあったな。ちょっと比較してみよう。
うん、ちょっと増えたっぽいな。誤差の範囲だけど、回數をこなせば結構な違いになるだろう。
まぁ今は集める訳じゃないので勿ないけどし舐めて殘りは土に埋めておこう。
流石にコップ一杯分位あるを一気飲みは無理だもの。
HPが半分手前くらいになった所で止めておいた。
さて、それじゃ次は【錬金】を習得するための訓練だ。
んー、近くにある素材になりそうなって花壇の土くらい?
でも昨日土に魔力流していじってたけど【錬金】は生えて來てないんだよね。
魔力で直接かす事しかやってないからかな?
まぁ他のものでやってみるか。 ……って思ったけど、私殆ど何も持ってないわ。
鞄とお金と弓矢くらい。あぁ、矢でいいか。金屬で練習してみたいけどお金を変質させるのはダメでしょ。
この矢、軸の素材何なんだろ? 竹かな? まぁ竹って事でいいや。匂いもそれっぽいし。
矢の両端を摑んで、軸を経由して魔力を循環させる。
よし、出來た。通過してるし流してることになるでしょ。多分だけど。
魔力を廻しつつらかくなれー、曲がれーと念じて軽く力を加え続ける。
まぁそう簡単には行かな…… いや行ったよ。なんかクニャクニャになった。
いくらなんでも魔力が絡む事への適がおかしいでしょ。ありがたいからスルーだけど。
しかしこの矢、どうしようか。
まっすぐにしてもちゃんと飛ぶ矢には戻りそうも無いかな?
って思ったけど別に全然問題ないな。使わないし。練習で使い潰してしまおう。
えーと、何が出來るんだったかな。
変質に融合に出とかだっけ? でも竹から出とか竹に融合とかよく解んないな。
ひたすらにらかくしてね回してやろう。
うーん、なんだこれ。や模様や匂いは竹っぽいままなんだけど……
棒狀からくるくる丸めて、ぐにぐにねて引っ張りばす。
それをまた丸めて……と繰り返していたら最初の辺りはまだ表面同士の境目が殘っていたけど、もう跡形もない。
完全に竹っぽい質の粘土と化してしまった。
どうしよこれ。そうだ、せっかくだし何か作ってみるか。
でも量がなすぎるな。よし、もう二本ほど使おう。
目的が変わってる気がするけど変質させる練習は出來るからいいんだ。言い訳でしかないのは解ってるけどさ。
よし。くしたりらかくしたりしつつ手でこねくり回し、手でいじるのが難しい所は魔力で直接かしたりして手の平サイズの馬の像(臺座付き)が完したぞ。なかなかの出來だと思う。最後に出來るだけガッチリ固めておいた。
うわ、一時間近く経っちゃってるよ。何してんだ私は。
急に冷靜になってボックスに放り込む。後で誰かに上げよう。
「お、終わったか。相変わらず楽しそうだな、お前さん」
……貴様、いつから見ていた!!
「姫様から伝言が有って來たんだがな。まさか一時間近くも待たされるとは」
作り始めからかよぅ……
「それならすぐに聲をかけてくれて良かったんですが」
「いや、楽しそうに粘土遊びしてたしよ」
「子供みたいに言わないで…… いや、子供みたいなノリでやってたのは否定できない……」
「だろ? まぁそれはいいとしてだ。「家に外からの衝撃から守る為の結界を張る機能を付けようかと思うんだが、そうすると魔力の消費が増してしまう。しかし、それだけの価値はあると思うのだがどうする?」 ってのを聞いてこいって言われたんだわ」
「何か飛んできて壊れたりしたら大変ですし、お願いします」
「はいよ。そんじゃ伝えてくるわ」
「あ、そうだ。さっきの馬、アリア様に獻上しますので持っていってください。力作です」
気軽に王族に贈りするのもどうかと思うけど、多分大丈夫だろう。
「配達すんのは良いけど、壊しそうで怖ぇな。すっげぇ細かいし」
「一応出來るだけくしたんで、ちょっとくらいなら大丈夫だと思いますよ」
「まぁ壊れたら人に任せた自分を恨めや」
だからなんで消える前に嫌なことを言い殘していくのか。
しかし、結界まで付くのか。なんか大掛かりになっていってる気がする。
【書籍化】解雇された寫本係は、記憶したスクロールで魔術師を凌駕する ~ユニークスキル〈セーブアンドロード〉~【web版】
※書籍化決定しました!! 詳細は活動報告をご覧ください! ※1巻発売中です。2巻 9/25(土)に発売です。 ※第三章開始しました。 魔法は詠唱するか、スクロールと呼ばれる羊皮紙の巻物を使って発動するしかない。 ギルドにはスクロールを生産する寫本係がある。スティーヴンも寫本係の一人だ。 マップしか生産させてもらえない彼はいつかスクロール係になることを夢見て毎夜遅く、スクロールを盜み見てユニークスキル〈記録と読み取り〉を使い記憶していった。 5年マップを作らされた。 あるとき突然、貴族出身の新しいマップ係が現れ、スティーヴンは無能としてギルド『グーニー』を解雇される。 しかし、『グーニー』の人間は知らなかった。 スティーヴンのマップが異常なほど正確なことを。 それがどれだけ『グーニー』に影響を與えていたかということを。 さらに長年ユニークスキルで記憶してきたスクロールが目覚め、主人公と周囲の人々を救っていく。
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