《VRMMOで妖さん》38:蒸された。

さて、スキルを確認しようか。あれだけこねこねしてたんだし取れてるよね。

よしよし、ちゃんと取れてる。あとなんか【木魔法】なんてまで出てる。

あぁ、手でやりづらい所とか魔力でかしてたから取れたのか。

ポンポン取れすぎるせいでそろそろスキル枠が埋まっちゃうな。

まぁ良い事だし、溢れたらその時考えよう。

結構MPを消費していたようなので結晶を吸って回復しておく。

いただきます、ごちそうさま。

次は何しよっかな。

そういえば一般の魔法にはペナルティがついてる筈なのに、昨日の火球はおかしな威力が出てたな。

的もあるしちょっと試してみるか。

的から二十メートル位の距離まで行き、お姉ちゃんが撃ったのと同じ【火矢】を放ってみる。

あー、うん。ペナルティの正が解ったわ。

サイズも飛んで行くスピードも妖仕様だわこれ。ギリギリ的には屆いたけど、殆ど消えかかってた。

攻撃魔法は多分全部こんなじなんだろうな。

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試しに【土魔法】の【石弾(ストーンバレット)】も撃ってみた。

うん。五センチくらいの尖った石が大量に発されて、的まで屆かずに全部元に落ちた。やっぱりか。

とりあえずスキルをそのまま撃ったんじゃ使いにならない事はよく解った。

火力だけならば、通常使用でもお姉ちゃんのより數段上に見える。馬鹿げたINTのおかげかな?

ただ、程が短くて速度も遅い。相手が手をばせば屆くような距離から撃たないと、まともな威力は保てないだろう。

要するに戦いで使うなら、一発で倒すか私が死ぬかの二択って事だね。

しかし、確かに火力は高いんだけど昨日程のではない。あの時は追加でたくさんの魔力を流し込んでたからだろうな。

試しにMPを五十倍くらい消費するイメージで真下の地面に打ち出してみる。やるなら盛大に行こう。

……やっばい。

三メートルくらいの溶巖溜まりが出來てしまった。どうしようこれ。

とりあえず冷やして固めた方がいいか。水でもかけよう。

あれっ、目の前が白

……うん。魔法の火にはれたから油斷してた。

なんでよりによって真上から水かけちゃうかな。

水蒸気発って程ではなかったっぽいけど、蒸し妖の出來上がりだよ。

あー……

絹のキトンがダメになっちゃった。高かったのに……

鎧とかと違ってただの一枚の布だからなぁ。直しようもないのでボックスに仕舞っちゃおう。

なんか申し訳ないなぁ。せっかくリボンまで選んでもらったのに。

今度アヤメさんに通訳を頼んで謝っておこうかな。

役場に戻るとしざわついていた。急に珠ちゃんが消えちゃったからかな?

とりあえずさっきの処理の事もあるのでライサさんのカウンターへ向かう。

「白雪様、一何が起きたのでしょうか? 突然貓さんが消えてしまったのですが」

「恥ずかしながら、しょうもない事でまた死にまして。とりあえずもう一度呼びますね」

カウンターの上で珠ちゃんを召喚して、ごめんねー?とで回してから送り出す。

「で、中庭の地面をし溶かしてしまったんですがどうしたものでしょうか」

「溶かした?ですか? あの、それはどういう」

「範囲も狹いしあれ位なら大丈夫だぜ。固まったのを捨ててそこらから土を補充してくりゃ済む事だ」

いつも通り唐突に現れるジョージさん。

お咎め無しって事でいいのかな。

「私がお話していたのですが?」

「別に良いだろ。で、溶かしたってのはこいつが初級魔法ぶっ放して溶巖作っちまったんだよ」

「いやぁ、まさかあんなことになるとは」

しは自重しろよ、本當に。俺の仕事は増える一方だよ」

「申し訳ない」

「まぁそういうわけだから、土は後で裏から持ってきておいてやるよ」

そう言ってジョージさんは消えていった。ありがとうございます。

文句の行き場に逃げられたライサさんが憮然とした顔になってる。あ、戻った。

「ええと、地面については解りました。宜しければ、何故お亡くなりになられたのかもお聞きしても?」

「溶巖に真上から水をかけたら蒸気で蒸し上がりました」

「……ええと、そうですね。なるべく気を付けて行された方が宜しいかと思います」

遠まわしにアホかって言われた気がする。っていうか多分言われてる。

さて、中庭に戻ってきたので懲りずに続きをしよう。

とりあえずMPを余分に使って威力を上げられるのは解った。

たしか【魔力作】の説明に「魔法の形狀を変えられる」とかもあった筈だけど、何も考えずに流し込んだら威力しか変わらなかったな。

ちゃんとそういう風に念じて発すれば出來るんだろうか。

大きさだって形狀のうちだよね。的にどれ位にしたいかって考えた方が良いかな?

とんでもないサイズの火とか出てこられても困るし。

よし、じゃあ五倍くらいの大きさにしよう。それくらいなら大丈夫でしょ。

おぉ、できた。でも大きくなっただけで速度は遅いままだな。そこにもMPが要るのか?

っていうかね。今、目の前にジョージさんが居る訳ですよ。完全に呆れた顔で。

「俺さぁ、ついさっき自重してくれって言ったよな?」

「したつもりではあったんですけど……」

うん。「つもりではあった」。ただ実際に発に使われたMPが想定外だっただけだ。

まさか単純に五倍の三乗、百二十五倍も使うとは思わなかっただけですよ。

すっごいおなかすいた。

「ほんともう、勘弁してくれよ…… 判ってても萬が一を考えると見に來ない訳には行かねぇんだからな?」

「申し訳ない」

「さっきも同じセリフを聞いたんだがな。まったく……」

ぼやきながら帰っていった。文句を言いつつも追い出したりしない辺り良い人だ。

でも今はそれよりもご飯だ。おなか減りすぎて辛いよ。

いただきます。

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