《VRMMOで妖さん》53:お店に貢獻しよう。
さて、無事【魔法】も覚えられた。そろそろお晝……にはまだちょっと早いか。
HP満タンだし、経験値稼ぎに【施】して回ろうかな。
あ、そうだ。魔力で包んでおけば持ち運べるんだし、ついでにも集めちゃおう。
果とか食べる時とかにちょっとしくなることもあるしね。
【施】して【魔力武】でを作って【採取】と。
自分で食べるなら一回分でもし多い位だけど、わざわざ別けるのも面倒だから一滴をそのまま包んでボックスに放り込む。
よし、そろそろいいかな。HPはまだし余裕があるけど、もうお晝時だし。
今日もおばちゃんのところで果を食べよう。何がいいかなー。
出ていきながら隅の方を見ると、苦戦しているらしく魔人さんがうんうんとうなっていた。
兎さんは近くのベンチに座ってそれを見ながら何かやってるな。
橫に置いてあるのは細長い棒と鳥の羽…… 矢でも作ってるのかな?
あ、こっちに気づいた。手振っとくか。またねー。
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兎さんが手を振り返しながら何か言った。あぁ、魔人さんに聲かけたのか。目を開けて凄い手振ってる。がんばれよー。
珠ちゃんは遊び疲れたのかすやすやと寢ていた。
お腹に飛び込んでモフモフに埋まっても起きなかったので、堪能してから送還する。
一緒に遊ぶのはお預けだな。殘念そうな職員さんたちは気にせずに役場を出て、表でポチを喚び出す。
よし、おさんぽいくよー。私は安全の為にあんまり近くを飛べないけど仕方ない。
人に衝突したらポチも還る羽目になっちゃうしね。
まぁそんなのでも、なんとなく満足そうな雰囲気にはなってくれてるしいいか。
「いらっしゃい! 今日はどれにするんだい?」
いつもの視線と客引きをすり抜けておばちゃんの店に到著。
何があるかなー。迷い始めると決まらないからパパッと決めよう。
よし、これだ。
「はいよ、イチゴね。ちょっと待ってな、すぐ切るから」
イチゴに練はよく聞くけど、蜂はどうなんだろう?
とりあえず普通に數切れ食べる。うまうま。
さて、殘りで試してみよう。ボックスから取り出したりカプセルの上にを開け、イチゴにだばぁ。
ふむ、結構いけるな。
「おや、それは何だい?」
おばちゃんが気になったらしく、聲をかけてきた。
でも聲は屆かないしな。まぁ食べれば解るだろう。
さっきの殘りを目の前のイチゴにかけて、両手で持っておばちゃんの前まで行って差し出す。
「くれるのかい? ありがとうよ」
貰ったにトッピングして返してるだけともいうけどね。
出された指の上にイチゴを乗っけて、お皿に戻る。
「おぉ、蜂かい! こりゃいいねぇ」
どうやら好評のようだ。
蜂と聞いて普段以上にこちらへの視線が強まった。
君ら甘いものに飢えすぎだろう。現実で食べなさいよ。
いや、どれくらいがプレイヤーなのか知らないけどさ。
「あ、あの……」
ん? もこもこした髪のお姉さんが遠慮気味に出てきた。
この人は【獣人(羊)】かな? もこもこ合だけ見て判斷してるけど。
「私にも蜂かけてくれませんか……?」
その言い方だと、果じゃなくて本人にかけることになりかねないんですが。
いや、そのくらい察せるけどさ。イチゴ差し出してるし。
でも役場にお金貰って卸す以上、あんまりタダで配っちゃいけないよね。
えーと、あの瓶の容量と価格から考えると…… 一つで銅貨二枚位か。たかっ。
ボックスから銅貨二枚を取り出して皿に置き、カプセルも取り出して左手で掲げる。
カプセルを指さし、その後に銅貨を指さす。この量で、この価格ですよーってじだけど通じるかな?
「えぇっ、高い……」
あ、通じた。でもしょんぼりしたな。うん、やっぱり一滴でこれは高すぎるよね。
ぼったくりたい訳じゃないんだけどねぇ。
あ、ギャラリーに兎族の人が居る。ちょうどいい。手招きしつつ呼びかけよう。
「すいませーん、そこの兎の人ー。ちょっと私の聲の中継をお願いできませんかー?」
「えっ、私!? あー、うん。解った。皆、妖さんのお言葉を伝えるからちょっと靜かにしてくれるかなー?」
いや、お言葉て。謎の扱いは諦めるしかないのか……
「ありがとうございます。えーっと。この量ので銅貨二枚は、高すぎだとじると思います。でも同じ価格で役場に卸す契約をしているので、あまり安売りする訳にもいかないんです」
「わたしのがたったこれだけで買えるんだよー? やすいくらいだよー? っわひゃーっ!? ごめんごめん、ごめんなさい! 真面目にやるから許してー!」
滅茶苦茶に改変してるんじゃないよ。しかも舌っ足らずな喋りで。
最初の敬う様な言い方はなんだったんだよ。
イラッとしたので、ひんやりする程度に弱めた【凍結吐息】を後頭部にかけて追い回してやった。
ぶんぶん揺れるウサ耳が危ないのであまり近づけなかったけどさ。
攻撃って程のじゃないからPK判定も大丈夫だろう。
「うぅ、冷たい…… それじゃやり直します。私も高いと思うけど同じ値段で役場にも卸してるので、あんまり他所に安売りする訳にもいかないんです。と」
うん、そうそう。最初からちゃんとやってよ。
お願いしてる立場で言うのもなんだけど。まぁ改変されるくらいならやってくれない方がマシだからね。
「この値段でもしいという方が居ればどうぞ」
あ、そうだ。
「あと、かけるのはこの店で買ったに限ります」
他人の店で変な事やり始めるなら、その店の売り上げに貢獻せねば。
そもそも許可取らずに勝手な事やるなよって話だけど。
兎さんの中継を聞いたおばちゃんがお禮を言ってきたけど、むしろこっちが謝るべきですから。
手を振って頭を下げておこう。
それにこの値段じゃそんなに買う人は、っておい。
行列が出來てるじゃないか…… 高いって言ってたのに先頭に羊さん居るし。
くそぅ、こうなったらヤケだ。片っ端からまみれにしてやるわー!
というわけで完売。全部で百七個売り切りました。
なんか途中から妙なにも蜂かけてた気がする。キュウリとかトマトとか。
キュウリはまだ解らなくもないけど、トマトって。
試したことはないけど意外といけるのかね? まぁいいや。
せっかく並んでたのに買えなかった人には申し訳ないけど、無いは仕方ない。
幸い文句を言う人もいなかった。まぁ怒られてもどうしようも無いんだけど。
しかし困った。こんなに銅貨持てないぞ。
「どうしたんだい?」
おばちゃんが聞いてくれたけどどう伝えたかな?
そうだ、ボックスから銀貨を一枚出してと。
用意してくれた銅貨れのザルと手元の銀貨を互に指さして見せる。
「両替してほしいのかね?」
うんうん。
「いいよ。えーっと、何枚かね…… うん、二百十四枚か。はい、それじゃ銀貨二枚と殘りの銅貨だ」
私の前に置いてくれたお金から、銀貨だけを仕舞って飛び立つ。
「ちょっと、忘れだよ。白雪ちゃんが稼いだお金なんだから、ちゃんと持ってきな」
場所代です、場所代。首を振って両手でどうぞどうぞとジェスチャーして伝える。
「強だねぇ。解った、け取るからまたおいで。おかげさまで沢山売れたよ。ありがとうね」
気が変わらないうちに手を振って別れる。ばいばーい。
ポチ、お待たせー。今日も長時間待たせちゃってごめんよ。
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Kラノベブックスf様より書籍化します*° コミカライズが『どこでもヤングチャンピオン11月號』で連載開始しました*° 7/20 コミックス1巻が発売します! (作畫もりのもみじ先生) 王家御用達の商品も取り扱い、近隣諸國とも取引を行う『ブルーム商會』、その末娘であるアリシアは、子爵家令息と婚約を結んでいた。 婚姻まであと半年と迫ったところで、婚約者はとある男爵家令嬢との間に真実の愛を見つけたとして、アリシアに対して婚約破棄を突きつける。 身分差はあれどこの婚約は様々な條件の元に、対等に結ばれた契約だった。それを反故にされ、平民であると蔑まれたアリシア。しかしそれを予感していたアリシアは怒りを隠した笑顔で婚約解消を受け入れる。 傷心(?)のアリシアが向かったのは行きつけの食事処。 ここで美味しいものを沢山食べて、お酒を飲んで、飲み友達に愚癡ったらすっきりする……はずなのに。 婚約解消をしてからというもの、飲み友達や騎士様との距離は近くなるし、更には元婚約者まで復縁を要請してくる事態に。 そんな中でもアリシアを癒してくれるのは、美味しい食事に甘いお菓子、たっぷりのお酒。 この美味しい時間を靜かに過ごせたら幸せなアリシアだったが、ひとつの戀心を自覚して── 異世界戀愛ランキング日間1位、総合ランキング日間1位になる事が出來ました。皆様のお陰です! 本當にありがとうございます*° *カクヨムにも掲載しています。 *2022/7/3 第二部完結しました!
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