《VRMMOで妖さん》54:工を試そう。

さてと。お晝ごはんも食べた事だし、【細工】を教えて貰いに行こうかな。

確かこの辺りだったはず……と、あった。裏の工房側に回ろう。

あれ? 普通のドアの橫に、新しく妖サイズのドアが作られてるな。

壁にを開けてまで取り付けてくれたのか。これは助かる。

よしポチ、一旦還っててね。終わったらまた喚ぶから。

おー。流石は細工の工房だ。ドアに裝飾までしてあるぞ。

っていうかこのドアノブ、ちゃんと実裝されてる!? 凄い加工技だな……

開けてみると、狹い空間の奧にまたドアが一枚。空調の為ではないだろうし、壁の厚みの関係かな?

あ、ノックしてないや。側のドアだけでも叩いておこう。聞こえるかは判らないけど一応ね。

……返事は無いけど開けてみよう。ダメなら開けられなくしてあるだろうし。

「お邪魔しまーす……」

お、普通に開いた。

「あら、いらっしゃい。ドアを作ってみたのだけれど、どうかしら?」

「こんにちは。はい、とても助かります。出りをする度に人の手を借りずに済みますし」

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「あら、褒めてくれるのは実用だけなの?」

「あっ、いえ。とても綺麗なドアですし、このサイズでちゃんとくドアノブを作る技も素晴らしいと思います」

「ありがとう、嬉しいわ。それで、今日も【細工】を習いに來たという事でいいのかしら」

「はい。よろしくお願いします」

「始める前に、以前作ると言っていた【妖】用の工を一通り作ってみたの。試してみてくれるかしら?」

フェルミさんが棚から小さな箱と、木片や金屬板を持ってきた。

「はい。この箱にっているんですね?」

「ええ。そこの端材を使って一通り試してみて貰いたいの。おかしな所があれば言って頂戴ね」

おぉ、凄い。箱の中には【妖】サイズの工がズラッと並んでた。

金槌や木槌はともかく、よくこんな細い棒でノミとかを作ったな。まぁとりあえず、試してみよう。

うん、一通り使ってみたけどどれも問題なく使えた。

し重くじたけど、魔力工の重量が無いのがおかしいのであってこの工が悪い訳じゃないし。

「大丈夫です。ちゃんと使えましたー」

「そう。ありがとう。それならそのまま使ってもらって、前回の続きをしましょう」

「いいんですか?」

「使う為に作っただから。それに、耐久テストという意味もあるわ」

「そういう事でしたら、ありがたく使わせてもらいます」

「えぇ、よろしくね」

ふぅ。やっぱり中々満足の行く出來にはならないなぁ。

でもしずつマシにはなってきてるし、あと何日か通えばなんとかなりそう。

これに限ってはだけど。

「ずっと同じことをやり続けるのも飽きるでしょうし、し違う事もやってみる?」

という提案に乗って、針金細工も試させてもらった。

てか十分の一のサイズで問題なく使えるラジオペンチとかよく作れるな。【細工】って凄い。

やっぱりこれも、なかなか上手くいかないけど楽しい。

サンプル用の完品オブジェがわんこなのも地味にやる気が出る。

「あら、もうこんな時間ね。今日はそろそろ切り上げましょうか」

おや、黙々と曲げていたら結構時間が経っていたらしい。と言っても二時間ほどか。

「はい。今日もありがとうございました」

「では、またね」

「失禮します」

二重ドアをくぐり外へ出て、ポチを召喚する。でまわしながら次に何をするか考えよう。

うーむ。あ、そうだ。

が採れるんだし、きなこ飴でも作ってみようか。

あ、でもきなこって売ってるんだろうか? とりあえず店で探してみよう。

むぅ、大豆はあるけどきなこは見當たらないな。

まぁ砂糖も貴重だし、わざわざ作る程売れないよね。

仕方ない、大豆を買って自分で作るしかないかー。

でも例によって私が持てる量では売ってない。

どうしたものか…… そうだポチ、ちょっとおいでおいで。お仕事ができたよ。

【魔力武】で背中の上にカゴを作ってに固定する。これでよし。

銅貨を一枚取り出して大豆の前まで飛んで行き、店主にアピールする。

やっぱ重くてフラフラ飛ぶ羽目になるな。おっちゃーん、これちょうだーい。

「おっ、毎度っ! 大豆を一枚分な。この子のカゴにれればいいんだな?」

頷いて商品棚に銅貨を置き、大豆がったカゴに蓋をする。よしポチ、帰るぞー。

あ、いや待て。炒る為の調理が無い。

型は【錬金】で出來るし、小さめの鉄の塊も買って帰ろう。

丁度三十センチくらいの奴が売ってた。これでいいや。

家に帰ろうと花園に戻って來たのはいいんだけど、そういえば中央部には柵があるんだった。

私は問題ないけどポチがれない。どうしようか。

モニカさんを呼んできて、開けてもらうしかないかな?

「お帰りなさいませ、白雪様」

と思ったら橫から現れた。お仕事してたのかな。

「あ、どうも。すいません、ここ開けてもらっていいですか?」

「はい。どうぞお通り下さい」

「ありがとうございます。ポチ、おいでー」

さて、家に帰って來た訳だが。また問題が発生した。

これどうやって持ってろうか……

豆は往復すればいいんだけど、問題は鉄塊だ。むぅ、らかくしてちぎって小分けにするか?

「よろしければ、お手伝い致しましょうか?」

わっ!? 後ろから來てたのか。でも足音とかしてなかったと思うんだけど?

うん、まぁジョージさんとかもっと神出鬼沒だしね。そういうものなんだろう。

「お願いできますか? 一階の訓練スペースに置いて貰えると助かります」

モニカさんは返事をしつつ二階を持ち上げ、片手でひょいっと大豆と鉄塊をれてくれた。

「ありがとうございます」

「いえいえ、気軽になんでもお申し付けください」

ありがたいけど頼り過ぎは良くないよね。

自分で出來ることが増えるように頑張ろう。

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