《VRMMOで妖さん》71:撃ってもらおう。

「っていうかさ、別に中庭じゃなくて訓練所でいいんじゃないか? ログアウト前の余った時間に訓練してる人が居るかもしれないし。撃たれて経験値が稼げるんなら、手は多い方が良いだろ?」

「あー、確かにそうだね。っていうか、そういえば役場って何時まで開いてるの?」

「食堂などの施設は八時から二十時までですが、事務付は常時解放されていますよ」

「へぇ。あ、そうだ。この世界の暦ってどうなってるの? 月に瓶一本って契約したのに、一ヶ月が何日か知らなかったよ」

「雪ちゃんって基本的な所が抜けてたりするよねー。まぁ知らなくても大抵問題ないし、結構知らない人も多いみたいだけどね。六日で一週間、七週間で一ヶ月だよ」

「要するに現実の一日が一週間、一週間が一ヶ月ってことだな。ちなみに月曜日から日曜日までがひと月だ」

「そして十ヶ月で一年です。ここだけは現実の暦から察しづらいですね。察する意味もあまりありませんが」

「おー、ありがと。一ヶ月が42日かぁ。っていうか今が月末なら、來月分からの納品って事なのかな。あとでモニカさんに確認しとこ」

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「流石に殘り數日で一ヶ月分の仕事しろとは言わないでしょー」

「まぁ一応ね。とりあえず有る分を納品してくれって言われるかもしれないし」

「確認するだけなら大した手間じゃないだろうしな」

「うん。っていうかお姉ちゃん、さっきからなんかパネルいじってるけどどうしたの?」

「ん? 雪ちゃんスレで魔法使い募集してた」

「いや何してんの!?」

「ほら、手數があった方が良いって言うから」

「もー、やる意味があるほど経験値がるのかも確認できてないのに」

「まぁ言っちゃなんだが、そんな呼びかけで集まる奴なんて元々暇してるだろうからいいんじゃないか?」

「そうかもしれないけどさ。とはいえ、もう呼んじゃったんだったら言っても仕方ないか」

「要らないからやっぱり帰って、などと言うのも失禮極まりないですしね」

「流石に、いくらなんでもそれは言えないよ」

などと話をしながら南通りの訓練所まで皆で歩いてきた。

さて、人は居るかな……っておいおい、多くない? 五十人近く居る気がするんだけど。

というか半分くらい、裝備がどう見ても理職じゃないか。

「おー、一杯集まってるねー」

「お姉ちゃん、なんて書き込んだの? 魔法使いっぽい人、半分くらいなんだけど」

「私はちゃんと攻撃魔法が撃てる人って書いたよ? 多分魔法使いの人の仲間とか野次馬とかじゃないかな?」

「暇人が多いな。まぁ私らも全然人の事は言えないわな」

「面白そうって付いてきましたしね」

そういえばそうだな。まぁ理攻撃されないならそれでいいけどさ。

近づいてからまずは一禮。

「皆さん、呼びかけに答えてお集まり頂きありがとうございます」

続いて、代理でお姉ちゃんが挨拶してくれた。いや、呼んだのはお姉ちゃんだし代理でもないのか?

まぁそこは別にどうでもいいか。

「妖さんのトレーニングの手伝いって事と、攻撃魔法が使える奴って條件しか書いてなかったんだが。俺達は何をすればいいんだ?」

魔人の男が挙手してから質問してきた。もうちょっとちゃんと書こうよお姉ちゃん。

「簡単に言うと、妖さんは【MND強化】を鍛えたいので攻撃魔法をガンガン叩き込んでしいと」

いや、別にガンガンじゃなくていいんだよ? こわいし。

「えっ? そんな事して妖さんは大丈夫なのか?」

「本人の希ですから。それに以前、私の【火矢】で起きた火に手をれても無傷だったのである程度は大丈夫だと思いますよ」

なんかゲームで落ち著いてるお姉ちゃんってレアだな。というか問題なくパーティーで活出來てるんだから、一緒に居る時にはしゃいでるだけなのか?

「雪ちゃん、どのくらいの威力なら大丈夫っていう目安が有ったら見せてしいんだけど」

「あ、うん。晝前に自分の手に打ち込んでたのがこれくらいかな?」

立ててある的の近くに行って【火矢】を放つ。當然のように一瞬で燃え盡きた。

「これがチクッとするじの威力だね」

「あー、こりゃ普通にぶっ放しても問題なさそうだな」

「これが當たってチクッと傷む程度って言ってますね」

「こんなもん食らってチクッで済むのかよ……」

「あ、ただ風で土や石を巻き上げるのは危ないかも。魔法で出した巖なら全然問題ないんだけど、その辺に落ちてる石が飛んで來たら普通に死にそう」

「そうなんだ。えーと、その辺の小石とかを巻き込んでぶつけない様に【風魔法】を使う人は気を付けてあげて下さい。當たると多分死ぬって言ってます」

「【土魔法】は大丈夫なのか?」

「どう? ……はい、大丈夫らしいです。魔法で出した巖なら問題ないそうです」

「そうか、じゃあ遠慮なく撃てるな。しかし小石でも死ぬって徹底してんなぁ」

いや、私だって好きでそうなってるんじゃないけどね。

「とりあえず、まずは試しにお姉ちゃんが打ち込んでみてくれる?」

「わかった。……うーん、やっぱり雪ちゃんに攻撃するっていうのは凄くやり辛いね。まぁ當人がやれって言ってるんだし仕方ないか。えいっ!」

飛んできた【火矢】をノーガードでける。流石に顔面はちょっと怖かったのでし上にいたけどね。

っていうかお姉ちゃん、なんでわざわざ顔を狙ったんだよ。いいんだけどさ。

特にダメージがることも無く、【火矢】は私のの前に留まっている。このまま消えるのも勿ないし吸っておくか。

「うぅ、手加減とかしてないのに無傷でけ止められた上に食べられた……」

「いや、なんかごめん」

「ううん、雪ちゃんが悪い訳じゃないからいいの。もっと頑張らないとって思っただけだよ。それじゃ、どんどん行くよー!」

言葉通りに遠慮なく叩き込んできたな。け止めて、口で吸いこんで食べる。

け止めて、食べる。ん、そういえばなんか微妙に味が付いてるな。

……あー、そうだ。これお姉ちゃんの味だ。放った魔法に込められた魔力も、直接吸うのと同じ味がするんだな。

どうでもいいけど「お姉ちゃんの味」って何かちょっと…… うん、要らない事を考えるのはやめよう。

「はぁ、はぁー…… ふぅ。もう無いや。うーん、一気にMPが空に近づくとしつらいね」

お、打ち止めか。撃たれた魔法を食べたおかげで、しずつだけどMPが回復してるし【妖吐息】で癒してあげよう。お禮代わりにもなるしね。

「ふーーっと。ありがとね、お姉ちゃん」

ふらつき気味だったのでいつもより多めにかけておいた。

「大分楽になったよ、ありがとー。それじゃみなさんも順番に、遠慮なくバンバン當ててあげてくださいね。頑張ればその分、一杯気持ちよくして貰えるかもしれませんよ?」

ちょっと待て、要らん事を言うんじゃないよ。皆すごいテンション上がってるじゃないか。

おいそこ、わざわざポーション飲むな。余ってるMPだけで良いんだよ。

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