《VRMMOで妖さん》75:とろとろにしよう。

そういえば一応言っておいた方がいいのかな?

「えーっと、なんていうか人間がぐずぐずに溶けていくのなんて見たくないって人は、一旦離れる事をお勧めしますー。って言ってもらっていいかな、お姉ちゃん」

「はーい」

むしろ見たい人がどうかと思うね。作り出す側が言うのもなんだけど。

「あー、俺昨日見たのでお腹一杯だし、先に噴水広場で死に戻ってくるの待ってるわ。出てきたら一緒に戻ってくるから」

離れるのは兎さんだけか。好きばっかりだなぁ。

興味本位で殘って吐いたりしなきゃいいけど。まぁそういうを見るって事を事前に覚悟しておけば、苦手でもしは耐えられるかな?

とりあえずその辺は頑張ってもらうしかないな。

さてさて。

「とろける覚悟はいいですかーー!!?」

聞こえる様に耳元でぶ。一応頷いたりしても巻き込まれない程度には距離を開けてるけどね。

っていうかこれ、人間の方の耳で良いのか?

「んあ? これ妖さんの聲? うん、いつでもいーよー」

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あ、こっちで良かったみたい。よし、それじゃ始めるとしようか。

背後から首に止まり、ゆっくりと魔力を送り込んでいく。魔法職じゃない分許容量もなそうだし、慎重にね。

「あぁー、気持ちいいー」

うぅ、れてるとこがらかくなってきた。

だんだん全的にらかくなっていって、頭部も下がっていくので魔力を注ぎつつ下降に付いていく。

「ハあァー…… さいッコーぅ……」

あれ、し聲が濁ってる。魔人さんは割と普通の聲のままだったけど、個人差があるのかな?

し周りを見てみると、既に目を背けてる人も居るな。だから言ったのに。

まぁ私は二回目だからマシだけど、人間だったものがどんどん崩れていく姿なんて怖いよね。

魔人さんの時と違ってゆっくり流し続けてるからか、よりらかくなって重なってる場所の境目があやふやになってきたな。

てかさっきから冷靜に観察してるけど、私の神はまだ大丈夫かこれ。侵食されてないだろうな?

多分大丈夫だろう。うん、大丈夫。

「アハァ…… そロソろー…… 召シあがレぇ……? ンフぅ…… 食べゴロじゃナァーイ……?」

怖い、怖いよ熊さん。々大丈夫か? あと食べ頃って何だよ。

うぅ、これに口を付けるのか…… 手からでも吸えるけど、せっかく吸って良いって言ってるんだからMPを無駄にするのも悪いし……

ええい、出遅れて消えたらそれこそ無駄になるし覚悟を決めて行こう!

とろけきってもうのどの部分かよく判らないけど、とろとろの塊に口を付けて【吸】で吸い込む。

げっ、口に流れ込んで來た…… って何これ!? もの凄く味しい!

普通に魔力を吸うのとは全く別次元の味わいが口一杯に広がる。

お芋の系統には違いないんだけど、何というか甘さとかまろやかさとか、々と段違いの素晴らしさ。

私の言葉じゃ上手く表現できないけど、とにかく味しいの一言に盡きる。

ふあぁー、これならいくらでも行けるよう。どんどん飲んじゃう。

んもー、熊さんの服邪魔だよー。【追放】でどけちゃえ。

「ハ ァア ー…… キ ィー……」

わぁ、まだちょっと殘ってる。うれしいなぁ。

あー、飲む前に消えちゃった…… もったいないなー。

もっともっと飲みたいなぁ。あぁ、まだあんなに一杯居るじゃない……

って待て待て待て待て!! 落ち著け私! 正気に戻れ!

皆ドン引きとか軽く通り越して、武に手がかかってるよ! 涙目になって人の後ろに隠れてる子まで居るよ!

「ゆ、雪ちゃーん……? 私達味しくないよー……?」

いや、それはどうだろう。……じゃなくて。とりあえず両手を上げて抵抗の意思がない事を示そう。

「えーと、いやその…… ご、ごちそうさまでした?」

聞こえてる面々が更に一歩下がった。いや、違うんだって。不可抗力なんだって。

「いやお前、さっきまで人間だったを喜々としてすすり飲んで、それが無くなったら首から上だけかして周りの人間を見回すとか本気で怖いわ。これで首が百八十度回ってたら即座に攻撃してたぞ」

アヤメさん説明ありがとう。しかし完全に化け扱いじゃないか。いや、なんか否定出來る要素がないんだけどさ。

「っていうか明らかにおかしいだろ。どうやってそのに人間ほぼ一人のったんだよ」

いや、私もよく解らないんだけど。

「自分でも解んない。あんまり味しくて夢中になっちゃってた」

「いやお前、人間食って味しいって……」

「雪ちゃんが人間の味を覚えちゃったよぅ…… 人里に降りてきちゃう」

私は野生の熊か何かか。そもそもずっと人里にいるだろ。むしろ出た事が無いよ。

「人間をして、溶かして食べる…… こう言うと完全に討伐対象のやる事ですね」

「待って待って。私、プレイヤー。モンスター、違う。おーけー?」

「うーん、微妙。っていうかなんで片言で言うんだよ」

「いや、意味はないけどなんとなく。そういえば魔力弾に魔人さんが指を突っ込んだ時に分解されて魔力に混ざってたんだけど、もしかしたら流し込んだ魔力のせいでが変質してたのかも」

「どう見ても変質はしてたけどな。何にかはともかくとして」

「【吸】で取り込める様な狀態に、魔力で分解しているんでしょうか?」

「解んないけど、そうなのかも。おのままだと、どう考えても私のには収まらないし」

「そういえば、【追放】をかけた服がそのまま落ちてるんだけど……」

「一応そういう時は、初期の服を著た狀態で復活するはずだけど。雪ちゃん、何で飛ばしたの?」

「多分、服の下にもうちょっと殘ってるんじゃないかと思ったのかな?」

「自分の事だろうに。てかなんでがせたんだろうな? 裝備してるアイテムは外せない筈なんだけど。あぁ、あの狀態じゃ著てるって判定にはならないか……」

そんな基準でいいのか? まぁ出來てしまったは仕方ない。問題があれば修正されるだろう。

有ってからじゃ遅いかもしれないけどね。

「取りあえず畳んでまとめて、預けて來ますね」

申し訳ないけどお願いします。例によって私じゃ無理だから。

「しかし雪ちゃん、夢中になってたねぇ」

「周囲を見回した時は、完全に獲を探す目になっていましたしね」

「いやだって、普通に【吸】するよりも圧倒的な味しさだったんだもん……」

「その味の魅力に負けて、衝で私らを食べないでくれよ?」

「やらないよ、大丈夫だってば。それに抵抗しようと思えば簡単に殺せるでしょ?」

「そうかもしれないけどさ。こっちだって殺したくはないからね」

「すまん、近づいて大丈夫か?」

あ、忘れてた。

「はい。さっきは人のあまりの味しさに、雪ちゃんも我を忘れていた様です」

おいちょっとお姉ちゃん、なんで更に引かせようとするのさ。

「あ、あぁ。うん、種族が違うもんな。味覚の設定も違うのかもしれないしな。そういう事もあるよな」

ほら、なんか無理矢理納得しようとしてるじゃないか。んもー。

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