《VRMMOで妖さん》79:流されよう。
んもー、そんな悲しそうな顔で見下ろさないでよー。
そりゃ別に何か重大な問題がある訳じゃないけどさ。相手は小っちゃいの子だし。
でもやっぱり何となく抵抗があるよ。
「ほら、シルクが嫌いって訳じゃないからさ。でも流石に私だって、でお世話されるのは恥ずかしいんだよ」
天井付近まで浮き上がり、頭をでて宥める。
ん、タオルけ取れって? いいけど何で? あれ、出て行ったぞ。
ふー、助かった……ってすぐに帰ってきた。なんかもう一枚タオル持ってきてるぞ……
「え、もしかしてこれで隠せば大丈夫って事?」
うんうんと頷く。いや、って事には変わりがないんだけど。
確かに溫泉とかだとそんなじかもしれないけどさ。
むぅ。そんな「どうしてもだめなの……?」ってじで泣きそうな顔されるとなぁ……
うー、でもなぁ。くそー、相手が子供でさえ無ければとっくに追い出してるのに。これも開発の罠か。
「はぁ。わーかった、解りました。私の負けだよ。それじゃ服いで仕舞っちゃうから、ちょっと待ってて」
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結局諦めて折れることにした。なんかこのまま追い出したら、お風呂上りにドアの橫でしゃがんで泣いてるのに遭遇しそうで怖いし。
泣きそうだった顔がパァッと輝いた。凄い嬉しそうだけど、こっちはちょっと気が重いよ。
って何だその揃えて差し出した両手は。え、何か乗せるの?
試しに渡されてたタオルを置いてみたら首を振られた。違うのか。
もしやと思って腰のパレオをつまんでクイクイ引っ張ってみる。あ、頷いた。服をいで渡せって事なのか。
「えっ、いや、ボックスにれれば」
私が言い終わる前にズイッと手を前に出してくる。いいから寄越しなさいって事か。
あれー、私がご主人様だよね……? しかもこの子、さっきまで泣きそうだった子だよね……
なんだか釈然としないぞ。でも斷ろうとしても、またさっきと同じ流れになりそうな気がするんだよね。
うむぅ…… 家事とお世話が存在意義だから、それをやらなくていいって言われるのは自分が要らない子だって言われるようなものなんだろうか。
それも可哀想だよなぁ。そもそもそういう種族を召喚したのは、他ならぬ私自なんだし。
流石にここまでグイグイ來られるとは全く思ってなかったけどさ。
うん、仕方ない。吹っ切るか。なくともこの家の中は人の目も無いんだから、好きにさせてあげよう。
でも流石に屋臺で「あーん」は、々キツいから遠慮したい。「あーん」っていうか問答無用で押し込まれてたけども。
「ふぅ、解ったよ。取りあえず家の中では好きにお世話してくれていいから。その代わり、外では恥ずかしいからやめてね。約束だよ?」
シルクは良い笑顔でブンブン頷いてる。もしかして早まったか?
まぁ言ったものは仕方ない。とりあえず服をいで渡そ…… あれ?
え、あれ、ちょっと待って? なんで私、いつの間にかなの?
片手に私の服を乗せたシルクが、もう片方の手でタオルを差し出す。あ、ありがと。
いやいや、そうじゃない。え、いつがされたの? 全く気付かなかったんだけど。
これ、本當に早まったんじゃないか?
服をけ取ったのに、シルクはまだ手を出したままだ。
まだ何か…… あ、そういえば訓練の時に服いだままだったけど、それも出せって事か?
洗濯とかそういうの必要じゃないはずだけど。とりあえずボックスから出して「これも?」と聞いてみたら頷かれた。
仕方ない、全部渡そう。で著替えも持ってない狀態って、凄く心細いな……
一旦片手に服をまとめて、シャワーを指差してから出ていくシルク。
今のは「置いてくる間に浴びててね」って事だろうか。
まぁ元々そうするしかないし、大人しく従っておこう。
暖かいお湯を浴びて、軽く髪を流したところでシルクが戻ってきた。
せめてもの抵抗でバスタオルを取り出して巻いておこう。翅が有るからし低めになるけど、それは仕方ない。
拭く為に持ってきてたけど、この調子なら多分表にもう一枚用意されてるでしょ。
いやそんな「往生際が悪いなー」みたいな顔されても。元々小さいタオルだって隠すために渡してきてたじゃない。
で、どうするの? ふむ、とりあえず一旦お湯を出して、持ってきたタオルを濡らして。
後ろ向けって? ほい。
おおう、お腹にシルクの左手が添えられた。あぁ、浮いてるから押されて前に行っちゃわない様にってことね。
「あー、翅は敏だから優しくお願いね?」
既にどうされても抵抗出來ない勢だけど、一応言っておかないとね。
し斜めになっている左手に重を預けて、背中側を拭われるに任せる。
バスタオル? 手が添えられた直後に解かれて、私との間に挾まれてますよ。
っていうか今更ながら、別に埃とかざっと流すくらいで十分なんだよな……
言っても聞いてくれそうにないから諦めてるけどさ。
おお、翅でられるとすっごいぞくぞくする……
くすぐったいやら気持ち良いやら、絶妙な力加減だ。
しかし凄いな。家の中でのシルクの腕力って通常サイズの人間くらいあるっぽいのに、こんな繊細な加減が出來るとは。
まぁ出來なきゃ今頃、握り潰されるか挾み潰されて上下から中が飛び出てるんだろうけど。
ちょっ、をでるな!! いや背中から下がっていっただけなのは解ってるけどさ!?
腳をバタ付かせたら背中に手を添えられて、を固定されてしまった。
うー、解ったよ。大人しくするよう……
今度は何だ? なんか右のにタオルが巻かれて…… っておい、なぜ摑む!?
右腳をタオルの上から摑まれ、添えられていた左手もを橫から親指で挾む様に持ち替えられた。
そして腳を摑んだ右手をタオルごと降ろしていき、爪先まで一気に拭われる。
きっちり太さに合わせて握りの強弱を調節する用さのおかげで、足を丸ごともぎ取られるようなことは無かった。
続いて左腳も同じように拭われる。仕上げに足をタオルで挾んで、指でこしこし。
うへぇ、くすぐったいけど逃げられない。
両足が済んだら解放されて、シャワーで流される。
流石に前は手持ちのタオルで自分で…… うん、だろうとは思ってた。もう好きにして……
ふー、やっと落ち著けるよー。
使ったタオルを全て預け、お茶に浸る。ぬくぬく。
紅茶風呂ってこんなしっかり出したものじゃないだろうけど、別に現実のでる訳じゃないから別に良いのだ。
あれ、シルクが戻ってきた。もうすることないんじゃない?
どうしたのかな? と思っていたら背後に座って私の頭を両手で挾みこみ、位置を調整する。
何が始まるのだ。
おお、頭皮マッサージ…… いや、なぜこのタイミングで。さっきでも良かったんじゃないか?
まぁなんか気持ち良いからいいや。ほへー。
冷靜に考えるとしでも力加減を間違えたら一瞬で私の頭が無くなる狀況なんだろうけど、気にしても仕方がない。
その気になれば私の頭蓋骨なんて、親指と人差し指の二本で挾むだけでカシャっと行けるしねー。
【妖】が人にれさせるっていうのはそういう事だし。人じゃないけど。
しばらくだらけきっているとカップをコンコン叩く音が聞こえた。
あ、もう上がった方がいい? はーい。
お茶から出て、シャワーでを軽く流す。白いタオルにが付いちゃうからね。
場に出るとシルクにじっとしているように指示され、タオルで全くまなく水気を拭かれた。
うぅ、私貴族とかそういうのじゃないんですけど……
拭き終わったら両腕をし広げる様に指示される。今度は何なの……?
背後から真っ白で厚手のナイトガウンが著せかけられた。あれ、私の服は?
聞いてみたら笑顔で首を振られた。
え、私にこれ一枚で寢るの? 流石に落ち著かないんだけど。
せめて下著くらいしいんですけど? 無いのか。そっか……
ところでシルクさん、召喚者を赤ちゃんみたいに抱っこして部屋へ向かうのはやめてくれませんかね。
あ、ダメですか。はい。
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