《VRMMOで妖さん》82:膨らんだ。

一部ぼかしつつも、二人に昨晩の事をさらっと説明した。

流石に全くまなく洗われたとか、あんまり言いたくないよね。

「なんていうか、凄いねぇ」

「しかし召喚者なのに泣き落としで押し切られて全部許すとか、ちょっと甘やかし過ぎじゃないか?」

「うーん、まぁその自覚はあるなぁ。泣けば言う事聞いてくれるって思われても困るし、ダメなはダメって言わないといけないよね」

ちゃんと私がご主人だって解ってもらわないとね。舐められてはいけないのだ。

うん、どの口が言ってんだってくらいに遅すぎるじはするけど。

「そういえば雪ちゃん、何か新しいスキルや魔法は覚えた?」

また唐突な質問だな。なんか私ばっかり聞き出されてる気もするし。

「そういうお姉ちゃんは?」

逆に聞いてみよう。質問に質問を返すのはどうかと思うけどね。

「うーん、レベルが上がって増えたりはしてるけど珍しいものは何もないよ? ほら」

そう言って、スキルパネルを開いてこちらに見せてくる。確かにごく普通の魔法攻撃職のスキルだ。

Advertisement

【火魔法】をメインに使ってるっぽいな。二人を焦がしたりしてなきゃいいけど。

「まぁ普通にやってれば大普通の構になるさ。白雪みたいな愉快なのはそうそう居ないよ」

「いや、愉快って。えーと、何が有ったっけ…… あ」

っていうかあんまりイメージ良くないのばっかり増えてるわ。

魔法】はまともだけど、持ってるって昨日言ったし。

「なに?」

「いやー、【妖】らしくないのばっかだなって」

「それ、もうかなり今更だよな」

うるさいよ。

魔法】と【吐息】のパネルを開き、引き延ばして渡す。

「うわぁ……」

「流石にここまでとは思ってなかったわ、うん」

「こういうスキルというだけなら珍しくは無いですが…… どちらかというと、敵が使ってくるですね」

ですよねー。私もそう思うよ。

「これはどのような手段で習得されたのですか?」

「えっと…… あぁ、そうだ。【魔法】は魔人さんを破裂させて、骨や片を弾丸みたいにばら撒いた時だね」

多分。もしかしたらその後の溶かした時點かもしれないけど。

「うん、自力取得が無理だって言う事はよく解ったよ。人相手じゃなくてもMPが足りなさそうだし」

「しかしまぁ、笑顔のまま凄い事言うな。慣れか?」

「確かに、今の時點で一番人を殺してるのって多分雪ちゃんだよねぇ」

「一番かは解らないけどな。まぁなくとも公開で処刑した人數はトップだわ」

そりゃまぁ、他にやってる人居ないだろうけどさ。

「それだけでも三人か。で、回數で言うと七回分か」

それだけだもん。……いや十分多いな。

とりあえずなんかまずい話の流れだし、とっとと次に進めよう。

「で、【溶解吐息】は溶けた魔人さんを見て兎さんと一緒に吐いた時に取れた」

「もうなんでもアリだな」

「それは私も言いたい事だよ。もう諦めてるけど」

「これって試してみたの?」

「ううん、どっちも試してないよ。別に使わないし構わないかなって思ってね」

「見てみたーい! ねっ、やってみようよ!」

えー、なんでだよ。あぁ、言葉通り見てみたいだけか。

「んー、まぁいいけどさ。何か溶かすような、持ってる?」

「じゃーん! その辺に落ちてた石ー!」

鞄を漁り始めたと思ったら一メートル位の大きさの巖が出て來た。

なんでそんな持ってて、なんで自慢げなんだよ。

「いやミヤコ、あんたなんで鞄にそんなってるんだ?」

「こう、いざって時に投げつけたり出來るかなーって」

「いや魔法を撃てよ。っていうかもうちょっと小さい方が投げやすいだろ」

「というわけで雪ちゃん、これにどうぞ!」

巖を地面に置いて離れて行く。んー、使ったこと無いから加減が解らないぞ?

とりあえず軽く、霧狀にふわっと吹いてみよう。

おー。霧にれた瞬間にシューシュー言ってる。

軽くでこれかー。それじゃ普通に行ってみよう。ふーっとね。

うん、當たった所が消えたね。いや消えた訳じゃないけど、ジュッて言って溶けて崩れた。

これもうっかり人に吹いたら灑落にならない奴だな。

そもそも弱くしてても、人に酸を吹きかけてる時點で灑落にならないけどさ。

「おー、溶けてる溶けてる」

「更に愉快な生きになったなぁ」

今なった訳じゃないやい。

「もう一つの方は、【魔法】を登録していないでしょうから見られませんね」

「あ、うちの結界の中なら私がスキルを使っても警報が鳴らない様にしてくれてるよ。玄関前なら大丈夫だと思う」

「ほー。それじゃ、私に使ってみるか? この中じゃ、私が一番HPが高い筈だしね」

「萬一吸い過ぎても、死にさえしなければ私が回復しますので大丈夫ですよ」

【吸】の時は一瞬でMPを吸い盡くしそうになったけど、こっちはペナルティ対象だろうから普通に使っても大丈夫だろう。

皆で玄関の前まで移して、私の前と左右に取り囲むように三人が並ぶ。

近くで囲んで見下ろされると、慣れててもやっぱり圧迫があるな。

「ほい、それじゃどうぞ」

アヤメさんが正面でしゃがんで、顔の高さに人差し指を突き出す。

それに近づこうとしてふと気づいた事を口に出してみた。

「っていうか今更だけど、これって見ても特に何か起こるスキルでもないんじゃ?」

「本當に今更だな。確かにそうだけど、もう構えちゃったしやってみようじゃないか」

まぁ良いって言うならやるけどさ。

突き出された人差し指を両手で包んで、先端に口付ける。

せーの、【吸】…… ひぎっ!? 痛っ、おっ、お腹っ、膨れっ、痛ぁっ!!?

重っ、痛っ、飛んでっ、られなっ…… お、落ち、破れっ、お腹、破っ

えっと…… 一日死なずに過ごせた翌日は、朝一からこれかぁ……

した瞬間にお腹がとてつもない勢いで膨張して、重さに耐えきれずに落下。

咄嗟にアヤメさんが私の下に手を出してくれたけど、そこにお腹から落ちた衝撃で破裂して死んだようだ。

私のお腹、前側に一メートル位のボールを引っ付けたような形に膨れ上がってたっぽい。

腹筋とか腹とかどうなってんだ。いや、どう考えてもそんなレベルの話じゃないけどさ。

幸い服は上にめくれて、破れずに済んだようだ。危ない危ない。

ペナルティが有るとは言っても魔力の差が大きすぎて、私のじゃ耐えきれない程の量を吸っちゃったんだな。

せめて威力は調整するべきだった。

あ、お姉ちゃんからメッセージが來た。

いやー、謝られてもこれお姉ちゃん別に悪くないよね。

むしろ風船をけ止めたアヤメさんの手が大慘事になっちゃってるんじゃ……?

とりあえず戻ろ……あっ、やば。

萬一シルクが大豆炒ってる最中だったら、火事になっちゃうかもしれないぞ。

「家開けてみて廚房に火がってないか確認して」ってメッセージを送ってから戻ろう。

こんなんで家と服燃やしたりしたら、アリア様になんて言えばいいんだよ。

      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください