《VRMMOで妖さん》85:味を聞こう。

「すまんレティ、やっぱ回復頼む……」

大丈夫とは言ってても、やっぱり苦しそうだな。まぁ吐いた直後ってのもあるだろうけど。

レティさんが魔法で回復してあげて、なんとか落ち著いたみたいだ。

ついでに私も【妖吐息】をかけておこう。ほとんど私のせいみたいなものだしな。

「ふー、ありがと。楽になったよ」

「ほんと、なんかごめんね……」

「いや【妖】のよく解らん仕様のせいだろうし、白雪を責めはしないけどね」

「二度目は自分から進んで食べていましたしね」

……ん? レティさん、今なんて?

「え、いや、そんな事は……」

「いえいえ。特に何を言う訳でも無いのに、弾く瞬間にお口を開けていたじゃありませんか?」

「う、ぐ……」

「それに、思わずというには飲み込むまでに間が有りました。白雪さんをじっくり味わっていたのでは?」

なんか言い方がちょっと……

「なぁレティ…… さっき突き飛ばしたの、ちょっとに持ってる?」

「いえ? 先程はまともな狀態ではありませんでしたし、仕方のない事ですよね」

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いつもの笑顔のままなんだけど、そう言われるとなんか怒ってるように見えてきた。

気のせいかもしれないけど。

「その割に容赦が無い気がするんだけど……」

「で、お味は?」

唐突に直球で來たな!?

「え、いや味って」

「お味は?」

橫からモニカさんまで尋問に參加してきた。仕事行きなさいよ。

「……プリン」

プリンかー。むぅ、好きだけど自分じゃどうしようもないな……

どうせ魔力と同じで自分の味はじないんだろうし。

っていうか味しかったとしても自分を食べるのは流石に無いわ。

「……さくらんぼ乗ってる奴」

「あー、頭のとこかな?」

頷くアヤメさん。いやそんな話、掘り下げなくていいよ。

がカラメルでがカスタードってじだった…… って落ち著け、今かなり頭がおかしい會話になってるぞ」

うん、確かに。っていうか他の三人はチラチラこっち見ないで。怖いから。

「あー、うん、すまん白雪。お前の味いと思っちまった」

「ん? いやいいんだけど、何で謝るの? ただその言い方はやめてほしい。切実に」

「え、知り合いの妹食べるとか有り得ないだろ? いやそもそも人を食べるのが無いけどさ」

「そりゃおかしな設定されてない人族同士ならそうだけどさ」

「プリンだけにお菓子なって?」

「うっさい!」

やめろお姉ちゃん。言われるとなんか恥ずかしいじゃないか。

「まぁそれは置いといて。味しい設定のなんだから、それが口にって味しいって思うのは何も変な事じゃないでしょ」

「いや、でもねぇ。中は人間だし、しかもそれが知り合いだよ?」

「中って言っても、作りのアバターを作してるだけだしなぁ。切られようと焼かれようと、食べられようと全部一緒だよ」

まぁ生きてる狀態でやられると痛いから、出來ればどれも勘弁してほしいけどね。

「まぁ要はアレでしょ? ファンタジーとかでたまに見る、二足歩行の豚を食べていいかみたいな倫理観の問題。私の場合は人の形をした喋るお菓子を食べられるかって所かな」

「んー、まぁ確かにそうかもしれないけどさ…… ところで白雪。墓掘ってる事に気づいてるか?」

「アヤメさんに気にするなと言いたいのは解るのですが、ご自分が食品だと言っている様なものでは?」

「はっ。いやうん、食べられたい訳じゃないからね? だからモニカさんはじりじり近寄って來ずに、早く仕事に行ってください」

「うぅ、仕事が憎い……」

「いや、仕事が有るからそこに住んでるんですからね? あ、あとさっきは有難う座いました」

仕事に行くモニカさんにお禮を言って見送る。

肩を落として殘念そうにしてるけど、別に仕事が無くても食べさせる事はないよ。

「っていうか食べたらさっきのアヤメちゃんみたいになっちゃいそうだしね」

「あー、そういえばそうだな。神系の狀態異常を食らったらあんなじなのかね。なんか頭がボーッとして、を自縦されてる様な覚だったわ」

「次の機會が有れば、魔法で異常解除が出來ないか試してみますね」

「その機會が無いのが一番だけどな…… しかしあれだな。本當【妖】ってなんなんだろうな」

「私が聞きたいくらいだよ。とりあえず私たちが知ってる妖じゃないのは確かだけど」

「なんていうか、言い辛いんだけどさ」

「ん?」

「私の知る限り、このゲームで今の所【妖】が一番邪悪な生きなんだけど」

「えー…… いや、でも全然否定出來る材料が無いぞ……」

「人間を破するわ、して溶かして食べるわ、殺されたとしても香りと味で釣って自分を食べさせて、洗脳して仲間に食わせるわ」

うん、言い訳のしようもないぞ。

「あと塩で祓える」

「いやそれはもういいよ。理的に耐えられないだけじゃん」

「うん、冗談はいいとして。実際最後のはなんなんだよ。カタツムリに付く寄生蟲かよ」

「いやあれは自分自が鳥に移するためにやってるから、また別だとは思うけど」

「そういう事を言ってるのではないと思いますが……」

「わかってる。要するに食べられるように行させるって所だよね」

「完全にキマっちゃってたよねー。フヘへへグッ」

「忘れろ」

お姉ちゃんがモノマネで茶化そうとして、脳天に拳骨を貰って沈んだ。

そりゃそうなるだろ……

「大丈夫ですよアヤメさん。そのくらいの失態など大した問題じゃありませんよ」

ん?

「白雪さんなんて、今朝」

「わー!! ちょっと待って待って!」

おいレティさん、なんでこっちに流れ弾飛ばしてくるんだ。

もしかして、さっきの騒の元兇だからか?

「え、白雪は何やらかしたんだ?」

「やってない、何も! 私は!」

「寢ぼけて、ほぼ全で窓を開けて私の前に出てきましたよ」

「わぁー!!! 忘れてって言ったじゃないーー!!」

「雪ちゃん…… 流石にそれは……」

「無いわ……」

「せめて笑って! 普通に引かずに笑い話にしてよー!!」

「だって、ねぇ?」

「なぁ?」

「ガウンは羽織ってたもん! 全じゃないもん!」

「いえ、はだけていて余計に…… それと翅が有るせいか、元々背中が大きく開いているデザインのようでしたし」

「うわぁ…… 雪ちゃん……」

「無いわぁ……」

「んもぉーーっ!! レティさぁーん!!」

いっそころせ。

食べられるのは別に良いけど、形は現実のそれなんだから見られるのはキツい。

……ちょっと一部盛ったけど。うん。それはいいの。

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