《VRMMOで妖さん》96:全てを委ねよう。

洗い終わったようなので、とりあえず絞っておいてもらおう。

ここで熱風送ってもあんまり乾きそうにないし、バルコニーにぶら下げてから乾かすとするかな。

あれ? 結局著ずに出る羽目になるんじゃ…… まぁなんとかなるか。

ガウンをきっちり著て、飛ばずにじっとしてれば大丈夫だろう。

「シルクー、もう上がるからおねがーい」

背中側に手を差し込めるくらいの隙間を作りつつ催促する。

もう家の中では、お世話しやすい姿勢になる事以外は全部やって貰うくらいの勢いで甘えよう。

昨日の様子を見たじ、怖くなければそれくらい盡くしたいっぽいしね。

本來ならやりたがりそうな事を、こっちから要求してやってしでもハードルを下げていきたい。

まぁまだまだりたくないくらい怖いだろうけど頑張るんだ。

背中との辺りを抱えられ、お風呂から出て場へ。

棚の上に敷かれたバスタオルにそっと置かれ、優しく包まれて再度持ち上げられる。

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軽く水気を吸い取ってから一旦解き、前と後ろをそれぞれ丁寧にでて拭かれた。

すこしくすぐったいけど、言ったらまた怯えそうだから我慢しておこう。

拭き終わったらガウンを著せかけられ、髪の水気を拭われた。

よし、それじゃ服を持たせて私の部屋からバルコニーに出るとしよう。

両手を広げて、シルクの空いた左腕に近づきながら催促する。

「シルク、だっこー」

……自分で言っておいてなんだけど、これ完全に児だ。

今ちょっと下がったの、急に近づいて來て怖かったんだよね? 引いたんじゃないよね?

バルコニーまで抱っこされたまま出て行って、置いてある椅子に降ろしてもらう。

服は別の椅子の背もたれにひっかけておいてもらった。

「雪ちゃん、運んでもらってたけど大丈夫なの?」

「あ、大丈夫だよ。運んでもらってたのはしでも私に慣れるのを早めようと思って、れあう機會を増やしてるの」

「怖いだけじゃないかなぁ? まぁそれはともかく、ご飯もきなも出來てるよー」

結構待たせちゃったかな?

あ、でもきなはあの時點でそれなりに出來てたし、お姉ちゃんのほうも野菜炒めみたいだから、あそこからはそう工程も多くないか。

「ご迷をおかけして、まことに申し訳ありませんでした」

「まぁダメにならなかったんだから大丈夫だよ」

「それにしても、まさかよだれなんかで死にかけるとはねぇ?」

「お姉ちゃん、アヤメさんには言わないでおいてよ…… 絶対に大笑いするし」

「あー、確かに。お腹抱えて笑いそうだね」

「それにしても水とかは私でも問題なくれるのに、よだれだけはこっちの仕様にならなかったなぁ」

「『通常サイズからの攻撃』みたいな扱いになったのかな? よく解んないけど」

「まぁ別になんでもいいか。解ってもどうにかなるわけでもなし」

再度浴びる事も無いだろうし。……うん、無いと信じよう。

「さて、きなも出來たならお話にりたいところだけど」

「だけど?」

「ごめんねカトリーヌさん、先に服を乾燥させたいからちょっと待ってもらえるかな」

「はい。いくらでも放置して頂いて構いませんよ」

「いや、そんなにかからないとは思うけど…… この下、何も著てないから外に居るとすごい落ち著かないんだよ」

「雪ちゃん、セクシィー!」

「やかましいよ! っていうか下に何も著てないのはセクシーっていうか変質者だよ! あっ、これ自分で言っててちょっとへこむ!」

うん、私癡じゃないからね。

【魔力武】で出したポールに服をひっかけて吹き飛ばない様にして、シルクに持っておいてもらう。

そういえば錬金で水だけ出とか出來ないのかな……

明らかに特殊な使用法だし、失敗して妙な事になりかねないからやめておくか。

大人しく【灼熱旋風】を高めの溫度で當てるだけにしておこう。

【焼卻吐息】でもいいんだけど、燃えられたら本気で困る。

々やらかして今まで大丈夫だったんだから壊れはしないとは思うけど、萬一壊れてしまえば私は新しく作るまで何も穿かずに生活しなくちゃいけないからね。

まぁカトリーヌさんが全になってないんだから破壊不能なんだとは思うけどさ。

そろそろいいかな。シルクを呼んで服にってみると、っているけど我慢できる程度にはなっていた。

それじゃポールを消して、と。

「ちょっと服著て來るから待っててね。シルク、行くよー」

座ったまま手をばして抱えてもらい、部屋に戻ってカーテンを閉める。

ガウンをいで畳み、妖の服を著て、その上に著る服を選び、に著けた。

まぁ全部シルクがやったんだけどね。うーん、楽ちん。

謝の気持ちで頭部に抱き著いてで回す。

……しまった、怯えてる。最後に優しく、ポンポンと頭をでてから離れた。

「ごめん、びっくりさせちゃったね。それよりありがとうねー」

躾けたいんじゃなくて、お禮を言いたいだけだからな。

「それじゃ、もう一回表に出ようか」

目と鼻の先ではあるけど運ばせて著席する。

「お待たせしましたー」

「お、また新しい服だ。かわいー」

「ありがと。で、【妖】についてだったよね。とりあえず前提條件として、カトリーヌさん高所恐怖癥ではないよね?」

「はい、大丈夫ですわ。そうであったなら、それも楽しめたのですが……」

「そうですか。恐怖癥でなくても基本的に高い所を飛んでいるので、慣れるまではし怖いかもしれませんけどね。というか怖かったです」

スルーだ、スルー。

っていうか流石に恐怖癥ってくらいなら楽しめないんじゃなかろうか?

どっちもなったことないから解んないけどさ。

「低い所飛んでたら蹴っ飛ばされちゃうもんね」

「ちょっと違うね」

「え?」

「原形を保って吹っ飛べる強度なんてないから、蹴散らされるって言った方が」

「思ってたよりかなりどうでもいい反論だった!」

「うん、まぁ。あと生での高速飛行が怖いとか、巨大な相手からの圧迫……は好きそうだからどうでもいいや」

「えぇ。なんでしたら理的に圧迫して」

「あとは知っての通り聲が小さいのと、普通の人の聲が凄く大きく聞こえちゃう事かな。これも慣れないと耳が痛くなって辛いね」

「高くなったり低くなったりしないのは不思議ですわねぇ」

「そうだね。まぁこのが自壊しないだけでも不思議で一杯だから、気にするだけ無駄なんじゃないかな」

「そういう仕様だって言われればおしまいだもんねぇ」

「細かい事気にし始めたら々多すぎて、きりがないしね」

「雪ちゃん、そういえば気になってた事があるんだけど」

「唐突にどうしたの?」

「さっきカトリーヌさんのよだれでコーティングされた時さ、なんで自分で流さなかったの?」

「言い方がなんだか恥ずかしいですわぁ……」

「えっ?」

「いや、雪ちゃんって手からお水出せたよね? 口まで覆われる前に、洗い流しちゃえば良かったんじゃないかな」

あっ。

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