《VRMMOで妖さん》97:跳ね返されよう。

「ほら、あれはね? 私の弱い所を見せつつシルクに助けてもらって、れ合いを通じて慣れてもらおうっていう作戦がですね?」

お姉ちゃんは無言のまま笑顔で私を見ている。むぅ。

「……慌ててただけですー! 忘れてたんですよー!」

「そうそう、素直にね。っていうかその言い訳が本當だったら、シルクちゃんの前で言っちゃ臺無しでしょ」

「いやうん、確かにそうだけど。まぁ仕方ないじゃない? まさかあんな事になるとは思わないしさ」

「想定外の事態が起きても冷靜に対処できなきゃ、お外じゃ生きていけないよ?」

「正直な話、きっちり対処できても生き延びられる気がしないけどね。まぁ頑張るよ」

ずっと正面から一対一ならなんとかなるかもしれないけど、そうはいかないだろうしね。

いつかは見に行ってみたいけどね。町のすぐ外にも兎とか居るらしいし。

まぁモフる前に蹴り殺されるんだろうけどさ。

それはいいとして話を進めよう。

「で、初期スキルだけど」

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「お勧めのはありますか?」

「とりあえず【アイテムボックス】か【空間魔法】は有った方がいいかな。これが無いとお金もまともに持てないからね」

鞄だと初期の銀貨だけで一杯になっちゃうからな。

迂闊に何か買ったら、お釣りをけ取る事が出來ない。

「私としては、必要なポイントが高くても【空間魔法】の方をお勧めするけど」

「何故でしょう?」

「魔法がどれも便利だっていうのもあるけど、自力での取得が出來るか解らないから、だね」

これで実は「覚さえ解れば楽に取れます」とかだったら勿ないけど、まぁそれは仕方ない。

それに後で取れたらボックスが無駄になっちゃうし。

「あと、逆に他の一般的な魔法や【魔力作】は、ポイントで取るのはちょっともったいないかな」

「というと?」

「【妖】は魔力関係の事なら大抵なんとかなるって思っていいから。【魔力作】は覚を摑めるかが問題だけど、それさえ覚えちゃえば基本的な魔法なんて、適當に魔力を流して遊んでれば取得出來るよ」

「いいなー……」

「私から見れば指でつっついても死なないってだけで羨ましいって解ってる?」

「そうだけどさー。やっぱ魔法使いとしてはその魔力は魅力的じゃない?」

「解らなくもないけどさ。……それじゃお姉ちゃんも【妖】に」

「絶対やだ」

食い気味にニッコリと拒否された。ちくせう。

「で、他のスキルなんだけど…… 【INT強化】と【MND強化】で長所をばすのがいいかな。MPが増えれば出來る事も増えるからね」

最大値が増えると時間経過での減量も増えるけど、どうせ他の消費が大きいからそこまで気にならないし。

お弁當を用意できるようになったからかもしれないけどね。

「っていうか私それくらいしか使ってないから、他のスキルはあまり解らないんだよね。初期スキルで【鑑定】と【弓】取ったけど、全く使ってないから控えに落としちゃったし」

「そういえば雪ちゃんって弓持ってたねぇ」

「もう使わないから部屋に置いて行ってるけどね」

「ふむふむ。ではとりあえず【空間魔法】、【INT強化】、【MND強化】の三つを取って後はお好みで、という事ですね」

「十點しか殘らないけどね。とりあえず、理戦闘スキルは取るだけ無駄だと思う。ほら、【弓】にしてもこの矢が刺さったからどうだって話じゃない?」

ボックスから取り出して、渡してみる。

「確かに……あっ。申し訳ありません、折れてしまいましたわ……」

「まだあるからいいよー。しかし、鬼の力で押し付けても刺さりもしないのか……」

「カトリーヌさんがいのもあるかもね。私にも一本貸してみて? ……ごめん、折れちゃった」

一応指先にちょっと刺さったみたいだけど、魔法使いのですらまともに貫けないのか……

「あ、お姉ちゃん。ちょっと刺さったのが折れて殘ってるよ。抜くからこっちに出して」

「これくらいなら…… あっ、殘っちゃった。ごめん、お願い」

爪で挾んで抜こうとして、余計短くなってるじゃないか。

流石に私から見ても小さいので、慎重につまんで…… むぅ、抜けぬ。

周りの皮で締め付けられてるのかな。

「ちょっとチクッてするかも知れないけど、我慢してねー」

「えっ、何するの? ちょっと怖いんだけど」

「大丈夫、ちょっと皮の表面を切るだけ。痛みは無いと思うけど一応言っただけだから」

「あ、うん。それなら」

「っていうかもう終わったんだけどね。もう引っ込めていいよー」

切り込みをれた所に【妖吐息】を吹きかけて仕上げだ。

お姉ちゃんのお禮には手を振って応えておく。

「そうだ、候補に挙がるかは判らないけど一応言っとこう。【錬金】もポイントで取る必要はないよ」

「それも自力で取得できるからですね?」

「うん。他のスキルは判らないけど、魔力が関わってるスキルなら取れるかもね」

取れないかもしれないけど。

「では、そこも考慮して選ぶことにしますわ。他に何か注意點などはありますか?」

「うーん、何かあったかな? まぁせっかくだから、【妖】になれたら私が案してあげる。その時に思い出したら言うよ」

「案って言うか紹介? 私も付いていこうかな」

「いや、お姉ちゃんはスキルの訓練をやらなきゃ」

「えー、私置いてけぼりー?」

「二人だってそうでしょ。頑張ってるんだからお姉ちゃんもしっかりしないと」

「ほら、通訳とかさー」

「いや、私が行くところって大抵誰かしら聞こえる人いるから」

「むー、解ったよぅ。でもとりあえず、飴は作ってからだね」

「あ、そうだね。にはして貰ったから出來なくもないけど、やっぱり私の力じゃ大変だし」

「うん。それじゃそろそろ、カトリーヌさん溶かしちゃう?」

「いや、その言い方はどうなのさ」

「私としましては、その様な扱いをされる方が喜ばしいですわ」

「うん、黙ろう?」

「はいっ!」

駄目だ、きつめの言い方をしても喜ぶだけだこの人。

「では……」

「いやいやいや! がなくてもいいから!」

びっくりしたー。何の躊躇も無くぎ始めたぞこの人。

「そうですか? しかしせっかくぎかけましたので上だけでも」

変な所で意思を貫かなくていいよ!

まぁ私と違って一枚しか著てない訳じゃないけどさ……

「それでは、ここに寢転べばよろしいですか?」

「座るだけでもいいけど、まぁどっちでも構わないよー」

「はい。ではいつでもどうぞ」

芝生にいだ服を敷いて、その上に仰向けで転がった。

うーん、魔力はの真ん中に集まってるっぽいし心臓の上で……

うん、なんか障害があるから無理だね。お腹の上でいいや。

「お姉ちゃん、これって【鬼人】の種族特?」

橫に立って眺めながら聞いてみる。

「雪ちゃん…… それはカトリーヌさん本人の仕様だから……」

くそう、憐れむような目で見るんじゃない。

きっと噓だ、絶対何かあるに違いないぞ。

種族の仕様でが拡大されてるからって、私の肩くらいまであるなんておかしいだろ。

イラッとしたので近づいて全力で橫蹴りをお見舞いする。

「あん」

「おわっ!?」

蹴ったはいいけど殆どへこませる事も出來ずに跳ね返され、お腹の上をコロコロ転がる羽目になった。

「し、白雪さん、しくすぐったいですわ」

「雪ちゃん…… プッ、クフフッ。か、かわいー……」

ちくしょーーー!!!

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