《VRMMOで妖さん》98:流し込もう。

正座から前に倒れたような姿勢……まぁ平たく言えばおを突き出したけない恰好で、ぐったりと力したまましばし沈黙。

「ゆ、雪ちゃん……?」

気まずくなったのかお姉ちゃんが呼びかけてきたので、翅を一回パタッとかして返事をする。

「大丈夫?」

再度羽ばたく。

「えっと、怒ってる?」

否定の意味を込めてパタパタッと二回羽ばたいてみる。別にカトリーヌさんは何も悪くないしね。

お姉ちゃんは笑ってたけど、まぁ今のはかなりけなかったから…… うん、仕方ない。

「今のは怒ってないって事でいいのかな?」

一回パタッとかして肯定する。

「っていうか、大丈夫なら喋ろうよ。翅つまんで持ち上げちゃうよー?」

「多分すっごい痛いからやめてね?」

顔だけを橫に向けて拒否しておく。

「本當にやったりはしないけどさ。で、大丈夫なんだよね?」

「うん、ちょっと膝が痛いくらい。あ、カトリーヌさん、いきなり蹴っちゃってごめんね」

手をついて上を起こしながら謝っておく。

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カトリーヌさんは何もやってないのに唐突に蹴っちゃったからな。

まぁ痛くもくも無いってのが解ってるからやったんだけどさ。

「いえ、お構いなく。出來ればもっと強くし」

「あ、そうだ。到著直前にメッセージと、出來れば【妖】を引けたタイミングでもメッセージを送って貰えるかな? 迎えに行く準備をするから」

「はい。その様に致しますわ」

遮って連絡の要請をしておく。

この人の事だからいっそ噴水広場で待ってても大丈夫な気がするけど一応ね。

というか呼吸と発聲で、お腹の上(ここ)結構揺れるな。

あ、やば。人を溶かすのなんてシルクに見られない方がいいよね……

もうお姉ちゃんが溶かすって言っちゃってるの聞かれてるけどさ。

「シルク、ちょっと戻っててねー。また後で呼ぶから」

うん、なんか「私に見せられない様な事するんだ……」みたいな顔してた気がする。

まぁ直接見られるよりはマシだろう。うん。

「そういえば、フレンド登録って再作しても引き継がれるのかな?」

「どうだろ? 聞いたこと無いなぁ」

「大した手間でなし、実踐してみればよろしいのでは?」

「そうだね。それじゃ、はい」

実験も兼ねて登録しておく。お姉ちゃんとも登録しあったみたいだな。

「あと何か忘れてる事はあるかな?」

「うーん、私は思いつかないかな。カトリーヌさんは?」

「私も特には。さあ、どうぞ私を(とろ)かしてくださいまし……」

「あ、私はあんまり見たくないからちょっと離れてるね」

カトリーヌさんの言い方がなんか気になるけど、まぁいいや。

とりあえず立ち上がって、もうちょっと上の方に戻

「わぶっ!?」

「ひゃっ!?」

足を踏み出した先に足場が無く、思いきりすっ転んで地面(お腹)に叩きつけられる。

うぅ、育のマットくらいのらかさはあるとはいえ、顔を打ったら流石に痛いぞ。

なんで……って、おへそに足突っ込んだのか……

「ぷっ…… ちょっ……雪ちゃん…… おへそでコケるって…… ふ、ふふふ……」

「もーー、笑うなーー! んもぉーーーー!!!」

お腹の上でうつ伏せに転がったまま両手をバンバンと叩きつけ、足をジタバタさせて暴れた。

カトリーヌさんはくすぐったいのかお腹に力がって、し震えてるな。

「雪ちゃん、くすぐったそうだからあんまり……」

「これは私のご飯だからいいのー! ご飯なのに私をいじめたからなのー!!」

「逆恨みで理不盡かつ子供みたいな事言い出した!?」

「と、とても、良いですわ……」

「え、あ、うん…… そう……?」

暴れつかれたのでその場で全の力を抜いてだらーっとする。

あー、表面はちょっとひんやりしてるなー。

でも皮一枚隔てた側からは、確かな溫と鼓じる。

うむー、ぽかぽかする……

呼吸によるゆったりとした上下に脈拍の振流の音でだんだんねむくなって……

「こら雪ちゃん、人のお腹の上でふて寢しないの」

おおう、翅を突っつくんじゃない。

無言のまま翅をかして、お姉ちゃんの指をぺちぺち叩き返す。

「んもー。カトリーヌさん、飽きたら傾けて落としちゃっていいからね?」

ん、なんかしずつ呼吸と脈拍が速くなってきてるぞ?

しかもだんだん暑くなってきた上に、地面(お)がしっとりし始めた……

うん、これはなんかまずい雰囲気だな。いい加減始めようか。

寢転がったままを反転させ、正面におへそが來るようにした。

躓いた恨みでここから流し込んでやるのだ。

「えい」

「んぅっ」

左手で頬杖をつき、膝から先をぱたぱたさせつつ窪みに手を突っ込んで底にれる。

った瞬間にれた聲は聞かなかったことにしよう。

れた右手から魔力を流し込んでいく。

【鬼人】は耐が殆ど無いはずだから、極めて慎重に注しなければ。

「おへそから栄養を送り込んでる……ということは雪ちゃんはお母さん……?」

「そんな発想は初めて聞いたよ!? っていうかお姉ちゃん、離れとかなくていいの?」

「あー、そだね。あっちに居るから、終わったら…… って雪ちゃん、後ろーっ!」

「へっ? のわーーっ!?」

お姉ちゃんのびに反応して振り向くと、山が張りを失ってこちらへ崩れて來始めた所だった。

立っているならともかく、寢転がっている今は逃げなければ飲み込まれてしまう。

とにかく何があろうと、あれに潰されて死ぬのだけは免だー!

私の薄っぺらいプライドが許さな……薄っぺらい……って自してる場合じゃない!

かなり混しつつも前方に【跳躍】して難を逃れ、元居た場所の上に降り立って続行する。

「ふー、危なかったー。ありがとー」

「どういたしまして」

「それにしても、ゆっくり流してるのに溶けるの早いなぁ。耐が低いからかな?」

「私に聞かれても……」

「ごめん、なんとなく口に出ちゃっただけ。さて、そろそろいいかな?」

「ドウぞォー。みヤコさンもイカがでスかァ?」

へっ?

「えっ、まともに意識あるの?」

「スごーゥクぅ、キモチいイィーでスがぁー、ナぁントかァー」

「怖いよ!! っていうか私は食べられないし食べないよ!?」

「マぁマー。ソウいワずにィー」

んっ? 今ちょっといた!?

「ひぃっ、こっち來たー!?」

「ちょっ、なんでけるの!?」

「えェー? ワカりまセんワァー?」

そう言ってる割に凄いらかにき始めたんだけど……

あ、逃げようとした両足にまとわりつかれて転んだ。

人型だったときは割と控えめだったのにグイグイいくなぁ。

「ゆ、雪ちゃん! 見てないで助けてぇー!? 要らない! 食べないからー!!」

「いガイとォ、クセニなるカもシレマせんヨぉー?」

「なったらヤバいよー!! 雪ちゃぁーん!」

あー、涙目になってるな。うん、そりゃそうだな。

あんなもん私だって怖いわ。

あ、下半が引きずり込まれた。観察してないでさっさと助けに行こう。

よく考えたら、さっさと食べないといつ死に戻りで消えちゃうか判らないしね。

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