初依頼を完遂します……スキルの妨害にもめげずに。

馬鹿の相手を済ませた僕は、薬草採集の依頼をける事にした。予備知識も無しでモンスターの討伐依頼なんかける訳(わけ)ないよね。付のお姉さんに聞いたら、生育地は比較的近場のようだし、まずは大人しく採集をこなすとしよう。馬鹿のお蔭で懐も潤ったから、無理な依頼をける必要もない。ありがとう、馬鹿。

採集のスキルが無いため探すのに手間取ったが、何とか薬草二十本を採集する事に功。このゲーム、対応するスキルが無くても行自は可能なのが嬉しい。かなり効率は悪いみたいだけどね。

町に戻ろうかと腰を上げたところで、ポーンという電子音が聞こえた。ステータスボードを確認すると、新しいスキルが増えている。

【落とし】落としをする。パッシブスキル。

何？　これってスキルなの？

嫌な予がしてアイテムバッグの中を表示すると、集めたばかりの薬草が無い。慌ててログを確認すると……

《【落とし】の効果で薬草一束を失いました》

何でだよぉぉぉっっ！

・・・・・・・・

あれから再度薬草を探し回って、漸(ようや)くの事で新たに二十本を集めてギルドへ向かう。何か……凄く疲れた気がする。

ギルドの付に薬草を提出して、依頼完了の手続きをけていると、後ろから聲をかけられた。

「よぉ、シュウイ。お使いは無事に終わったのか？」

「タクか。お蔭さんで何とかね」

聲をかけてきたのは友人の匠(たくみ)だろう。振り返ってみると、黒い鎧をにつけ、左右の腰に長剣を提(さ)げたキャラクターがいた。聲と顔つきからして間違いなく匠(たくみ)だが、こいつのキャラ名は何だったっけ？

「タクマだ。……何か、妙に疲れてないか？」

「ちょっと々あってね……アレ関係で」

「あー……ＰｖＰは原因じゃないんだな？」

「ＰｖＰ？　あんなのが原因の訳(わけ)ないだろう？　……何で知ってるんだよ？」

「いや？　狂犬ガッツを笑いながら撲殺するなんて、お前しかいないだろ？」

「……僕、笑ってた？」

「らしいぞ。掲示板によると」

「掲示板！？」

「あちこちの掲示板がその話で持ち切りだ。よかったな、有名人」

「冗談じゃないよ……」

ただでさえスキルのせいで疲れてるのに、何で見せなんかに……。

「何かげっそりしてきたな……。疲れてるんなら宿屋に行ってログアウトした方がいいかもな」

「そうする……」

「あ、その前にフレンド登録しとこうぜ」

タクマはそう言うと何か作していたが、やがて電子音と共に目の前に半明なウィンドウが出現した。

《プレイヤー「タクマ」からフレンド登録の申請が來ています。けますか？　Ｙ／Ｎ》

僕は迷わずＹを押した。と、即座にまた別の電子音がして……

《【落とし】の効果でフレンドのアドレスを失いました》

《落としを二回したので、スキル【落とし】がＬｖ２に上がりました》

「……悪い、タクマ、フレンド登録を落とした……」

「はあ？」

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《シュウイのスキル一覧》

レベル：種族レベル１

スキル：【しゃっくり　Ｌｖ１】【地味　Ｌｖ１】【迷子　Ｌｖ１】【腹話　Ｌｖ１】【解　Ｌｖ１】【落とし　Ｌｖ２】

ユニークスキル：【スキルコレクター　Ｌｖ１】