本日更新分の最終話です。リアルサイドの話です。

映畫を見終えた後、適當にった喫茶店で、蒐(しゅう)一(いち)・匠(たくみ)・茜(あかね)の三人が話し込んでいる。話題は當然観たばかりの映畫の話……ではなく、ＳＲＯ(スロウ)での蒐(しゅう)一(いち)の武勇伝である。映畫の立場がないというか、すっかりゲーム廃人になりかかっている三人組であった。

「え？　蒐(しゅう)君、ケインさんたちと知り合ったの？」

「うん。知ってるの？　茜(あかね)ちゃん」

「いや、ＳＲＯ(スロウ)じゃ知らないやつの方が珍しいと思うぞ。攻略トップの一角だ」

「あ～、確かに強かったよ……僕もあんな風にプレイしたかったんだけど……」

「ま、まぁ、蒐(しゅう)君は強いからいいんじゃない」

「で、どうやって知り合ったんだよ」

「うん。僕のアイテムバッグにケインさんたちのドロップ品が間違って落ちてきて……」

「……ちょい待ってくれ……ドロップって間違って落ちるもんなのか？」

「多分【落とし】のせいだとおもうんだよね」

そこから蒐(しゅう)一(いち)はケインたちとの顛末(てんまつ)を二人に説明していった。話が進むに連れて、友人二人の表が微妙なものに変わっていく。

「やっぱり蒐(しゅう)は蒐(しゅう)だよな……」

「どういう意味？」

「運営さんたち、頭を抱えてるんじゃない？」

「俺でも抱えるわ……てか、これ絶対に拙(まず)いだろ」

「うん。ケインさんたちも頭を抱えてた」

「運営さんから何か言ってくるかな？」

「さぁな。それこそ、その時になってみなきゃ判らんだろ」

「……やっぱり、蒐(しゅう)君のスキルはにしておかなきゃだよね？」

「あぁ。ケインさんなら問題ないけどな。あの人は面倒見が良いから」

「蒐(しゅう)君、ケインさんたちの言う事をちゃんと聞いて、良い子にしてなきゃ駄目だよ？」

「子供扱いしないでよ、茜(あかね)ちゃん」

「で、蒐(しゅう)はナンの町に行くのか？」

「うん。明日ログインして、冒険者ギルドで待ち合わせ」

「私たちもナンの町にいるから、向こうで會えるかもしれないね」

「あ、でも、ナンの町には素材を売りに行くんだよな？」

「うん。ケインさんたちはそのつもり」

「あ～、じゃぁ、ナンの町でも騒ぎになるかもしれないね～」

「掲示板で結構話題になってたからな……」

「えっと、僕、目立つかな？」

「『黙示録(アポカリプス)』のメンバーと一緒にいたら、多分な。ただでさえ『黙示録(アポカリプス)』はレア素材の件で注目されてるだろうから」

「ナンの町に來るのに偶々(たまたま)一緒してもらった、でいいんじゃない？」

「いや……そもそも冒険者ギルドで待ち合わせだし……偶然會ったっていうのは」

「『慘劇の貴公子』と『黙示録(アポカリプス)』の揃い踏みかぁ……」

「諦めるしかないな……」

「正當防衛なのに……」

過剰防衛じゃないのか、と友人二人は思ったが、口には出さなかった。

次回更新は火曜日の19:00の予定です。今後は週一話くらいのペースで更新するつもりです。

作者の別作品「従魔のためのダンジョン、コアのためのダンジョン」も、よろしかったらご一読下さい。こちらは現在のところ毎日更新を続けております。