《兄と妹とVRMMOゲームと》第十三話 その先の未來①

襲撃者達を撃退した後、花音は興味津々な様子でカリリア跡の口へと視線を向けた。

「お兄ちゃん、くん! そろそろ跡にろうー!」

「ああ」

が駆け寄ると、花音は悪戯っぽく目を細める。

もう一人のギルドメンバーと今後のことで話し合っていた有が、インターフェースで表示したカリリア跡のマップを見つめて言った。

「待て、妹よ。奏良(そら)がまだ來ていない」

「えっー! もう、奏良くん、時間厳守だよ!」

一旦、マップを消した有は、跡に向かおうとした花音を呼び止める。

有達のギルド『キャスケット』。

達、六人しかいないという人數の小規模ギルドだ。

だが、それでも、上位ギルドの一つとして名を馳せている。

それは、が持つ特殊スキルの恩恵が、大きく関係していた。

世界を牛耳る力と謳われ、現実世界をも干渉する力と言われている特殊スキル。

特殊スキルを使える者が、ギルドに所屬しているだけで上位ギルドとして認められる。

また、特殊スキルの使い手は、を含めて三人しかいないため、は常に狙われる立場だった。

もう一人のギルドメンバーを待っていた達を、別の上位ギルドのメンバー達が一斉に取り囲む。

「特殊スキル、魂分配(ソウル・シェア)のスキル。誰にも真似できないスキル、絶対に手にれる」

。俺達のギルドにれ!」

「いや、俺はもう、ギルドに所屬しているから」

の意思など関係なく、彼らは揃ってをぶちまけている。

「この間のダンジョンといい、いつもは大人気だな」

くん、すごーい!」

有の大膽発言に、花音は両手を広げて歓喜の聲を上げた。

「すごくない……」

包囲してくるプレイヤー達を前に、はげんなりとした表で肩を落とす。

「一人一人、相手にしていては、跡攻略に間に合わなくなるな」

「有」

呆気に取られたをよそに、杖を構えた有は一歩足を踏み出した。

『元素還元!』

有は、プレイヤー達を牽制するように杖を振り下ろす。

「なっ?」

「うわっ!?」

有の杖が跡の柱にれた途端、とてつもない衝撃が周囲を襲った。

柱の一つが、まるで蛍火のようなほの明るいを撒き散らし、崩れ落ちるように消滅したのだ。

柱の一つが消えたことで、その直撃をけた跡の口には大きな亀裂がる。

アイテム生のスキル。

それは不完全な質を、完全な質へと錬するスキルだ。

様々な道を作り出す力で、錬金に近いスキルとして用いられていた。

「柱一本分の元素では、回復アイテムを一つ作るくらいが関の山だな」

有は一仕事終えたように、眩しく輝く杖の先端の寶玉を見ていた。

だが、今はアイテム生をしている暇はない。

、妹よ、跡にるぞ! 奏良とは、で合流する」

「ああ、分かった」

「うん」

有の指示に、は花音の腕を引いて、跡の口へと向かった。

    人が読んでいる<兄と妹とVRMMOゲームと>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください