《兄と妹とVRMMOゲームと》第ニ十六話 二人の姫君② ☆
「なっ!」
鋭く聲を飛ばした徹は、最奧部に次々とってくるプレイヤー達の存在に気づいた。
全員がレア裝備をにつけ、それぞれの武を徹に突きつけてくる。
このまま、一人で戦うのはまずいなーー。
徹の頭の中で警鐘が鳴る。
やがて、跡の瓦礫からるが、騎士風の青年の容貌を照らし出す。
艶のあるプラチナの髪は気品に満ちており、まるで名のある名家の騎士団長のような風貌だった。
彼が裝備する武や防はどれも巧で、かなりのレアアイテムであることが分かる。
彼の周囲には、幾人ものプレイヤーがいた。
そして、次々と壁を作るように後続が現れる。
相手は、騎士団に等しい。
それらを相手に戦い、この跡から出するのは骨が折れるだろう。
徹がダンジョン出用のアイテムを使うタイミングを見計らっていると、青年は和な笑みを浮かべて言った。
「私達の邪魔をしないでもらおうか」
「なら、そもそも騎士様が不意討ちなんてするなよな」
「君に無禮を働いたことは謝罪しよう」
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徹の訴えに、青年はあっさりと自分の非を認めた。
「さて、改めて自己紹介をしようか。初めまして、鶫原徹くん。私は手嶋(てしま)賢(けん)。『レギオン』のギルドマスター、羅(みら)様の參謀を努めている」
「高位ギルドの騎士様が、俺に何の用だ?」
徹の素を見かしたような賢の言葉に、徹は恨めしそうにを尖らせる。
賢は目を伏せると、靜かにこう続けた。
「君というより、『アルティメット・ハーヴェスト』に用があるかな。わざわざ、小規模な上位ギルドを監視していた理由を知りたい」
「……おまえ、知っていてわざと聞いているだろう」
賢の戯れ言に、徹は不満そうに表を歪める。
「特殊スキルの使い手の向は、私達としても放っておくわけにはいかない」
「とにかく、梨も紘も、そして風も、おまえ達に渡すつもりなんてないからな!」
賢の言葉を打ち消すように、徹はきっぱりとそう言い放った。
「そもそも、おまえ達が言う羅様は、梨の紛いだろう!」
「……愚かな」
徹の答えを聞いて、賢は失した表を作った。
徹はその隙に、ダンジョン出用のアイテムを掲げる。
持っているアイテムがり、徹は召喚した龍とともにその場から姿を消した。
「賢様、いかがなさいますか?」
「構わない。特殊スキルの使い手の向は全て、羅様の手中にある。今後も『アルティメット・ハーヴェスト』、そして、風が所屬している『キャスケット』の監視を怠るな」
「はっ」
賢の指示に、『レギオン』のメンバー達は丁重に一禮すると、速やかにその場を後にしたのだった。
カリリア跡から離れた場所にある機械都市、『グランティア』の一角。
そこに高位ギルドの一つ、『レギオン』のギルドホームがあった。
賢はドアのセキュリティを解除して、ギルドマスターが控えている部屋にる。
そこは、々しい機材が置かれただけの研究室のような空間が広がっていた。
ディスプレイや小型の機械は、全て中央の玉座へと繋がっている。
その玉座に、一人のが眠りながら座っていた。
腰までびたき通るような銀髪。
病的なまでに白い。
穢れなき白を基調したドレスは、らしいフリルと金糸の刺繍で上品に彩られている。
まるで語の中の眠り姫のような出で立ちに、一目で人を惹き付けるほどの貌。
髪の以外は全て、梨と瓜二つのがそこに座っていた。
「カリリア跡から戻りました。羅様」
片膝をついた賢からの報告に、羅と呼ばれたは何も答えない。
賢は息を呑み、短い沈黙を挾んでから微笑んだ。
「羅様、お喜び下さい。風と椎音梨のれ替わりを確認しました」
賢は確信に満ちた顔で笑みを深める。
「特殊スキルの使い手を手中に収めれば、全ては羅様のおみのままに」
今も眠り続けている銀髪の姫君に、『蒼天の騎士』と呼ばれている賢は、片膝をついた姿勢のまま、誓いをわした。
特殊スキルの使い手である梨をもとにした『データの殘滓である姫君』に忠誠を誓う騎士。
それは、どこか稽で狂気に満ち溢れた景だったのかもしれない。
しかし、そのことを訝しむ人は、このギルドにはいなかった。
やがて、賢は立ち上がり、羅の側まで歩み寄る。
羅を敢えて、AIを持つNPCとしての運用ではなく、梨のデータの集合として留めている理由は、彼にーー羅に特殊スキルを発現させるためだった。
NPCにしてしまえば、スキルを発させることはできない。
「羅様、どうか私達に再び、ご加護をお授け下さい」
賢は祈りを捧げて、意思のないデータの固まりである羅を神聖化する。
まるでそれは一度、何かしらの事で引き離された主君に再度、忠誠を誓う聖なる儀式のようでもあったーー。
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