《ネメシス戦域の強襲巨兵【書籍六巻本日発売!】》ジャンクヤード
※2021年3月6日更新。
五番機の頭部形狀変更。よりブレードをイメージさせる外観になります。
巨大な人型兵。思わず師匠に尋ねる。
兵とわかるのは、その迫力から。裝甲には弾痕が殘り、ところどころ欠けている。
「日本人のように何でも漢字に翻案すると搭乗巨兵、と名稱をつけてるね。我々は【シルエット】と呼んでいる。遠くからみると、巨大な人型の影にみえるだろ? 人型の乗りだ」
「確かに。これがいきなり遠くからやってきたら、人間のシルエットとしか言えないな」
「ここにあるような戦闘用は【アサルトシルエット】と呼稱されている。強襲巨兵、とでも書くかな。基本構造は民生用のものと大きな差はない」
「戦闘用か。確かにみな甲冑のような、裝甲車のような機だな」
「君はこのどれかに搭乗して、君を襲ったあいつを倒さないといけない。しばらく私と二人きりで暮らしてもいいが、それは嫌だろう?」
「勉強するぐらいの時間はしいかなって」
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いまだにまともな説明をしてもらえていない。
「遭難した旅人が、言語を覚えて自分の狀況を把握するのにどれぐらいかかると思う? 諦めて戦うんだな。私も長くない」
「え?」
「活限界を超えて、最後の日を迎えるべくここにいたのさ。私も機械だ。だが、人の気配がしてね。君がいた」
「ありがとう。師匠頼むから死なないでくれ」
「機械は死なない。停止するだけだ」
「機械だって生きているさ」
それはコウの本音だった。
彼は昔から、々な無機を、意思あるものとして接する癖がある。
「なるほど――彼が助けた理由、わかった」
「彼って?」
「こっちの話だ。私はいつ止まるかわからない。最期の役目は君を人類の生存圏まで案することだな。説明を急ぐぞ」
師匠に連れられてジャンクの山を歩く。
「この街はかつて人間の居住區域、兵工場であり、修理工場だった。このシルエットのね。五年前に壊滅した」
「へえ。だから使えるものがあるってこと? ロボット兵?」
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「自立行機械(ロボツト)とも言えるし、搭乗型人型機械(メカ)ともいえるな。人間を遙かに超えるコンピューターが人間をサポートするようにできている」
「無人のほうが強くない?」
「我々も彼らも基幹システムは一緒でね。行原理が『人間に寄り添うこと』。彼らは進んで乗り(ビークル)であることに徹することをんだ存在だ。基本的には人間が乗らないとかない。例外もあるがね」
師匠は中央で立ち止まった。
「さて。長々と歩いた。基本的にジャンクのシルエットばかりだ。部品取り用にすぎないが、最後の戦闘で廃棄されたものもある。そのまま使えるものもあるだろう」
「俺、縦なんかできないんだけど」
「シルエットが教えてくれる」
「いきなりロボットにのって戦うとかアニメか、俺」
一人呟くコウ。
「使えるシルエットはこんなにあるのか」
ジャンクヤードとはいえ、完狀態のシルエットが多くある。
いかに急でこの施設が放棄されたかを語っている。
「一番安いランクのシルエットでいえば、平均価格は日本の車ぐらいの価格だよ」
「安すぎない?」
「車だって最高級品は何億とするだろ? 価格が戦闘機並のシルエットに関して言えば、上限は天井知らずになるね」
「本當にピンキリだな」
「それだけ今の時代の人類はシルエットに依存しているという証拠だ」
普及すれば価格は下がる。この時代でもそれは変わらないようだ。
「使えそうなものをいくつか説明しよう。自分が乗って戦うなら、どれがいいかよく考えたまえ。理屈を話すと非常に長くなるが、シルエットや上の敵含め、撃よりも近接武のほうが有効ではある」
「なんでだよ!」
思わず突っ込んだ。近接武が撃武を越える計算はどう考えても、ない。コウにだってそれはわかる。
「撃武が有効ではない、とは言っていないぞ。現在この場にある武で、一番有効なものが近接武なだけだ。敵に近づかなければいけない分危険は増えるが」
「いかに程外から相手を攻撃するか、が基本になるんじゃないのか」
「そんなことをいうなら前方投影面積や構造のもろさ、運用上、様々な理由で人型兵なぞありえないぞ。説明すると長くなるといっただろうが。生き殘ってから考えろ」
「わかった。敵のことを先に教えてくれ」
「殺人無人兵群は一言でいえばマーダーと稱される。君が遭遇したのはマーダーの中でもケーレスと呼ばれる非人間型兵の一種だな。過去からきた人間、転移者を抹殺するために、この制圧した地域に戻ってきたのだろう」
「ケーレス? どういう意味だろう」
「戦場に現れる悪霊という意味だ。ギリシャ神話だな。今の世界、ギリシャ、ローマ神話から多くの引用がなされて構築されている」
「どうしてギリシャ神話なんだ?」
「初期の元素記號が神話由來が多いように、我々も地球文化の名殘を一つでも殘したかったのさ」
「そういうことか」
未來とは思えないが、この機械をみる限り未來なのだろう。
師匠は一つ一つ機の特徴を教えてくれる。
「ここにある機で、一番多いものはSF-S1A1 ベア。裝甲が厚いわりに機力がそこそこの機だな。量産機で、門用といえる」
「ああ、そっちの機は気にしないでくれたまえ。W-01。初期の初期、作業機を改修した戦闘用シルエットの前だ」
「これはATー02。稱はエレファント。重裝甲で前線を押し上げる戦車のようなタイプだ。複數運用が基本だね。被弾率が半端ない。」
「そのAF-05は高機戦闘用だ。三次元行が得意なエース機でもあるがおすすめはしない。ピーキーな上、推進の燃料がない。このスクラップ置き場の部品取りだけでは実力は発揮できないだろうな」
様々な機があった。
師匠に確認するとシルエットは規格化され八メートルに満たないものが殆どらしい。
十二種類ほどの機がある。
一つ一つ調べて相を確認したいが、時間がないという。
どれか一機――自分の命を賭ける機を選ぶのだ。
かしゃん。
音がした。気になりコウはその音がする方向にいった。
何もない。積み重なる機の山々。パーツ取りを待つ半壊した機たち。
「これは?」
積み重なる機のなかに、妙に気になるものが一つあった。
明らかに無塗裝。鋼そのままの機がそこにある。
あぐらをかくような――そんな狀態で鎮座していた。剣を地面に刺し、鎧武者のようだ。多くの機がその機に積み重なっているにも関わらず、それはその勢を整えたまま――
押し潰れまいとする意思をじる。
頭部はバイザー型の鷹のような形狀で、カメラアイはゴーグルで保護されている。ただ、左顔面にあたるゴーグル部分は醜くえぐれ、並列カメラが二つむき出しとなっている。片目の巨人のようだ。
頭部にはブレードアンテナが天を衝くように備えられている。
本來ならば保護ゴーグルの向こうに並列二眼で四眼式。破損したゴーグルから剝き出しの左の並列カメラと視線が合っているじがする。左目の重瞳とは古の武將みたいだとコウは思う。
「コウ。先ほど例外があるといったな。それはこいつのことだ。こいつは五年前、最先端の量産機だったが、人間を載せずに暴走。撤退時に改修が間に合わずここに廃棄された」
「暴走? 人を襲ったのか?」
「逆だな。人間が逃げる時間を稼いで、ケーレスをはじめとした無人機群、マーダーに特攻したのだよ。まだ、誰もこいつに乗っていないのにね」
「武が大型の剣?」
「そう。これ一本で戦っていた」
気になった。
「機名は?」
「TSW-R1-05だな。いわくつきの五番機で通っていた。近接主軸の汎用機で開発されたが、実質近接特化。高機かつ中裝甲の切り込み機、といったところか」
「そうか」
五番機を見上げる。
「お前はまだ戦いたいのか」
返事など期待もせず話しかけた。
やはり返事などあるはずがない。
「戻ろう。基本人間を載せずに戦うなど、例外現象が起きた場合は廃棄、または全面改修される場合が多いんだ」
「人間を守ったのに?」
「原則違反だからな。何をするかわからないだろ? だがこいつは當時では最新鋭機の一つ。コックピット換後に改修ということで調整されたが、再出撃葉わずこの施設が先に放棄されたんだ。いわく付きだからか、持ち出しの優先順位も低く今はここに置いてある」
師匠のほうに向いた瞬間。
ギシ。
振り返った。
TSW-R1はそのままだ。しかし、頭部が下を向いていた。破壊された右目に見詰められている――そんな気さえする。
「師匠。頷いたよ、こいつ」
「偶然だよ」
それでも、強烈に惹かれるものがあった。
コウはいわくつきの五番機に近付いた。
「師匠。こいつ使っちゃだめかな?」
「ダメということはないが…… 問題ありの機を選ぶ必要はあるまい」
「能は?」
「本來のオプションはないが、高能機ではある。能だけなら量産機最高峰の一つだ。なくともジャンク置き場で拾えるレベルではない」
「いわくつきの投棄、なんだよな」
「思い出した。君と縁はあるかもしれないね」
「どういう意味?」
「この機の稱はラニウス。ラテン語で鳥のモズだ」
貓はにやりと笑った。
「ああ。なるほど。縁があるな」
彼はTSW-R1ラニウスの五番機に恐る恐る近付く。
意思があると思うことは変だろうが、やはり強烈に惹かれるものがあった。
「わかったよ。戦いたいんだよな、やっぱり」
機に聲をかけた。
その機は靜かに佇んでいるだけだった。
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