《ネメシス戦域の強襲巨兵【書籍六巻本日発売!】》狙撃手の

シルエットは人型である。

しかしそれ(・・)はあまりに歪な影だった。

確かにシルエットの基本系である人型のフレームは守られている。

だが、右手に持つ得。目を見張る巨大さだ。シルエットのほどの大きさがある。

左手も、異様な箱を裝著している。

右手の砲が展開していく。折り畳み式の砲はシルエットの倍以上の長さとなる。その長さは十五メートルを超える。二腳銃架(バイポツド)で砲を支え、遠距離狙撃砲の発準備態勢が整った。

狀態に移行し大型狙撃銃を構えた。

「ジェニー……派手にやってるね」

パイロットが呟いた。といえる年齢。青髪に尖った耳が特徴だ。メタルアイリスのジャケットを著ている。

遠くでジェニーがミサイルを命中させたことが確認できた。

「弾道計算も終了済み。あとは……」

その瞬間、信じられないものをみた。

ビルの上に現れた、巨大な剣を持ったシルエットがいきなりエニュオの頭部を破壊したのだ。

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「えぇ! なんですかあれ……」

思わずんだほどの出來事が起きた。

単機でエニュオと戦うのも無謀なら、よりによって接近戦など狂気の沙汰だ。

高次元投裝甲で、戦場の裝甲強度は桁違いにあがっている。

だからこそ、過信しすぎは死につながる。相手の間合いにってはいけないのだ。

「ありえない…… でも助かる」

頭部を破壊してくれたのはありがたい。エニュオによる遠距離攻撃の反撃をける可能がかなり低くなった。

電磁波がれる戦場では、敵の位置把握が重要になる。

狙撃した時點で、敵が押し寄せてくるのは分かっている。

立するビルの合間から見通せる細い線。

大型ミサイルで穿ち、えぐれた部が目標だ。

頭部への攻撃で、上をあげてビルを警戒している今がチャンスだ。

平地でのシルエット同士なら地平線と線の都合、狙撃できる距離は十キロ前後が限界。だが高所ならば違う。巨のエニュオはどの距離からも狙えるが周囲のマーダーを狙い撃つ必要もある。

百二十ミリ長砲レールガン。これが展開した狙撃砲の正だ。レールガンはその質上、レールが長いほど威力を増す。

戦車に搭載されている車載型よりもレールが長く、威力も上回る。

シルエットよりも長の砲サイズだけに反も大きい。運用が難しい兵だ。バックパックユニットがなければ運用は不可能だ。

シルエット用の汎用攜行レールガンとは仕様設計が本から異なる。

この異形のスナイパーキャノンは、専用弾を使用する必要があるということだ。

例えば軽ガス式ライフルの弾頭と汎用攜行レールガンの弾頭は共通しており、補給がスムーズになるようになっているのである。二十二世紀の艦載用レールガン技の応用だった。

だが、現在展開された長砲のレールガンは違う。弾頭さえ特殊な専用弾。

理論上は亜速まで加速可能といわれているレールガンではあるが、通常の弾頭では大気や重力の影響で速度の上限に壁があるのだ。さらにいうならば、加速限界(それ)を超えると弾頭が部から崩壊していく。

すなわち弾頭を含め長距離狙撃専門シルエットにしか裝備できない特殊裝備なのだ。

これほどまでに巨大化した長砲を運用できるのはシルエットの優位だ。戦車はビルの屋上に登ることはできない。

照準でエニュオの部に狙いをつけ、撃する。

線の先にはアントソルジャー型もいた。巻き込まれたアントソルジャーは一撃で吹き飛び、弾頭がエニュオに著弾する。

背面のバーニアスラスターが同時に作する。反を殺すためだ。

続けて二目、三目と同じ位置を攻撃する。六発目を放ったとき、エニュオは地に伏した。そこが狙い目だった。

砕かれた頭部へそのまま七発目を撃ち、全弾――十二発目まで撃ちきった。

バックパックユニットの予備電力も使い果たす。チャージするには三分必要だ。

「狙撃完了。現在地より移します」

は通信を行い、移する。

即座に武を折り畳む。位置移しないと急速に接近してくる敵がいないとも限らない。

レーダーが役に立たないのが難點だ。

その時――

狙撃者を強襲するテルキネスが現れた。

高周波電熱剣を構え、彼を狙う。

三次元行可能な、敵の指揮機ともいえる存在だった。

遠距離攻撃機に対して、間合いを詰めたいのだろう。

一気に懐にり込まれた。

は慌てず左腕の武を起させる。

不用意に懐に飛び込んだ敵に対し、彼が行った行は予想外なものだった。

テルキネスが剣を振り切ろうとした瞬間、発音とともに後方に吹き飛ばされた。

左腕に裝著していたのは、巨大な杭撃ち機(パイルバンカー)。

不用意に懐に飛び込んだのが運の盡きだった。

剣を振り切る前に突き出された狙撃機の左腕。無造作ともいえる突きは、予想外の攻撃だった。

炸薬が発し飛び出た巨大な杭の直撃を、テルキネスは部にけたのだ。

テルキネスは部の力ごと貫かれ、きが緩慢になっていく。

「がっつきすぎ。みっともない。ばぁか」

小聲で相手を罵った。

狙撃機相手だと、相手はとにかく距離を詰めようとする。必要以上に、だ。無人機でも変わらない。

反撃を行う対象者の習を逆手にとって、彼は防兵裝として至近距離用の杭撃ち機を用しているのだ。

一度引き抜き、テルキネスを転倒させる。

倒れた相手のに再度、杭撃ち機を振り落とす。

パワーユニットは確実に破壊され、テルキネスは完全にきを止めた。

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