《ネメシス戦域の強襲巨兵【書籍六巻本日発売!】》時代遅れの未來

補給を追えたバリーたちのベアは、最前線で戦闘を続けていた。

「おい、あの大剣ボーイ。凄いな。うちに來ないかな?」

コウに助けられた大柄な黒人のロバートが、褒め讃えている。

「そうだといいな。ジェニーと初見で連攜できるのも大したもんだ」

エニュオの頭部を破壊した連攜は思わず舌を巻くほどだ。

彼は三次元行ユニットさえ裝備していない。

「お、援軍がようやくきたようだぜ」

ロバートが皮な口調で後方をみる。

同じくアンダーグラウンドフォースのフライングパスタとレッドバルカンのメンバーだ。

フライングパスタはベアよりも重裝甲なグリズリーと呼ばれる重裝甲機に、巨大なロケットランチャーを裝備している。

掃討戦に切り替わったということで、援軍にきたのだ。

もっとも彼らを非難する気はない。彼らは小規模なアンダーグラウンドフォースであるし、住人の避難や防衛を行っていたからこそメタルアイリスのメンバーは戦闘に専念できたこともある。

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エニュオを喪ったマーダーたちの戦力は総崩れだ。

撤退する場所も燃料も持たないだろう。彼らが都市部を制圧して、初めて人間を含む制圧部隊が到著するのだ。

攻略の主軸を喪った今、制圧部隊が來ることはないだろう。

「援軍もきた。一気に掃討するぞ!」

バリーがぶ。

僚機たちがそれに続いた。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

「バリーさんたち、頑張ってるな」

バリーたちの戦闘區域にきたコウは、嘆した。

「俺にはあんな連攜無理そうだ」

バリーたちは敵機を絞り、集中して確実に撃破している。

彼らもジェニーとの高度な連攜を見せたコウが、そう思っているとは思わないだろう。

ジェニーの合わせる能力が卓越だったと、コウは思っている。

「君には向いていないだろうね」

意外にも師匠が同意した。

「集団行は苦手なんだ」

バリーたちに続いて、裝甲車両も支援攻撃にっている。大型ではないタイプだ。

この複數の車両も、見事に連攜してマーダーたちを追撃している。

「あれはなんだろ」

「なんだね」

「前が車なのに後部が戦車みたいなキャタピラ? 変な裝甲車がいる」

「ああ。履帯だね。半裝軌裝甲車だ。第二次世界大戦のときにあった形式の車両だよ」

「第二次世界大戦?」

コウにとっては生まれる前の遠い昔の話だ。

「うん。君の時代の戦闘車両は裝軌式か裝式に統一されていたはずだよ。あの形式はコストがかかる割にメリットがないから」

「何故この時代にあるんだろう」

「……転移者の趣味だ」

「え?」

意外な回答に絶句する。

「転移者のなかに無類の半裝軌車好きがいたのさ。確かドイツ人の技士だったな。そして數量産してみたところ、評判も上々。様々なサイズの半裝軌車が普及しているよ」

「趣味で量産? できるのか」

「できるよ。【構築技士(ブリコルール)】ならね」

「評判いいのか」

「自車と同じ覚で縦できるんだよ。とくに日本人やら、兵に乗り慣れていないこの時代の住人には畫期的でね。案外悪くない。裝軌裝甲車よりは高くつくが」

「なら裝裝甲車で良くないか?」

「趣味だ。といっても二十世紀の欠點はあまり問題にならないかな。居住區外は荒野や森林、雪原地帯も多く、履帯は有用だ。インホイールモーター採用で多段変速機も必要ない」

「きてしまっているのか、インホイールモーターの時代が」

電気自車が本格的に到來するとコウたちのようなギヤ関係の仕事は無くなると言われていた。未來で改めて指摘されると慨深い。

だが、今はそんな問題は些細なことだ。今彼がいるのは未來なのだ。

戦闘を続行しながら、問答をしていると、テルキネス二機がライフルを構えて襲ってきた。挾撃だ。

「っ! しまっ」

周囲から鳴り響く銃撃音。から颯爽と現れた半裝軌車三両が援護にってくれたのだ。

援護の二輌は裝備した多銃の機関砲で牽制し、後方にいた対戦車型が有線ミサイルで追撃する。

そのカバーの間に前方のテルキネスを破壊し、すぐさま背後にいた、半裝軌車と戦闘中のテルキネスを斬撃し撃破する。

「助かった!」

通信で半裝軌車部隊に禮を告げる。

「こちらこそ。ありがとう、大剣の人」

通信が映し出される。おおきな牧羊犬の犬型のファミリアがそこにいた。

「あとし。がんばりましょう」

の聲がして別の通信がる。白貓型のファミリアだった。

「さっきから頑張っている兄ちゃんだな? 無理するなよー」

最後の通信は狐型のファミリアだった。

場違いながら、コウは思わず和んでしまった。

本當にたちが人間を助けてくれるような気がして。

「ああ。皆で生き殘ろう」

コウの言葉に、三匹のファミリアは手をちょこんとあげて応えた。

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