《ネメシス戦域の強襲巨兵【書籍六巻本日発売!】》ゼロ知識証明
二機のシルエットが巨大な地下通路を進んで行く。
厳重な隔壁が上がり、最深部に到著したと知る。
「アシア!」
コウは思わずんだ。
部屋の奧には巨大なコンピューターらしき構造があり、そこにコウが見たときよりも長しているアシアがいた。現在は十五、六歳ぐらいだろうか。
銀髪に白いをまとい、中鎖に縛られている。口までも塞がれているような狀態だ。日焼けしたしい褐のが赤みを帯びているほど。
腰までびているしい銀髪の先端まで鎖で縛られている。
そして特筆すべきは、その大きさ。はシルエットサイズだ。
コウをみて、涙目になっている。助けを求めている、哀切の瞳。
「コウ。何が見えているの? アシアがいるのでしょうか」
「見えないのか?」
「ええ。ごめんなさい」
「コウ。こちらのカメラも何も見えない」
ブルーも、映像から解析しているエメにも何も見えない。
「波長が合う人間が俺しかいないってことか。幽霊みたいなもんだな。いや、神様か」
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「アシアはどんな狀態ですか」
「ブルー、本當に見えないのか。シルエットサイズの銀髪のが、鎖にぐるぐる巻きにされているんだ」
「それが今のアシアの狀態を表したビジョン、ということですね」
「助け出す方法、か……」
ここまできて、皆目見當がつかなかった。
「コウ。聞こえるか。狀況はこちらで解析している」
「師匠!」
エメの聲で、師匠が告げた。急事態なので、エメが代したのだろう。
「ここが正念場だ。そこは一種の中樞コンピュータだな。高次元領域で量子チェーンで封印されている」
「量子チェーン?」
「本來なら星レベルでのクラウドであるアシアのメインデータがエンドノード化されているな。彼自の力を使って高次元領域でのブロック化した暗號チェーンで縛り付けている狀態だ。鎖で繋がれているビジョンはその影響だろう。理的にも次元のれが生じているほどの強固なものだ。解除キーはゼロ知識証明のクリアだ」
クラウド上のネットワークで孤立したコンピュータがエンドノードだ。
ネットワークに介できない以上、人類がアシアと接できなかったのも當然といえた。
「どうしたら解ける?」
「封印はアシアがやったものではないが、これは…… 敵は厄介な封印をしたな。アシアの力を利用した、アシアさえわからない、そして検証するシステム自も答えをしらないのだ。何がトリガーかこちらでは分からん」
「暗號の復號はできないのか」
「答えはあるはず。アシアとの関連を問われている。彼が選んだ構築技士たる君なら、できるはずだ」
「しかし……そうか。五番機。俺を助けてくれ。フェンネルOSに何か打開方法はないか」
五番機は靜止し、アシアと見つめ合うような形となる。アシアと対話しているかのようだ。
『アシアとの會話、何か思い出せるものを提示してください。それがキーとなります』
五番機の合音が告げる。
ハンガーキャリアのメンバーもブルーも、じっとコウを見つめている。
「そうだな。アシア。君が俺を助けてくれた。足をかす、と言ってくれなかったら、とっくに死んでいただろうな……」
コウはアシアとの會話を思い出そうと呟いていた。
「師匠や五番機に魂があると確認してくれたね。これから出會う、たくさんの機械たちを大切にと。そして君が俺を構築技士にしてくれた」
コウは、まだいだったアシアを思い出しながら言葉を紡ぐ。
「最後に、俺をアストライアに導いてくれたのはアシア。君だ。師匠に聞いてね、と。俺はそこで、大切な仲間と出會えた」
その言葉を聞いたにゃん汰とアキは涙ぐむ。エメは手をじっと握りしめた。
「俺は君を助けると約束した。俺は何をすればいい?」
コウは全全霊で問いかけた。
『アシアとの高次元意識接続完了。アシアとパイロットにのみ存在するゼロ知識証明の対話確認をクリア。ゼロ知識証明の非対稱型領域合致。クリアです。量子チェーン、解除可能です』
五番機が告げる。
「非対稱型のゼロ知識証明はの波長を用いていたのか。それなら形にすることは不可能、お互いのなど本人たちしか知り得ないな」
師匠が納得した。ゼロ知識証明――完全、健全、ゼロ知識を確認する暗號技の一種だ。最後の一つが難関であり、それが証明され解除キーとなった。
「アシア。聞いていいか。君の本はこれなのか? なら、このコンピューターを移させるのではなく、君のデータだけ移転は可能か。たとえばアストライアに」
目の前の構造を持って帰るわけにはいかない。どうすればよいか、必死に考えた。
アシアは頷いた。可能ということ。
ならば――
「エメ。全力でアシアのデータをアストライアへ転送。アストライア、予想はしていただろ?」
「了解です。データ転送実行開始します。アストライアへ直接転送の他、ハンガーキャリアーへの同時転送処理も行い、速度をあげます」
『最優先(top)事項(priority)で処理を行います。準備完了です。処理を開始。星管理AIであるアシアを工廠要塞中央管理施設に移管します』
アストライアからも返信が屆く。
「量子チェーンは完全に解けていない。五番機、行くぞ」
アシアを縛る鎖は高次元量子チェーン。大剣にウィスを流した狀態で斬る。
予想通り鎖を切斷出來た。ウィスを流している質なら干渉できると思ったのだ。
「コウは次元のれを斬っている、というの? ウィスを通している質なら五次元へ干渉はできる、か……」
背後にいるブルーが五番機を観測し、狀態を見る。五番機は確実に、次元のほころびを斬っていく。
アシアが見えない彼の目には、虛空を相手に斬っているようにしか見えない。だが、観測データ上は確実に変化が起きているのだ。
五番機のそれは剣舞のような――舞の如ききだった。
量子チェーンが破壊されるにつれ、データの転送速度が上がっていく。
ついに、アシアの口元を塞いでいた鎖も破壊できた。
「コウ!」
「くなよ、アシア。もうすぐ助けてやれる」
「來てくれた…… 本當に來てくれた!」
「當たり前じゃないか。約束だろ? あとしだ。待っていろ」
アシアは潤んだ瞳で、五番機をまっすぐに見つめていた。
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