《ネメシス戦域の強襲巨兵【書籍六巻本日発売!】》解放の

五番機は次々と鎖を切斷していく。

アシアは信じられない表で、自由になった腕をかしていた。

「最後は――髪、か」

髪の先端にはひときわ強固な鎖が絡みついている。

「コウ。お願い。髪のごと切っちゃって!」

は朗らかにいった。

「え、でも。アシアの髪が……」

「いいの! あなたの目にも髪に見えるということは、簡単に回復できる末端データ――髪のだってびるでしょ?」

あくまでコウが見えている姿は、星管理AIのイメージ、ビジョンの一種。彼の狀態を表している。データ破損をしていれば怪我に見えるし、先ほどのように縛られているならばそれはロックがかかっている狀態なのだ。

頭髪の先端部分に見えるデータなら、本データには影響しないということなのだろう。

「そうだな。綺麗な髪だから切りたくなかったが……」

「ふふ。ありがと。それにね。私の一部をここに殘す必要がある。私が完全にいなくなったら、ここは発しちゃうんだ」

「そういうことか。わかった」

しい銀髪を切ることにためらいはあったが、びるならそこまで悩まなくていいだろう。施設が発するならなおさらだ。

鎖の接部分から、アシアの髪をばっさりと切った。

「コウ!」

アシアが五番機に抱きついてきた。

と思ったのもつかの間。

アシアはいつの間にかコックピットにいるコウの眼前にいた。サイズも人間サイズだ。

アシアはコウの元へ飛び込み、コウは慌てて抱きしめた。

らかなにびっくりする。服を通り越して素同士でれあっているような。ビジョンとは思えない。

「ア、アシア?」

「これでコウともお話できるね!」

「ああ」

「みんなにお禮しなきゃ。五番機、手伝ってもらうね」

『了解いたしました』

アシアの聲に五番機が応える。

『コウ。五番機。そしてみんな! ありがとう!』

五番機から発せられる全軍への通信。

聲として聞こえたのではない。

頭のなかに直接聞こえてきた、としか思えない明瞭な言葉。

直接アシアからの謝だ。

そんなことが出來る存在など、他にいるはずがない。

後方支援部隊では大歓聲が上がった。

誰もが、直でアシアだとわかったのだ。

現在戦闘している主力部隊の反応は様々だ。

ぶ者、改めて気を引き締める者、興して戦闘力が上がる者。

誰もがアシアの帰還を喜んだ。

コウの目の前では、異変が起きる。

切り取った銀髪から、再びシルエットサイズのアシアが浮かび上がったのだ。

明で、さっきよりも張りぼてがある。

「これは?」

「私の殘存データからジャンクデータを膨らませて作ったダミーね。これでしばらくはストーンズの目も欺けるわ」

「同じアシアの姿をしているから、見るに忍びないな」

「コウ、やさしー!」

が彼の元に頬ずりしながら甘えてくる。

「コウ。とじゃれあうのはあとにして。出を」

冷たいブルーの聲。

心なしか、上から見下ろされているような圧をじる。

「え? ブルー。見えるのか」

見られていると思うと気まずい。アシアはくすくす笑って、上をあげる。

「ネレイスだもの。コウと一緒なら私が見えるよ!」

アシアは悪戯っぽく微笑んで、通信越しにブルーへ手を振っている。

「手を振っているのがアシアですよね。はじめまして。お逢いできて栄です」

ブルーの表も緩む。先ほどの冷たい聲は冗談だったのだろう。

「ブルーもありがとね!」

「とんでもない。星アシアに住む者にとって、そしてネレイスにとって最優先事項です」

ブルーの聲は若干張していた。

それだけの存在なのだろう。

「データ転送もそろそろ終わるみたい。アストライアで待ってるね」

「ああ。戻るよ」

アシアのの奔流に包まれる。

は徐々に薄くなり、消えていった。

「いきましょう」

再び冷たい聲に戻るブルー。拗ねているかのようだ。

「ブルー。怒ってる?」

「怒ってません」

とりつくしまがなかった。

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