《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第10話 子會(議)Ⅰ①

時刻は7:30。

あれから逢初(あいぞめ)さんに、運負荷心電図検査(CPX)、というのをやってもらっての復調が確認できたので、僕はやっと自由のになった。

ちょうどその時間でもあるので、食堂に來ている。

うん。やっぱり自分の手でゴハンを食べるのがイチバン落ち著くよね。

醫務室で々してくれた逢初さんには悪いかな。こんな事言っちゃあ。

食事係の仲谷(なかたに)春(やよい)さんの作る溫かいゴハンはし変わった味付けだけど、おいしい。

その點には不満は無いんだけれど‥‥‥‥。

「ハァ~。師匠。どっかに私を見つけてくれるイメケンいませんか~?」

「‥‥‥‥お前彼ピ持ちじゃなかったっけ?」

「アイツの事は忘れましょうよう! この航海中は」

「乗りかえんのか。自分で探せよ」

「無理ですよ。無理ゲー。こんな軍艦に押し込められて島の荒野を何日も。出會いの機會損失しまくりですよ」

「それは確かにな」

と、僕の席からちょっと離れた所で話してるのが、網代(あじろ)千晴(ちはる)さんと七道(ななみち)璃(り)湖(こ)さん。

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そんな2人を黙って見てるのが多賀(たが)柚月(ゆづき)さんだ。

七道さんとは以前、格納デッキでMK(マジカルカレント)と重力子エンジンの事で相談を聞いてもらったばかりだ。

この3人がいわゆる「工科」、海軍中等工科學校から選ばれた3人で、この戦艦の機械関係のメンテナンスを一手にやってくれている。

なんか、口ぶりを見ていると、リーダー格の七道さんを、他の2人は「師匠」って呼んでるみたいだ。同級生だよね?

網代さんが機に突っ伏したまま話し出す。

先のカールした髪をシニヨンにしている。

「あ~、誰か金持ちのイケメンで、私を第一席(ファースト)にしてくれる人と出會えないかなあ~」

「令和通りで探せ」

「駅前じゃないっすか~」

「‥‥‥‥。ちーちゃん。あそこは、夜、夜酔っぱらいのオジサンしか居ないから行っちゃダメ、おばあちゃんが言ってた」

2人のやりとりに多賀さんが無表った。髪をくるりんぱで纏めて、作業帽にれ込んでいる。そのせいなのか彼が小顔なのか、ぶかぶか帽子が半分を常に隠していて表が見えない。

多賀さんがしゃべったの初めて見た。おばあちゃん子なのかな。

「敵兵でもイイです。全然イケます」

「敵兵って‥‥! でもアッチの國じゃあ、私ら絋國子を口説いて連れ去る専門の、イケメン部隊があるらしいじゃねーか」

「國によっては子不足らしいですもんね。出會えるかなあ。異國の王子様」

「この辺じゃあBotくらいしかいねーだろうな」

「だからあ、ちょいちょい話を現実に戻さないでください」

「‥‥‥‥。異國の地でも何でも、『タマハビ』に持っていって、ちゃんと相手を見定めなさいってお母さんが言ってた」

「お、ゆず。タマハビ!! タマハビかあ!」

「おお、タマハビか!! 柚月の母ちゃんいい事言うな」

‥‥‥‥僕は「タマハビ」が一何なのか、見當も付かない。

子って、割とすぐ略語とか名前の言い換えをするよね。

変にそれ何?って聞くと、

「知らないの?」

みたいな空気になるし。

変化のスピードについてけない、っていうか、ついてく気も失せてるよ。

まあ、麻妃(マッキ)に聞けばいいんだけどさ、僕の場合は。

ただ、子ばっかでこういう知らない単語が飛びう空間は、正直居づらい。子校ってこんなじか。この食堂で、僕の居場所は殘されてはいないのだ。ああ。

と、そこへ。

「暖斗(はると)く~ん」

折(おり)越(こし)ちなみさんが寄ってきた。あ、この子も「工科」だったっけ。商業科か。

濃い目のグレーのブラウス、元を大きく開けて、出した裾は左側で赤いスカーフかなんかで結んである。紺とグレー系のグラデーションの、チェック柄の短いスカート姿だ。

菜摘組で、1回目の出撃の時にクルーザーを運転した子だね。

「あのね、暖斗くん」

は屈託なく話しかけて來てくれた。

ぼっち飯を気にしてた訳じゃないけど、しほっとしたのは正直なところ。

そう言えばこの子は、最初から僕を下の名前で呼んでるね。

「あたしね。変な所にホクロがあるんだけどお、見る?」

が指さしたのは、右わき腹のちょっと背中の方だった。グレーのシャツの合間から、ちょっとだけ地が見えている。

「‥‥‥‥」

背中に変な汗をかいてきた。

今、この食堂には折越さん含め5人の子と、僕がいる。

これは罠か、迂闊な返答はできない。

僕は、無表を保ちながら。

「ごめん。今ゴハン食べてるんで」

と、左手を相手に向けて斷った。

子って、友達同士で盛り上がりながら、他所の會話を同時に聞いてるんだって、同母妹(いろも)が言ってたよ。

だから、こんな所で変なリアクションはしない。この空中戦艦「ウルツサハリ=オッチギン」の中で男子ひとり。終わりの見えない艦生活。子と、変な空気になったら生還できないのはわかってる。16人に男子ひとりって知ってからは想定してた事だ。

ある意味Bot戦より困難なミッションだけど。

「あ、じゃあゴハン食べた後でね♪ ご指名いただいちゃいました~♪」

と言って彼は去っていった。

「はい? ‥‥‥‥って、あれ?」

僕にとってななめ上の反応だった。なんだ? 指名って。??? ‥‥???。

あ、どうしよう。この流れ。

どう答えるのが正解なんだろ? もしくは答えずに流すべき?

周囲の視線が気になるけど、下手にけない。取りあえず平靜をよそおって、手だけはかした。食事を口にれる以外、どうしたらいいか浮かばなかった。

※「そうそう。生わき腹ね。よくっていいよって言われるわ~」というそこのアナタ!!

‥‥‥‥‥‥‥‥はいませんね。失禮しました。

ここまで、この作品を読んでいただき、本當にありがとうございます!!

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Twitter いぬうと ベビアサ作者 https://twitter.com/babyassault/

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