《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第12話 砲戦①

一夜明けた8月2日、その日は、戦艦(ラポルト)の警報音が目覚まし時計代わりだった。

早朝に響きわたるアラート。まだ7時前だ。

僕は飛び起きると、急いでパイロットスーツに著替えた。トイレに行くのを忘れたんで一旦いだりしたけれども。小走りで通路を走る。

「Botに接近されました。艦は回避運をします。第一種戦闘配置。泉(いずみ)さんお願いし‥‥ガチャ」

アナウンスで、渚さんの聲がした。さすがにちょっと慌ててるじだ。舵手の泉さんへの聲がっちゃってたよ。

えっと確か、「第一種戦闘配置」は、DMT(デアメーテル)で何時でも出撃できるようにしとくんだよな。で、「回避運」は、「不規則 之(の)字(じ) 運」だっけ。ジグザグ運転をするから気を付けて、だ。

「あっ!」

なんて考えてたら戦艦が急に制をかけたので前につんのめった。

そうだ。機の上のとか片付けなきゃいけないんだった。今ので全部床に落ちちゃっただろうけど、しょうがない、後で片付けよう。

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「こんな時は深呼吸。慌てたらダメ」

僕は、研修の時に指導してくれた軍人さんの顔を思い出す。

「暖斗くん。水飲んだ?」

インカムから子さんの聲がした。

「ええと。飲んでないよ」

「じゃあ、縦席(ヒステリコス)の中にサバイバルパックがあるから、それで補給して」

「うん。わかったよ」

「こっちのミスで近接されちゃった。ごめんなさい」

さんはそういって謝ってくれたけど、僕なんかは何がミスだったのかすら解らないからなあ。基本その辺の中學生だからね、僕は。

僕がDMTに乗り込んで起すると、戦艦の発進口がヒュイーンゴゴゴって開き始めた。

この頃になると、整備班3人組の影もちらほら見えてくる。風呂の件でわかったけど、整備班は僕のDMTを出撃できる狀態まで持ってってから就寢してる。頭が下がるよ。

「ワリ。遅れた」

今度は麻妃(マッキ)の聲がインカムからってきた。麻妃の戦闘補助ドローン、KRM(ケラモス)も準備ができたみたいだ。さあ、後は!

「002番機、発進を許可します」

さんの聲が聞こえた。

よし。

僕はグリーンのシグナルを確認して縦桿を握りしめ、スロットルを踏み込む。

DMTの足もとの電磁カタパルトから勢いよく出‥‥‥‥されない。

電磁カタパルトは「危ないから」という理由で、僕は使用止だった。

本職のパイロットでないと無理みたい。あと、「整備班の仕事が増えるから」、という理由もあったらしい。

と、いう事で、僕のDMTは自前の推進でフロートしながらすうっと発進する。いや、いいんだこれで。うん。別に撮れ高とか俺気にしてないし。

うん。

*****

戦艦(ラポルト)の高度はいつもより高かった。まあBotに寄られてるから當たり前か。真下に降下するじで標的を探す。

「まっすぐ降りてると撃たれるよ。暖斗くん」

麻妃から聲がる。じゃあ。と、機をジグザグさせながら森へ降りていった。

「2時!!」

麻妃の聲がした。

その方向から弾が迫る。

反応して盾で防いだ。著地の瞬間を狙われたみたいだ。だが、レーダーに點在する3機のBotは、逃げて行ってしまった。

「あれ、敵が全然近づいてこないね」

僕が疑問を投げかけると、麻妃も

「そだね。なんか変だ」と返す。

今までのBotは、もっと目的を持っているじというか、ガンガン攻めてくるじなんだけど。

「Botにもんな思考ルーチンあるんだよね。どんな人がどんな理由でこのBotをここに設置したかわからないからなあ」

「僕らがシカトして通り過ぎたらダメなのかな?」

「そうさせて、前方のBotと挾み撃ちにするプログラムかもよ? たぶん母艦のエンジン音データで録られたから、どの道ここで倒さないと面倒な事になる」

「そうよ。寢込みとか襲われたくないわ」

と言って、渚さんがチャットに割り込んできた。戦闘中に僕と渚さんがチャットするのはレアケースだ。

「今ね。紅葉ヶ丘學生にBotの行解析させてるの。ストーカーみたいにまとわりつく、いやらしい人みたいなの、このBot」

そういう言い方ってどうなんだろう。う~ん。と考えていたら、紅葉ヶ丘さんの、やる気の無さそうな棒読みの聲が聞こえた。

「はい解析でたよー。敵は足止め専門。エネルギー配分も、シールドと逃げ足に偏重してる。さっきのビーム殺意無さすぎ」

「イヤぁ、超めんどくさい人にひっかかっちゃったわあ。」

渚さんの大人びた聲が妙に耳に殘る。ほんとにこの娘中2かな。

「ね。さっきのだけでそんな事までわかるの?」

と、紅葉ヶ丘さんに僕が聞くと

「小型Botのエンジン出力から逆算。けたシールドのダメージ、機の速度でまあ解る」

「すごいね。紅葉ヶ丘さん。さすがだよ」

僕は率直にそう思った。戦艦(ラポルト)選抜メンバーは、とにかく専門が高い。

紅葉ヶ丘さんからの返事は無かった。

「ああ、暖斗くん。澪(みお)は私達以外と會話するとフリーズするから、その辺にしといてあげて」

と、渚さんに言われた。

ん? 澪って、紅葉ヶ丘さんの下の名前だっけ。あ、いや、そうですか。 一瞬、僕がフリーズしそうになったが。

「どうする? 渚さん。暖斗くんのMK(マジックカレント)解放して、迫撃するしかなかろうか」

と、麻妃が話を戻してくれた。

「そうね。それでお願い。暖斗くん。頼むわね」

「こんなん話してウチらが駄弁(だべ)ってるに、Botに隠蔽(コンシール)で寄られてたりして」

「それは無いわ。母艦(こちら)からのカメラで、ちゃんと見張ってたから」

「さすが付屬中。‥‥じゃあ暖斗くん行くよ。30秒後に印加電圧5%ア~ップ!!」

僕は頭の中に、自分の背後にあるエンジンをイメージする。

息を吸って、ゆっくりはきながら。

ただそれだけ。

それだけなのに、響いてくるエンジン音が明らかに変わってきた。

エンジン音の高鳴りと同時に、僕の中アドレナリンも徐々に高まっていった。

さあ、攻撃だ。

※珍しく暖斗くんが主人公ムーブしてんな と思ったそこのアナタ!!

――そうです貴重なシーンです。今後無いかもです(オイ!!)

ここまで、この作品を読んでいただき、本當にありがとうございます!!

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Twitter いぬうと ベビアサ作者 https://twitter.com/babyassault/

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