《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第12話 砲戦②
ゴリゴリゴリ‥‥‥‥ゴゴゴゴォォォォン!!
重力子エンジンの錘羽が回る、石臼の様なゴリゴリした音から、地響きみたいな音に変わる。おじいちゃんは旅客機のジェットエンジンみたいな音って言ってたけど、そんな昔の乗りは知らないし。
「Botが逃げた方向を哨戒するよ」
僕は麻妃が指し示す森――その方向にDMTを向けた。
そうすると、いた。木々の合い間に白い球。
そのBot1機が撃ってきた。
僕はビームをできる限り避けながら、両腰にあるビーム砲で打ち返す。MKで発生エネルギーが大きいので、ビームの一発がデカい。そのまま弾幕で押し込んでいく。
「おっ、今シールド割った。そのまま、いいぞ暖斗(はると)くん!」
麻妃はそう言うけど、ここからだと距離があるしよく判らない。が、麻妃のKRM(ケラモス)からの視點をもらってようやく見えた。大量のビームでBotがボコボコになっていくのを。
「いけるぜ。ハイ次」麻妃がガッツポーズしてる。――多分。
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2機目は、1機目を助けようとしたのか、姿を現していた。ちょっと距離があるが、弾幕を張りながら間合いを詰めていく。
「‥‥敵は3機目と合流するつもりだ。學習してるよ」
彼が短く言った。2機目はたぶん全力で後退していて、なかなか間合いが詰まらない。
しばらく森の中の追いかけっこになった。
「突撃(アサルト)しよう。シールド殘量も十分あるし」
僕からそう提案した。戦艦を飛び越したあの跳躍を、水平方向にすれば。
「よっし。そうしよ。たぶん敵は、回避と防に注力してるから、それだけ注意ね」
すこし森が開ける所があった。そこを麻妃は戦場に選んだ。
「突撃(アサルト)!」
突然背後の土砂が発した。
いや、自機の蹴り足で巻き上がったんだ。
僕とDMTは弾かれた様に前へ跳ぶ。森の木々が開けた景が、猛スピードで眼前に迫ってきた。いた。Botだ。2機が合流しようとしてる。
オートフロートで著地すると、すぐさまビームを打ち込んだ。プラス、もうひと跳躍する。
1 戦闘距離(スタディオン)(180m)くらいの距離で、打ち合いになった。
敵もシールドを張り増しながら、2機の連攜で何とか凌ごうとしてる。
DMTやBotのシールドは、シールド発生で作られる。エンジンの出力と発生の能次第だけど、あんまりいっぺんには作れない。
だから、シールドレイズといって、打ち合いになる前にある程度「積み増し」をしている。
そのシールド総量を超えるビームを當てると、シールドが割られて実裝甲に実被害がでる。
あ、DMTの盾はアスピダ、といって、別にある。これはいわゆる本當の盾だから、シールドとは別。ちょっと紛らわしい。
ちなみに盾にもシールドは張られている。
DMTの裝甲表面を覆う「シールド」と、理的にも防する「盾(アスピダ)」、この二つが戦闘の防をになっている。
「砲戦で押せてるよ。コッチのがエンジンの瞬間最大出力が上だからね。暖斗くん?」
麻妃がそう言う。僕は麻妃の意図を察してその時を待つ。
Botが、突如後退を始めた。シールドを削られ、ジリ貧だと判斷したのだろう。
「逃げられる!」
誰かの聲が聞こえた。でも。
DMTは三度(みたび)の跳躍をしていた。旭煌をまとった回転槍を掲げながら。
朝日が、寶石みたいな槍先に當たって、キラキラ反する。
そのまま腕をばすと、長柄のサリッサが、逃げるBotの背を捉えた。
ガキ!! バリィィン!!
初速のついた刃部に當たったBotは、深く部をえぐられながら、勢いよく地面に落ちた。刃の回転に引っかかったのか。
すかさず、2撃目の刺突を繰り出す。標的は3機目だ。
バギン!!
今度は芯をとらえた。いきなり火花が散る。部機まで屆いた手ごたえだ。Botは、回転する刃部からるようにボトッと地面に落ちた。
「おー、やったな暖斗くん。あれだけ砲戦で有利とれて、さらにサリッサの予備回転する
容量があるとは。MK恐るべし、だね」
僕は、額の汗をぬぐった。
「ねえ、麻妃(マッキ)」
「なにさ?」
「朝ごはん、縦席(ヒステリコス)で食べちゃダメかな?」
「‥‥‥‥ん?‥‥‥‥あーね。その手があるか。依(えい)にきいてみよ」
これから艦に帰投するけど、僕は、この戦闘でまたもやMKを使ったから、MK後癥候群になる。でも、癥狀が出るのは、縦席(ヒステリコス)から出るか、DMTのエンジンを止めるかしてからだ。
だったら、その前に朝ごはんを食べたらどうだろう。
なんて思いついたのだ。しかし!
「ごめんね。暖斗くん。前例がないの」
毎度の醫務室で、いつものセーラー服に白(ドクターズコート)姿の逢初(あいぞめ)依(えい)さんにそう言われてしまった。
彼は丁寧に頭を下げている。
「そういうのは、軍の研究とかでもう試していて。このタイミングで固形を摂取すると、コントロールが正常に消化するのに対して、ケースの方はことごとく悪化したのね。ごめんね」
ん? コントロール? ケース? 出た。なんかまた専門用語だ。
「今、がくにDMTの中でご飯食べたとしても、すぐ降りなきゃいけないし、そうしたらどのみちけなくなるでしょう? そうしたら、胃にったの消化がうまくできなくなるの。そういうことなの」
かみ砕いての的確な説明。
という訳で、反論する気も失せた。
「朝飯前」という言葉があるけど、本當に朝飯前に出撃すると、僕の場合ミルクしか飲めなくなる。
また、逢初さんにお世話になる。こんな早朝から。
いくら彼が「醫療」擔當だからって。
彼にちょっと申し訳ない。
‥‥‥‥そう思う反面、逢初さんの大きな黒瞳と艶めく髪が僕の眼前にある。――の奧で何かが疼くじがしていた。
※「そっか。戦闘したら醫務室、がこの小説のお約束か。またイチャコラかよ?」と喝破した そこのアナタ!!
ここまで、この作品を読んでいただき、本當にありがとうございます!!
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