《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第15話 宴Ⅰ②
「宴」は、子達の華やかなした聲を食堂に響かせながら、続いている。
そのまま、元いたテーブルのお菓子を食べつくしたらしい整備班3人は、僕のいるテーブルに居著いて、3人で話をし始めた。
そう言えば3人とも見慣れた作業服じゃなく、海軍中等工科學校(こうか)の制服だ。水兵みたいな襟の小さ目なセーラーで、機械科の子達は、ゆったりしたズボンを履いている。さすがに作業服じゃ來ないか。
ちなみに僕は、腕を上げるとまだ痛みがでる狀態で、コップを持つのもプルプルしながらだ。一応立てるけど、それじゃあちょっと、ということで、車椅子に乗ってる。なのでテーブルの中央に積まれたお菓子類は手つかずだ。彼達はそれが目當てだね。飛蝗(いなご)ムーブ。
整備班の3人は、頭を寄せ合って、互いの両手の甲を前に出していた。何やら機械油が爪にって黒ずんで取れない、という不幸自慢大會を始めたみたいだ。ああ、思春期のの子にはそれはさぞ辛かろう、なんてはた目で見ながらニヤニヤしてたら、七道さんと目が合った。
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「暖斗くん、食べてるか?」
「うん。‥‥まあ」
「いや、食べてないじゃんか。さっきコップ持つ手がプルプルしてたし。ほれ。」
と言って、テーブルの皿のチョコ菓子をつまむと、僕の口に運んだ。あれ、爪が黒いのを嘆いてた件は? 七道さんは2人に振り返り、
「な。こういう心配りが男心を摑むんだよ?」
と、うそぶく。そのへんどうなんだ。なくとも僕には刺さってないよ。
「何のドヤ顔!? 何のマウント!? 七道さん! あ、多賀さん、頷きながらメモ取らない!」
‥‥とツッコミたかったが、取りあえず口腔のチョコ菓子をいただく事にした。が、その様子を網代さんがこっそり観察してたみたいで。
「‥‥咲見さんの食べ方、なんか小っぽくないですか?」
と仲道さんに耳打ちする。
「え、それマ? 私見てなかったからもう1回」
またチョコ菓子を口にほうりこまれて、3人の子に注視された。
カリカリカリカリカリカリカリカリ‥‥‥‥。
「むうう‥‥。これは」
僕は普通に食べたつもりだったが、3人には面白かったようで。
「暖斗くん。もう1回いいか? これベイビーというより小系だぞ」
「師匠、私にも」
「昔ハムスター飼ってて」
網代さんと多賀さんも參戦してきて、順番にお菓子を給仕される事になった。
ニュアンスは限りなく給餌だけど。園の、ふれあいエサやりコーナーのうさぎになった気分だよ。
で、乾きものばかり食べたせいで普通に軽くむせた。
「う、ゲホ‥‥水」
「ほらよ」
「いや‥‥‥‥。ゴホ、自分で」
実は、人にコップで飲ませてもらうと上手くいかないのは、逢初さんで実証済みだった。腕が多不自由でも自分で飲んだ方がいい。
と、僕が持つコップに、ストローがストンと差し込まれた。そう、このストローがあると今の僕は格段に飲みやすくなる。ありがたい。いったいどなたが?
「ごめんね。暖斗くん。子さんとちょっと込みったお話してて。かないのに、ごめんね」
振り向くと、僕には見慣れたみなと第一中學(いっちゅう)の白セーラー、逢初さんの姿があった。
「ずるいぞ逢初。こんなファンシーな男子を獨り占めしてたなんてな。で、課金アイテムの赤い前かけは今日は裝備してないのか?」
「あ!? えっ! それは緒の‥‥!!」
逢初さんが誤魔化そうとしてくれたが、もう遅かった。そうだ。前かけはCADで作ったんだった。だから當然整備班の3人は知ってる。え? 何なに? と寄ってきた數人に、もう七道さんが話してしまった。
逢初さんが僕を振り返り、「ゴメン」的なしぐさをしているけれど、まあ、しょうがないか。そのうちバレる様な気がしてたから。
「さっきの暖斗くんの食べ方‥‥‥‥きっと、まだが不自由だから、かせる筋を使って咀嚼しとうとするのが、齧(げっ)歯目(しもく)みたいに見えるんだよ。ふふ」
と、逢初さんはよく判らないフォローをれてくれた。そして。
「もう、ずっととなりにいるからね。安心して。何か食べる?」
とも付け加えた。
この辺の面倒見の良さはいかにも第一子長っぽい。また、醫務室みたいな空気になるのかなあ、と思っていたが、七道さんが各所で僕のことを言いふらしているらしく、エサやりをしたいという子が、それから何人か來た。
彼は、そのやり取りをずっととなりで見ながら、クスクス笑っていた。
「そう言えば暖斗くん。メールで何か言ってたよね。みんなに要があるんだよね?」
仲谷さんが用意してくれたサンドイッチを食べ終えた頃、麻妃がそんな事をマイクで言いだした。みんなの視線が僕に集まる。
「あ、うん。あらためて言うと、僕に変な遠慮しないで、タメ口OKで普通に接してほしいな、と。絋國子は、『男子には敬語で話さなきゃ』って思ってる人多いと思うんだけど、この艦の旅仲間だし、大人いないし、1回そうしてもらいたいなあ、と」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
僕の言葉への反応は、予想通りだった。みんな、明らかに乗り気じゃない。
「でも、男子とタメ口で話す、変なクセがついたら困るし‥‥‥‥」
「正直違和がある。怖いかな」
そんな聲がうっすら聞こえてる。もう、絋國では、こういう価値観が既に常識だ。どちらかというと子の方に深く付いている印象だ。
「なんでそんな事言い出すんだ? 何か理由があんだろ?」
そう言ったのは七道さんだった。
「私はともかく、男子には遠慮してる子がほとんどだ。ぶっちゃけ、學校とか親戚の男子でんな目に遭ってみんな『學習』してる。その結果だからな。それが急に「タメ口で話せ」って言われても抵抗あるし、町に戻った時にリセットするのも面倒臭い」
彼は、僕に近づいてきて、さらに続けた。
「いっそ、そこら辺の男子みたいにこう言ってくれればいいんだよ。『これからはオレにはタメ口な。でないとこうだぞ』ってね」
七道さんは右手に拳を作って軽く突き上げる仕草。
‥‥‥‥みんなが苦笑いをした。
「たぶんそんな、人の良い事を言うのは、絋國中で君だけた。はっきり言って非常識だ。‥‥‥‥でも、私は君を知ってる。冗談や酔狂でそんな事言ってんじゃないんだよな? 言うからには何かあるんだろ。その何かを教えなよ?」
僕はうなずいた。
麻妃が、マイクを持ってきた。そして子さんがみんなの視線を集めて、張りのある聲で言う。
「聞こうよ。いい機會だよ。これからこのメンバーだけでしばらく旅をする事になる。咲見くんも含めて相互理解が必要です。‥‥咲見くん、いいよね。お願いします」
見ると、逢初さんも、じっとこちらを見ていた。し口角が上がって、微かに微笑んでいるようにも見えた。
僕はマイクを取ってテーブルに腕を乗せ、話し始める。
「あの、さっき七道さんが、『そんな事言うのは絋國で1人だけ』って言ったけれど、もう1人います。なくとも、もう1人。僕の父親です」
僕らが暮らしている國、絋國。よく周辺國からは羨ましがられる、まあまあいい國だとは思うんだけど。
僕には大きな不満がある。
それは。
※[子會混ざりたいな~」と思った そこのアナタ!!
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