《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第18話 8対1②

8月3日、逢初(あいぞめ)依(えい)は戦艦ラポルトの1F廊下を歩いていた。ふと食堂をのぞくと、見慣れた長さの髪の後頭部が目にった。時刻は正午すぎ、ちょうどこれから晝食を取ろうと、混みだす時間帯だ。

と、その見慣れた後頭部が座るテーブルに、相席する子が2人いる。まだ空いている食堂で、わざわざ後頭部の主のいるテーブルに座るとは。

「これは」

逢初依は、小さく呟いていた。

同日、23時31分。停止していた戦艦ラポルトの哨戒用ドローンが、敵Botを複數知、23時47分、咲見(さきみ)暖斗(はると)の駆るDMT(デアメーテル)が艦より発進した――。

*****

莉、どう思う」

艦のブリッジで、渚が子に尋ねる。2人とも自室から飛び出て來ていた。渚は出の多い下著のような、そして子は襟付き花柄、――――ふたりともパジャマ姿だ。

「まずいわね。今まで無かったのに。哨戒ドローンは異常ないのね?」

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と、子が答えた。

「そうよ。今までは咲見くんがBotを片付けて、掃空済みの空域の中で艦を停止させてたわ。なのに、寢込みを襲われた‥‥」

「敵Botが、索敵をしながら空域に侵してきたってこと? だとしたら、夜は當直(ワッチ)を置かなきゃいけなくなる‥‥。ものっっすごく頭が痛いわ。この艦のシフトでそれは想定外だし、ひとつ大問題が発生しちゃうのよ?」

いつも冷靜な子が大仰に頭を抱える。その様子に驚く渚。

「‥‥‥‥あなたがそんなにビビるなんて、高等部の生徒會長に啖呵切った時以來かしら? 一どんな大問題が‥‥‥‥!?」

は頭を抱えたまま、目だけを渚に向けて、恨めしそうに呟いた。

「親さんの許諾書取ってないのよ? この運営。――――中學生の深夜労働で」

「――――うっっわぁ。 ‥‥‥‥‥‥この艦最大の泣き所ね」

「素人中學生(みんな)に徹夜の見張りなんて頼める訳ないでしょ? かといって附屬中(わたしたち)3人でやったら‥‥‥‥」

「破綻するわね。第一おに悪い。私パス」

「ちょっと咲(ひなた)。真面目にやってよ」

「真面目よ。悩める艦長さん。だけど、私には今おより気になることがあって」

「何? 今度は何よ」

「あなたに最初に聞いた事よ。ね、莉、どう思う。特別な思考ルーチンで、索敵しながら侵してきた敵Bot、なのに今見える點は3つ。3機しかいないのよ?」

渚の言葉に、子はモニターの點を見つめる。

「それは‥‥‥‥」

「そう、戦科の見解として、シンプルに罠を張ってるわ」

*****

「暖斗くん。敵は3機。初めての夜間戦闘だから慎重にね?」

僕のDMT(デアメーテル)と麻妃(マッキ)のKRM(ケラモス)が、暗闇の中で周囲を哨戒している。レーダーの點を頼りに、最寄りのBotに接敵して、加撃しているところだ。

「うん。そだね。模擬戦ではさんざん練習したけど、実戦だしね」

AIの観測では、敵Botに特別な仕様は無く、こちらの被弾を最小限にして、敵の裝甲と頭數を削っていく戦法が提示された。つまりいつのも戦い方だ。

今が夜って事以外は。

「今! ちょっと踏み込みすぎたよ。裏取られるなら逃げてよ」

「わかったよ。でもあとちょっとで倒せたのに。このBotマーキングしといて」

モニターのBotに、ピッと、赤い點がついた。

僕は視認できる3機のBotと戦していた。お互い回避をしながら、いくつもの火線が差する。

囲まれないように、被弾しないように、回避運れて、しずつだけどBotにダメージをれていった。

「‥‥‥‥暖斗くん」

「何?」

「今渚さんと話してた。1回艦まで戻ってほしいって」

「え、何で? 押してるのに。あ、また戦艦襲われた?」

「イヤ、敵の引き方がね。『釣り野伏(のぶせ)』って戦法に似てるんだって」

「え? 何て?」

「『釣り野伏』。なんか昔の‥‥」

その瞬間だった。

ガガガガッ!!

モニターが真っ白になって、警告音がなった。

積層しておいたフォトンシールドが急激に減ったんだ。

僕は、包囲撃をけていた。

「麻妃(マッキ)!!」

「印加する!!」

僕は反的にバックステップしていた。敵は僕らを包囲網にい込もうとしていて、そのり口で僕らが艦に戻るそぶりを見せたので、攻撃に踏み切ったらしい。

と後から聞いた。

MK(マジカルカレント)発!!

もう力業で切り抜けるしかない。後ろへ跳んでいるその滯空中に、みるみるエンジンが吹き上がっていく。

同時に予備回転を始めたサリッサが、夜の森に妖しくりだした。両方ともすごい轟音だ。

「旭煌(きょくこう)だ。でも夜間戦闘だと、目立ってしょうがないね」

と、麻妃。

「設定変えられないの?」

「無理だよ。そもそもMKで刃部がっちゃうのは設定じゃないし」

僕のMK能力によって出力を増した回転槍(サリッサ)刃部の重力子回路が、有り余るエネルギーをとして放出しているんだ。

後進した僕のDMTが接地すると同時に、一番近い、ダメージがってるBotの「あえて反対側のヤツ」に突撃(アサルト)した。敵のBot群は意表を突かれたみたいだ。

ガガガガ!! バキン!!

る槍先が丸い球を貫いて、火花と共に吹き飛んでいく。おかげで無傷のBotの方を1機倒せた。

これで確定した。渚さんの推理通り、敵は司令塔みたいのがいて、そいつの思考で全くみたいだ。レーダーに映る點は殘り7つだった。3機が囮で5機が待ち構えてたんだ。

危なかった。ギリ包囲網が閉じる前に気付けたから良かったけど。

1機倒して殘り7機!

僕は漆黒の闇に向かって、る槍を構えた。

※ そこのアナタ!!

ここまで、この作品を読んでいただき、本當にありがとうございます!!

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Twitter いぬうと ベビアサ作者 https://twitter.com/babyassault/

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