《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第20話 寛容とは①
「ありがとう。逢初(あいぞめ)さん。ずっとそばにいてくれたんだね」
暖斗(はると)くんの言葉にわたしは、その場に崩れ落ちそうになった。
彼は言葉を続けた。
「‥‥正直さ、不安だったんだよ。急でしょ? 子供だけで戦艦かせとか、Bot駆除しろとか。で、頑張って駆除したらこのMK(マジカルカレント)後癥候群だし。このままずっとがかないんじゃないか? って何度思ったことか」
暖斗(はると)くんの表は穏やかだった。その瞳は、澄んだ湖面の様にき通っている。
「でも、君が、『大丈夫、これは治るし、わたしが治すから』って言ってくれて、大分気持ちが楽になったんだよ。僕の様子でも診てるに寢落ちしたんでしょ? ご苦労様」
彼の臺詞で狀況が判った。つまり暖斗くんは、わたしを1ミリも悪いとは思っていない。
責めたり咎めたり、どころか、――疑問にすら思ってないから質問もない。
ただ、ただ、わたしがべそかいてるのを心配してくれているんだ‥‥‥‥。
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「‥‥‥で、何か悲しそうなしてるから、何だろう。昨日は元気だったよね。お腹が痛いとか? あ、ホームシックとか?」
わたしは覚悟を決めた。
この人にごまかしや噓をつくことは、わたしの良心が耐えられない気がする。それに、頭の隅で、「早く全部話して楽になりたい」ってぶ自分がいる。
その上で、暖斗くんに軽蔑されるなり、嫌われるなり、わたしが罰をければいい。そう思った。
「違います」
わたしは話し出した。
「あのね。全部正直に話すから、暖斗くん聞いて。何回か前から、暖斗くんの右手の手のひらの上にわたしのを乗せて、寢ていました。理由は、わたしがそうしたくなっちゃったから。わたしのです。治療でも何でもないです。‥‥‥ごめんなさい」
わたしは立ち上がって頭を下げた。
勢い余ってベッドのマットレスにおでこを打ちつける。
「あ、そ、そう‥‥‥‥なん‥‥だ」
さすがに驚いた聲音だった。
「本當にごめんなさい。患者さんのを勝手に借りて、自分のマクラにするなんて、最低だよね。子としても醫者としても。ただ、MK後癥候群には対処しなきゃいけないので、そのお仕事はしっかりやります。わたしがもう無理なら、他の誰かに業務を引き継いでもらって‥‥」
「いてててて」
唐突に彼が右手を持ち上げた。
苦痛を得てまでかしたその右手の先には、彼の、鼻先があった。
「なんかさ、いい匂いがしてたんだよね。何回かさ」
暖斗くんはいたずらっ子っほく笑った。
「今日もいい匂いがする。子用のシャンプーの匂い。でも、前回の方が良かったな。ほら、あのちょっと甘いじの、なんか花の香りみたいな」
「‥‥あ、えっと、この前はたぶんわたしの船外品(もちこみ)で、今日は據え付けのだと‥‥」
「ふ~ん。君の私のシャンプーは切らしちゃったの?」
「‥‥ううん。この旅がいつまでかわからないし、據え付けのも悪くないから、これでいいやって‥‥‥‥えと、暖斗くん、何言ってるの?」
「あ、じゃあさ」
彼は笑いながら言った。吹き出すのを堪えるようなじで。
「ん‥‥ははは。今度僕の手をマクラにする時には、その逢初さんのシャンプーにしてよ。あ、こんなこと言ったらキモイかな? 大目に見てもらえると‥‥」
彼の意図がわかった。
こんな事は、笑い話にしてくれると。
わたしはもう、両目から溢れ出るを押しとどめる事が出來なかった。
倫理、悔恨、淺慮と淺ましさ。胃の中で吼える自己嫌悪。
わたしには、誠心誠意、すぐに謝る選択肢があった。
なのに、彼の態度を見て、彼が許してくれるのでは? という答えを期待をしている自分がいた。――――いや、期待、ではなく、計算、ね。
その「計算」をしているもうひとりのわたしに、否応なく気づかされてしまった。「正直に話そう」なんて一方では考えていながら。
でも――――泣き出したわたしに対する彼の言は、わたしの【超計算】の遙か上を超えてきていた。
「くんくん‥‥う~ん、いい匂いだなあ。でもこれって、本當にシャンプーの匂いかなあ。ほら、の人はいい匂いがするって畫かなんかで見たなあ。ラクトン? 本當はこれは、逢初さんの本來の匂い? とか。どっちだろ?」
片目でこちらをチラチラ見ながら、こんな事を言っている。なんだろう? 彼のキャラじゃあないよね?
「あ、そうだ。確かめる為に、逢初さんの匂いを嗅がせてよ。そしたら解る」
「う、うん」
「お、嗅がせてくれるの? じゃ、こっち來て」
流されてから我に返って。
「‥‥‥‥イヤ‥‥」
「だよね~。ほら、こんな事言ってくるスケベな男子がいるよ? こんな時君はなんて言うの?」
「‥‥‥‥へ、変態」
「変態!? あっはっは‥‥ぐ!! いててててて」
お腹を抱えて笑おうとした彼は、がいてしまったのでたちまち痛がった。その様子を見て、わたしも思わず泣き笑いをしてしまった。
「逢初さん。ほら、笑ってよ。前にも言ったけど、僕は自分の周りの人に笑っていてほしいんだ。手をマクラにしたって、何てことないよ。それに、右手に何か乗っかってる夢を見て、何度か起きてたんだ。右手に何か黒くて丸いが乗っかってるのは、もう見てるんだよ」
その後に続く彼の言葉は、彼らしからぬだった。
※ そこのアナタ!!
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