《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第23話 の暴力②

逢初(あいぞめ)依(えい)は醫務室にいて、在庫の補充をしながら、インカムに耳を傾けていた。

戦闘中は基本通話アプリは、全通話(チャット)にする取り決めになっている。戦闘で何がどのような狀況になったとしても、それを全員で共有できるし、各員の初も早められるからだ。

依の手が止まる。

あの呑気で冷靜な麻妃がんで、その音聲にノイズが混じる。

「ぬっくん?」

その単語に小首をかしげたところで、艦が大きく揺れた。

急機。各員第一種戦闘配置」

アナウンスとチャットで、同時に音聲が流れた。

依は我にかえる。

「いけない! 第一種って確か」

その瞬間だった。

「きゃああ!!」

戦艦ラポルトが急加速をした。

もちをついた部が、さらに床をすべるほど加速している。

醫務室の棚から、角薬瓶や、鉢、點薬が落ちてくる。艦のエンジンが、靜かな轟音を響かせていた。

*****

「‥‥‥‥!!」

麻妃が、何かんでるけど、耳にらない。

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僕のDMTのシールド殘量‥‥ゼロ? つまり?――そこで僕の思考が止まってしまった。

シールドゼロ。

つまり?

‥‥‥‥次にビームの直撃をうけたら、DMTの複合裝甲(S-HCR-N)が吹き飛ぶってことだ!

死ぬ。

初めてそれを実した。背中に冷たいが走った。

この隔壁縦席(ヒステリコス)が、僕ので真っ赤に染まるのを想像した。肺の空気が――重い。いくら吸っても吸えた気がしない。

そうだ。今さら気付いた。――死地、これが自分の命の懸かった戦場の空気。

「あっ!」

大型Botの右手が爪を差し込んできた。火花が走る。

爪は、偶然あった盾(アスピダ)に當たった。

「ぐっ」

Botのビームを思い出し、全力でバックステップをしたが、跳んだ先が木々の集地だったので、DMTと木々の當たるものすごい音と振が、僕のを震わせた。

ガチン!

と巖か何かに當たって、DMTは止まった。しまった。たぶん、擱座している。

「ぬっくん、起きて!」

麻妃の聲だ。そうだ、DMTを起こさなくては。僕は縦桿に目を向けたけれど、両手に力がらない。これはMK後癥候群じゃない。まずい。

今までの小型Botは、僕の中型DMTの上半くらいのサイズの球だったけど、この大型Botは、DMTの全高とほぼ同じ大きさの直徑だ。獨立して浮遊する左右の巨大な「手」もそうだ。

その3に囲まれていた。シールドゼロ。次の攻撃は躱さなければ――全が総立つ。でも、僕はけなかった。

単にもう、怖かったから。

「避けて!!」

麻妃の聲だった。言われなくても、と思考した剎那、辺り一面が夕暮れの様に暗くなった。

ざわっ、と木々が揺らいだ。

空気が振するのが、DMTの中でもじた様な気がした。

空を覆った巨大な影は戦艦(ラポルト)だった。

全長550mの巨大艦。フグみたいに丸っこいフォルム。頭上に來れば、辺りは日食のように暗くなる。

右舷を見せながら、僕の頭上で旋回している。

「武裝一部解除。主砲撃て!」

さんの聲。

艦の砲撃は凄まじかった。

ものすごい數の線が空から降り注ぎ、僕の、ほんの目の前で炸裂した。確か「A2/AD仕様」だから、拡散砲しか撃てない筈だけど、DMTのビームがオモチャに見えるほどの圧倒的な「量」。

大戦艦のエンジンを背景としたそんな火力の絶対量に、大型Bot達は「手」達が本を防する形でジリジリと後退しだした。

僕もやっと、擱座したDMTを起こした。

戦うためじゃない。

目の前の轟音との束に、本能的な恐怖を覚えたから。

の暴力が終わると、土煙と砂塵があたりを包んだ。森の一部が燃えだした様だ。

「暖斗くん。大型Botは後退したよ。マップの點のところまで移できる? そこから著艦のナビするから」

麻妃の聲だった。そうだ。艦に帰るんだった。

でも‥‥どうしよう。みんなに會わせる顔が無いじゃんか。はは。

「まだ認証してないよ」

「あ‥‥。そっか」

麻妃にたしなめられた。帰艦するには艦のセキュリティにアクセスして、自著艦の回線を繋がないといけない。敵のハッキングからの「乗り込まれ」を防ぐために。

「はああ」

深いため息が出てしまった。

麻妃がちらっと、複數の敵の待ち伏せの可能を言っていた。

油斷? 耳にはっていたのに頭で理解していなかった。

不意打ちを喰らい、シールドがゼロになって、頭が真っ白になってしまった。

ビビッてろくにけなかった。

子がる戦艦の、機転をきかせたフォローに助けられてしまった。

本來艦を守るのがDMTの戦的な立ち位置なのに、だよ。

艦で待つの子達は、僕の事をどう思うだろう?

一番僕が他人に見られたくない一面を見られてしまった。隔壁縦席(ヒステリコス)から出たくない。僕が頭を抱えるのと同時に、ガチャ、ヒューン、と音がして、隔壁縦席(ヒステリコス)のハッチが開いた。

あ、もう著艦してたのか。

「ハハ、どんなタイミングだよ」

苦笑するしかなかったよ。

サッカーでヘマした時は、男友達が「ドンマイ」って聲掛けてくれたけど。ここでは。

なるべく誰とも目を合わせない様にして、醫務室へ向かうベッドに乗せられた。

途中で七道さんの

「あ~、枝でこすったなあ! 背面裝甲が一面緑じゃないか! 洗浄。洗浄!!」

って聲が聞こえて、

「なんだぬっくん。生きてんじゃんか」

と、麻妃に聲を掛けられた。

いつもなら「ぬっくん言うな!」って返す所だけど、聲が出なかった。‥‥けど、しありがたかった。

ああ、そして、今一番顔を見られたくない子の所に到著しちゃったよ。

醫務室の前。

ドアがシューって開く。どうしよう?

平然とする?

いや~下手こきましたわ、と、おどける?

無口で通す?

あああ、誰か正解教えて。

※「こういう時、ホントバツ悪いんだよな‥‥(涙)」という そこのアナタ!!

ここまで、この作品を読んでいただき、本當にありがとうございます!!

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Twitter いぬうと ベビアサ作者 https://twitter.com/babyassault/

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