《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第28話 リベンジ②
MK(マジカルカレント)で、重力子エンジンの出力を上げるべく、僕は意識を集中していく。
2機の「手」を引き付けたまま、隔壁縦席(ヒステリコス)で、深いひと呼吸。
また、何時もの通り、エンジン音の音が変わっていく。ちょっと変な例えをすると、流行りの歌がサビにったようなじだ。
「うおおおお!!」
回転數を上げて旭煌を放つサリッサで、手負いの「手」に一撃をれた。もともと初手と狙撃でダメージをけてた方だから、きが鈍い。
分厚い裝甲を研削して、槍は部を抉(えぐ)る。
仕留めた。
が、すかさず引き抜いてもう一方の「手」にもサリッサを向けた。
「‥‥ふうう。004番機、実損なし」
「コッチも大丈夫っス」
初島さんと來宮さんの聲がした。ふたりは、狙撃手(スナイパー)である桃山さんのカバーにっている。
DMTでの移が苦手な彼を守る役割、渚さんの差配だ。
そりゃ、狙撃手が、位置バレしてかないなら、応されるのは仕方ない。
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――――でも、敵の目を引いてそれを阻むのが、前衛の僕の役割だ。
「心配かけてごめんね。砲撃再開するよ。暖斗くん」
桃山さんも無事か。よかった。
大型Bot本が突出してきたので、回避しながらビームの打ち合いになったけれど、殘りの「手」を桃山さんが止めてくれた。
その隙に「手」にも致命の刺突を食らわせる。
「ナイス暖斗くん。後は本Botだけだ。がんばれ!」
麻妃の聲を背に、大型Botとの距離を詰めていく。
が、大型Botは高速で機をし始めた。僕は、縦桿を強く握って食らいついていく。
MKで強化されたエンジン出力で、僕のDMTのきも強化されている。
「大型Botのエンジン出力は大型DMTに準ずる。『手』が無くなった分思考のリソースを回避に回してるっぽいよ? 気をつけて。暖斗くん」
激しくきながら、弾が飛びう。
「‥‥‥‥殘心」
4度、彼の聲がした。
コ~~ン!
しかし、大型Botは跳ねる様に位置を変えると、有質量弾を避けてしまった。
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「6番砲撃‥‥!」
麻妃が言うのと同時だった。大型Botは丘方向に振り向くと、ビームを斉した。
初島機と來宮機が弾かれた様に反応して、桃山機の前に盾の壁を作る。
‥‥‥が、ビームは來ない。
初島「‥‥‥‥あれ?」
來宮「來ないっスね」
桃山「暖斗くん!!」
ズガガガガガ‥‥‥‥!!
僕のDMTの回転槍(サリッサ)が、大型Botの腹に刺さっていた。
その、槍の先端、ドリル狀の刃部から、幾條ものの帯がたなびくようにれ出ていた。
回転が、暴力のを帯びて、雄びを上げながら大型Botの裝甲を削り取って行く。
「手前(てめえ)‥‥! 何してくれてんだよ? 2度も砲撃許したら、俺(オレ)の立場が無(ね)えだろうがよ‥‥!」
「あれ? 暖斗くん?」
インカムに手を當て、醫務室のが首をかしげた。
最大の機を試みて、槍を外そうとする大型Bot。
僕は、突撃(アサルト)をかまして追従。さらに深く突き刺す。
そのまま巖場に押しこんできを止めると、DMTの自重(じじゅう)をかけて削り倒していく。
「ぬっくん!」
唐突に大型Botがビームを放った。至近で喰らった僕はモニターが一瞬でホワイトアウト! 森の木々が吹き飛ぶ中、白銀のDMTは微だにしない。
強固に積層されたシールドが、ビームを相殺していた。
「麻妃(マッキ)‥‥」
「うん‥‥‥。シールド殘量52%。そのまま行って」
DMTの回転槍が、悲鳴のような音を上げて、さらに回転數を上げていった。
やがて、分厚いBotの裝甲を抜け、フレームの金屬に刃部が當たる、ギリギリとした甲高い切削音に変わった。
塵の白い煙が、火花と部機の黒煙に置き替わった。
大型Botのスリット――黒いに見えていた、いくつかのが、ゆっくりと消えていき、バチン、バチンと回路が短絡(ショート)して――――大型Botは、完全にきを止めた。
「作戦終了よ。みんなお疲れ様。‥‥暖斗くん。見事だったわ。気を付けて帰投してね」
珍しく、インカムから渚さんの聲がした。
「ふううう」
僕は隔壁縦席(ヒステリコス)で息を吐いた。
勝った。
何か、地に足が付かなくてフワフワしてた所で、やっと落ちつきを取り戻した心地だよ。
モニターには、きれいな夕焼けが映し出されている。
そっか。夕方出撃だったから、もうすぐ夜だ。夜間の著艦は何となくイヤだから、早く帰った方がいいよね。
‥‥‥‥あ、いや、不慣れなの子達の方を優先するから、僕は最後か。
戦艦までは、パイロット達と麻妃でインカムの會話を公開通話(チャット)にして、戦闘の総括、反省會をしながら帰った。
っていっても、みんな張から解放されたせいか、テンションが高くて。
まるで遠足のバスの中みたいだった。
初島さんも來宮さんも桃山さんも、ついでに麻妃まで、僕の戦いぶりを褒めてくれた。
僕自は正直、テンパってたのかあんまり良く覚えて無いんだけど。
まあ、子にこんなに褒められるのは僕の人生ではレア験だから、中がなんかこそばゆいけど、逐一誰がどんな事を言ったか、までは言わないよ。恥ずかしいからね。
そういうのは自慢みたいになっちゃうし。
「‥‥‥‥」
なんか七道さんが、倒したBotを回収させろ、って言ってるらしい。
大型Botだから、裝甲とフレームの金屬がいっぱいあるハズだから、回収して再利用したいんだって。
そんなこと出來るのか?
そう言えば、戦艦ラポルトって當初の予定を大幅に過ぎて航海してるから、さすがにそろそろんな資材が切れて來ないのかな? その辺どうなってるんだろ? それを解決するための回収、再利用って事か。
結局、子さんが「それは明日にして」と言って許可したって。
僕がもうすぐMK(マジックカレント)の後癥候群でけなくなるから、ラボルトはこの空域に固定(フィックス)する事になる。その間にやって。という事らしい。
まあ、僕はその間ずっと醫務室だから、どっちみちこの件には関わり合いは無いか。
みんなとの會話がひと段落したときに、麻妃から個人回線(クローズ)で話しかけられた。
「大を倒したんだから暖斗くん。何かいいことあるといいな」
「なんだよ。別にいいよ。倒すのがパイロットの役目なんだから」
「でも今からごほうびタイムか」
依のが脳裏に浮かんだ。
白セーラーに丈の短い白を著こんだ姿。元の水リボン。
「‥‥‥あれはごほうびじゃあ無いよ。れっきとした治療行為だしかなくなるし、どっちかというとバツゲームじゃん?」
「‥‥‥んん? いやいや暖斗くん。ごほうびを貰うのがキミ、という意味ではないよ?」
は? 何? ‥‥‥‥‥‥どゆこと?
「紅葉ヶ丘學生。データ取った?」
艦長席に座る子が、インカムで話しかける。個人回線のようだ。
「取れたよ。暫定値だけど、すごい數値が出た。特に最後のアサルトと、サリッサの回転」
「そう。暖斗くんのバイタルとは?」
「相関の可能あり、だね。ただ、これは対照群(コントロール)が無いとなんとも。私達でバイアスかけるのはマズイよ。バイタルの細かい解析は、何か理由をつけて逢初さんに投げてしまおう。餅は餅屋だ」
「ああ、それは私がやるわ。でも、朗報ね」
子は、腕を組んで前にばした。
「これで私も、やっとこの旅を続ける目途がつきそうだわ」
※「また子さん思わせぶりな事言って? どうせネタだろ?」と思った そこのアナタ!!
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