《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第29話 醫務室Ⅱ②

「まあまあ、今日大活躍の暖斗くんは疲れてるだろうし、それ確か、はやく飲んだ方がいいんでしょう? 私達が待たせちゃったからね」

僕の困依の表を読んだ桃山さんが、そう言ってスポ中ペアを連れて退出してくれた。ガヤガヤと騒々しかった醫務室が急に、シン‥‥、と靜かになる。

依は醫務室の照明を落とし、暖爐の明かりのようなダウンライトにしてくれた。そして僕の頭近くにを寄せると、いつもの様に僕に前かけを著け、「おつかれさま」と囁いた。

そして、いつもの様に僕の首に手をまわすと、スプーンの先を僕の下に ちょん、と當てた。とりあえず、僕は、いつもの様にミルクを飲み干す。

今、「いつもの様に」って2回言ったけれど、いつもと違う所があった。依がなんか近い。前々からとかをググっと近づけるのは、依が患者さんに接する時の「醫療人モード」の時にあったけど、今日はさらに近いよ。

あと、もうひとつ。依がなんか熱い。ミルクを貰う時は、依はいつも目を閉じてみえたはず。実はしっかり薄目を開けてるんだけどね。だけど今日は大きな黒瞳で僕をじっと見ている。

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「約束守ってくれたね」

依が言った。

「約束‥‥、無事に醫務室(ここ)に帰ってくる、ってヤツ?」

「そうよ。忘れてたの?」

「忘れてはないけど、敵を倒すのに集中してたから」

「‥‥‥やっぱり忘れてたんでしょ。ふふ。でもいいよ。無事に帰って來てくれたから」

そう言うと、依は2回目のミルクを作りに、バックヤードに消えた。

また同じ姿勢でミルクをいただく。けど、明らかに違う所が。依は、僕に飲ませる時には、僕の依のに上手くすき間を作っていた。だけど、さっきから、その「すき間」をじない。

僕の右肩に何かが當たってしまっているような?

ただ、怖くてとても確認できない。

依がいつもより「近い」とじたのは、このせいなのかも。

やがて、2本目も飲み終わる。僕はベッドの背板を下げて、眠る姿勢になった。

「暖斗くんは寢る?」

「うん、そだね。ちょっと、ウトウトしてきたかも」

「わたし、いまから夕食とお風呂予約してあるんだけど、また戻って來てもいい?」

そっか。パイロットが増えて仕事が殘ってるんだ。大変だな。

「ぜんぜん、いいよ。僕は寢てるかもだけど」

「寢てるかも、かあ。じゃあ。今言っておかないと、だね」

白セーラーと白が近づいてきた。依は、ベッドに橫たわる僕に正対すると、もじもじしながら、こんな事を言った。

「あの、またお願いしたいんです‥‥‥‥」

「ん? 何でしょう?」

一瞬、なんの事か判らなかった。彼は、し恨めしそうな顔をしながら。

「暖斗くんの『右手』を借りたいの」

と、囁くように言った。

あ、そっちか。

「いいよ。ぜんぜんOK。だって、OKだって、前に言ったよね」

「うん。だけど、寢ている人のを勝手に借りるのも如何なものかなあ、と思って。一応お斷りしなきゃ、だよね」

そんなやりとりをして、依はお風呂に行った。醫務室に殘った僕は、意識がまどろんで行くのに任せて、ゆっくりと目を閉じた。だけど。

小一時間ほどして、醫務室の自ドアが開いた。依だ。思ったより早く帰って來た‥‥んだけど、僕は結局寢つけなかった。

依は、照明を落とした室をまっすぐ進んで、ノータイムで僕のベッドに乗って來た。僕が寢ったと思い込んでるのか? まあ、今までミルク飲んだら速攻寢てたからね。そうなるか。

「ありがとう。君だったんだね」

僕は依が去ってから、何となく浜さんとの會話を思い出していた。そうしたら、自然とこんな言葉が出た。

「あ、ごめん。起こしちゃった? そうです。依です。右手借りてるよ」

依はもう僕の右手に頬ずりしていた。湯上りの熱をじた。髪がしだけ濡れている。

「そうじゃないんだ。わかったんだよ。浜さんとかと々話してね。僕は初陣の頃手がよく震えてたんだ。でもいつの間にか止まってた。僕の手の震えを止めてくれたのは、君だったんだね?」

瞬間、依が跳ね起きた。

「そうなのかな」

「そうじゃないのかな。僕はそうだと思うけど」

「わたしはそうだと思わないよ。暖斗くんは、つらいとか辭めたいとか言わないじゃない。言ってもいいんだよ? でも、暖斗くんは言わずに自分自で克服する道を選んでる」

「愚癡ったりしなかったのは、やっぱり男子が僕ひとりだからかなあ。他の子が不安になるかも、とかは考えた」

「だから、暖斗くんの力だよ。わたしは醫療面でサポートをしただけ。わたしが主的にいた結果じゃないよ。『患者は治るんだ。治すんじゃない。』って、バイト先の小児科長(せんせい)の言葉」

「今日はやけにはっきり話すじだなあ。いつもはもっとこう、ふんわりしたじなのに。謙遜してるの? 依」

「そんなことないけど、暖斗くんは寢ないの? ミルクを飲んだら、赤ちゃんはねんねんの時間よ」

「あー。そんな事言う? 右手貸すのやめよっかな」

「ふふ。暖斗くんがけないうちは借りとこうかな。ね、わたしはこのまま仮眠するよ。真面目な話、回復のためにはもう寢た方がいいよ」

依はそう言うと、僕の右手をマクラにして寢てしまった。仕方なく僕も目を閉じた。

なんだ。

依が居てくれたから、僕は戦えるんだって思ったんだけどな。言うタイミングが無くなっちゃったよ。

*****

1~2時間は寢ただろうか? わたしは暖斗くんの手のひらの上で目を覚ました。持っていたハンカチでわたしのと彼の右手を拭った。

うれしい。うれしい。うれしい。

彼はわたしの獻をもってじていてくれた。彼の言いたい事はうまく躱してしまったけれど、伝わったよ、と彼の赤ちゃんみたいな寢顔に言いたい。

暖斗くんは、醫務室で寢ている時に、自分の手が震えていたのは知らない。わたしはそれを彼に伝えるつもりはない。

それにまさか、暖斗くんの右手の震えを止めるために、わたしの心臓と左を差し出した、とは言えないからね。

ごめんね。暖斗くん。

※「依さん是非次は起きてる時に!」という そこのアナタ!!

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Twitter いぬうと ベビアサ作者 https://twitter.com/babyassault/

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