《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第33話 拾う①
7時に起床した。
なんか変な時間に一回起きたから、寢覚めが悪いじだ。落ち著いて寢れたか、と訊かれれば、NOだし。
あんな事初めてだしね。
でもその割には一応ちゃんと寢れたのか、ああ、もうよく分かんないや。とにかく頭がボ~っとする。
食堂に行く。もう6人ほどの子が先にいた。そういえば、依(えい)が僕の部屋に「一泊」した事は、もうバレたりとかはしてないよね。
ちょっとヒヤヒヤするなあ。
浜さんと桃山さんが先に食べてて、僕を見つけて寄ってきた。
「おはようございます」
まず桃山さんが聲をかけてくる。彼とは合同練習もしてるし、実戦でも連攜してるから、正直話しやすい。
浜さんは、この前初めてまともに話したばかりだ。ちょっとぶっきらぼうだけど、何か事の核心をついた意見を言うじだ。ふたりの様子はいつも通り。
――うん。昨夜の事はバレて無い。依は上手く自室に戻ったようだね。
「おはよう。いつもふたりだね」
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「それはもう、私達、さいはて中コンビ。一心同ですよ。ね。いちこ」
僕はトレーに盛られた今日の朝食メニューを見て考え込む。
「う~ん」
「どうしたんですか?」
「いやあ、この副菜で白飯が進むかなあ、と。海苔とかあったらしいなあ、と」
言いながら3人で席に著くと、浜さんが立ち上がって無言でどこかへ消えた。
「あれ、浜さん?」
「あ~。いちこは海苔を取りに行きましたよ。暖斗(はると)くんの為に。あの子、資材係なんで。どうです? 気が利くでしょう?」
「うん、そだね。ありがとう」
「お禮はあの子に言ってあげてくださいよ」
しばらく経ったが浜さんはまだ戻って來なかった。
「暖斗くんは、彼とかいないんですか?」
と、桃山さんに訊かれた。昨日の件があったせいなんだろうか、あまり揺しなかった。
「いないよ。中學生だし」
「しいとは思わないんですか? 中學生カップルだって、いますよね?」
「3年生とかだと結構いるよね。‥‥‥‥なんでそんな事訊くの?」
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「いやー。他校とかで彼できたら、テンション上がりません?」
「他校じゃなくても上がると思うけど、今はあんまり想像できないよ」
と、言いながら、ベッドに並んで座った、僕のとなりの誰かを想像してしまう。
「大人しくて、一途な子はどうですか? 暖斗くんにお似合いだと思うなあ」
「う~ん。賑やかなじの人よりは、靜かな子の方かな」
「でしょう?」
「あ、でも」
僕は思いついた事を能天気に口にする。
「ん?」
「桃山さんは、賑やかなタイプかもだけど、話が合うよね。合わせてくれてるのかな? すごく話しやすいよ」
「そ、そうですか‥‥‥‥。そういうつもりじゃ無いんですけど」
ここまで話した所で、浜さんが戻ってきた。
「海苔です」
「あ、ありがとう。あ、味海苔じゃ無いんだ。いや、これで大丈夫、ありがとう。浜さん」
3人で食事をしたけど、心なしか桃山さんは靜かだった。
ビ~~~~~~!
そこへ警報が鳴った。Botの出現か。僕は殘りの食事をお茶で流し込むと、パイロットスーツに著替えてデッキに急いだ。インカムから子さんの聲がした。
「暖斗くん。敵、なんだけど、様子が変なの」
「変?」
「何かを探してるんじゃないかってAIが。Botの近くに目標があって、私達には向かって來ないかも」
「了解。むやみに戦闘、じゃ無いって事だね」
「食べたばかりで気持ち悪くならない?」
麻妃(マッキ)に心配された。さらに言う。
「小型Botが3機なんだけど、何かウロウロしてんだよね。今まで無かったき」
「じゃあ、隊列組んでないじゃん。突撃(アサルト)で片が付くけれども? まさか手制(マニュアル)?」
「それだと、ウチのドローンと同じで、近くから縦してる事になるよ」
「つまりこの近辺に敵外國人がいると?」
「きっしょ! それはマジ勘弁だよ。怖すぎ」
「子さんにも言われた。AIの指示通りに、慎重に行くよ」
今回の戦場は、一面の巖場、荒野だった。
こんな所に何があるの? とツッコみたいが、障害が無いから、戦いやすそうだ。
それは敵もだけど。
僕はDMT(デアメーテル)の反重力裝置(フローター)をONにして、ゆっくりと降下した。敢えて接敵せず、遠巻きにBotの様子を伺った。
「ホントに何か探してるみたいだ。僕に対して陣形組まないし。端から削ってこうか?」
「3機だしね。今シールド厚めにしといたから、他にエネ廻して一気に行きたいよね」
「あ、待って。暖斗くん。渚さんが偵知を先にって。予備のドローンも総出で報取ってるから、とにかく待って」
僕のDMTは1回敵と距離を取った。
れ替わりに3機のドローンが戦場に赴く。
麻妃のと、初島さん、來宮さんが縦する機だ。
それぞれ遠巻きに3機のBotをマークする。
「読んだよ」
インカムにちょっといじの聲が割り込んできた。紅葉ヶ丘さんだ。
「今、敵の小型Botのきを逆算して推定(アスーム)できたよ。3機のBotは1つの目標と鬼ごっこをしてる。いや、目標を見失ってるから、かくれんぼだ。その目標の來た方向と居場所を送るよ。人が縦してる気配はない。Botは排除して」
僕のDMTにも、データが來た。地形MAPに、ピンが付いている。
続いて麻妃が。
「あとね、渚さん子さんが、今回は、掃空にMK(マジカルカレント)使わないでしいって」
「そう? どしてだろ」
「『この後』を想定してる。暖斗くんが寢込むとヤバいんでしょ。いいよ。『設定戦闘』試してみようよ。DMT運用中級編だ」
「OK。『設定戦闘MK抜き』ね。もうすぐシールド積層(レイズ)が100%になる。それで行こう」
僕はAIの指示通りの場所に移した。ここから突撃(アサルト)すれば、目標とBotの間にくさびが打てる。
「了解。行くよ」
「じゃあ、暖斗くん。設定AからBへの移行を」
麻妃の指示をけ、僕は隔壁縦席(ヒステリコス)の最外部左右にある青いパネルに手を乗せる。
この青いパネルが「プロテシスパネル」。パイロットの脳波を読み取り、縦桿やタッチパネルを介さずにDMTをかすインターフェイスだ。
DMTの腕でを摑むとか、そういう細かい作業には向いてるけど、パネルが読み込みしなかったりで、シビアな戦闘時向けではない。
今回は、麻妃が用意したエンジンのエネルギー配分テンプレを、僕が自分の判斷で変えて戦う試みだよ。
今まで重力子エンジンが生み出すエネルギーは、シールド、機、回転槍(サリッサ)で等分に振り分けてて、狀況に応じて麻妃のドローンが変更してた。
それに僕のMK能力が加わって戦ってたんだけど、今回は、
設定A: シールド重視
設定B: 機重視
設定C: 攻撃重視
とテンプレを用意して、僕が切り替えてく作戦だ。
これが出來れば麻妃が、他のDMTのフォローにれる。
戦場側のオペレーターはひとりしかいないし。
「暖斗くん。ちゃんと切り替わってる。OK。突撃(アサルト)を」
「うん」
僕はMAPの示す侵角度からBotに急接近する。そこで、またプロテシスパネルをる。
「設定C。サリッサ予備回転を開始」
「‥‥だめだ。読み込まなかったよ。ウチの方で変更する」
Botと近接した。
が、設定変更が遅れたんで、サリッサの回転が足りてない!
取りあえず槍を構えてBotを牽制する。
こんな時はMKで無理やりエンジン回してしのいでたけど、使わない縛りだと不便だ。
左端のBotが撃ってきたのをギリギリ躱す。
躱しながらも近づいて初撃を當てた。
「お、暖斗くん。今のき良かったぞ。他のBotはまだ何か探してる」
と、いうことは、囲まれる心配が無いという事だ。目の前に集中して。
ガツン!!
繰り出した槍先に手ごたえがあった。回転が増していくサリッサで、どんどん削っていく。
Botはたまに応するくらいで、いい刺突がどんどんる。いつもみたいにMKでのパワー増幅が無いけれど、確実にダメージを重ねて撃破した。
「次!」
最寄りのBotに近接した。やはり各自バラバラにいててスキだらけだ。
前回が大型Bot戦だったから、小型のBotは凄く小さくじる。
実際パワーも弱いし。
「何かいるよ。巖場のクレパスに」
初島さん縦のドローンからだった。Bot達が探している「何か」をこちらも探していた所だ。
「私も確認します。位置移します」
これは桃山さんの聲。
狙撃手だから、遠レンズも高能のヤツだ。出撃してたのか。
僕はサリッサの狙いを定め、ビームを回避していた。
これをしのいでアサルトする!
「ちょっと待った。暖斗くん」
麻妃の聲がした。
「暖斗くんの近くの巖場に人がいる。人影だよ! 巻きこむからビームとサリッサ使わないで!」
え!? ビームとサリッサ止!? どうやって戦えと?
※「巖場の人影とは? 一!?」と気になった そこのアナタ!!
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