《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第34話 子會(議)Ⅱ 水不足①
僕はまだDMT(デアメーテル)を駆っていた。
駆っていた、というとカッコイイじだけど、そうじゃ無い。DMTの両腕を使って土木作業をしているよ。
アピ、と名乗るの子を巖場から救い出すと、怪我をしていて。艦からクルーザーが降りてきて、念のため、折越さんが軽く拘束しながら、依(えい)が応急手當をして艦に戻っていったんだ。
依(えい)は、の子を搬する時だけクルーザーから出てきたけど、DMTの大きさに驚いた様子だった。
セーラー服に白、という恰好と白で華奢な依の肢は、荒涼とした大地にはすごく浮いて見えたけれど、――そう見えたの僕だけだろうか?
あと、クルーザーに乗り込む時に背を向けながら、こっそり小さく手を振ってくれた。
――――あやうく見逃すトコだった。
で、そのの子が、「自分が乗って來たエアバイクが近くにあるから、回収してしい」んだって。そりゃそうか。こんな荒野をBotに追われて、徒歩な訳ないよね。
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麻妃がスキャンした地形で、金屬反応とかで探したら、すぐに見つかった。
けど狹い巖場に隠してあって、しかも故障してるみたいだから、こうして今掘り出している。
あ、サリッサ使っちゃダメかな?
*****
DMTを降りた僕に、MK(マジカルカレント)後癥候群はししか現れなかった。
やっぱ極力MK使わなかった結果だね。
重力子エンジンが生み出すエネルギーをMKで増幅するんじゃなくて、あるものを適所に分配する方法、これが良かった。
っていうか、普通のパイロットはそうやって戦ってて、僕が異常だったんだけど。
しかし初陣とは大違いだ。依曰く、僕のが良くも悪くもMKに慣れていくらしい。
「同じ薬をずっと飲んでると、だんだん効きが悪くなるのとおんなじだよ」と言われた。
いや、常用してる薬とか無いから、伝わんないよ。
醫務室に一応運ばれて、ベッドに寢かされたけど、一応手足はく。
それならシャワー浴びて自室に帰りたい、と言おうとした所で、奧から依が出てきた。
「あ、暖斗くん。お疲れ様。ミルク飲む?」
「え? あの子はもういいの? 忙しいんじゃない?」
「大丈夫だよ。さいわい軽傷だったし、今は食事とって寢ちゃったから」
「寢ちゃうんだ。なんかスゴイキャラだ」
「うん。Botに追われて何日も、だったらしいよ。正式には附屬中三人娘が後で尋問するみたいだけど」
「今回はその子がイレギュラーだったから、かなりゴチャついちゃったよ。やっぱ附屬の子達はスゴイね」
「プロ軍人さんの卵だもんね。で、ミルク飲むでしょ? 作るよ」
言うが早いか、彼の姿はバックヤードに消えていた。
僕は、の子の言葉を思い出していた。
結婚? どういうつもりだろ。
「その子の見張りで、まだ奧に折越さんが居るからね」
エプロン姿になった依は僕の耳元でそうつぶやいた。
そういえば、奧からかすかに人の気配がする。
あと、「仕事中」って折越さん靜かなのか、意外だ。
そして相変わらず依は近い。昨日の夜の事があるから、ミルク飲むのがすごいドキドキイベントになってしまった。う~む。
「この後、急子會(議)なんだよね。あの子の事とか、いろいろね。あ、暖斗くんも何か意見があったら稟議(りんぎ)出すよ」
本當に依は忙しいな。心配だ。
他のパイロットが、全員MK癥候群にならなかったのは朗報(依にとっては)だったけど、そしたら次は負傷した民間人――と。
そうだ。稟議書だすほどのことじゃないけど、みんなに伝えとく事はあった。それを依に頼んで―――、結局、若干ながらMK癥候群が発癥しているのは事実なので、ミルク一本で寢落ちしてしまった。
昨日からハードワークの依が心配だけど、眠気に勝てなかったなあ。
*****
「# AI搭載全自型最新鋭戦艦を、ガチ素人の中學2年生16人で廻してミタ」
「咲(ひなた)。何そのサムネみたいな言い回し」
醫務室の隣の食堂。子(こごい)莉(ひかり)が渚咲に小聲で話しかけた。
「でもまあ、ここまでまあまあ、大過無く旅を続けてこれたわ」
「運営が優秀だからよね。そこは謝ね」
「とはいえ、戦場では不測の事態は常に起こる。頭が痛い所だけど、艦長役として、しっかり差配(さはい)しないとだよ」
子は、厳しい表で腕を組む。
「莉もだんだん、というか、艦長の威厳がついてきたんじゃない?」
葵は口角を上げると、つん、と子の肩をつついた。
「遅くなりました」
ドアを開け、逢初(あいぞめ)依がってきた。子が立ち上がり、傍らの渚と目配せしてから、聲を出した。
「揃ったわね。じゃあ、第4回子會議を始めます」
子は食堂を見まわした。
※「子會議も4回目とは。毎回何話してんだろ?」と気になる そこのアナタ!!
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