《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第42話 咆哮①

「その手は、何のためにあるのか?」

地面に突っ伏す僕の脳裏に、突然、きれいな夕焼けが浮かんだ。

‥‥そうだ。

あの、鳴沢さん家からの帰り、父さんが僕に言っていた言葉だ。

‥‥‥‥そうだ!

為すべきものをさずして、何が男か。

「うおおおおおおおお!!!」

僕は吠えた。力の限り。そして「それ」は呼応した。

ギャギャギャギャアアアァァ‥‥‥‥ン!!!

僕の目の屆かない後方、僕の機、「パラセクノ・エリュトロン」が、その心臓(エンジン)から、獣の咆哮を上げた。

砂塵が舞い、稲が走る。

Bot達は、それに警戒せざるをえない。

「うぐ‥‥ああ‥‥ぐぐ」

その間に、全の激痛を我慢して、なんとか隔壁縦席に転がり込む。席になどつけない。転がり込んだまま、ただ『右手』だけを、青いパネルに置いた。

「たのむ、認証してくれ‥‥‥‥!」

かない。かせても激痛。戦闘行為は不可能。なら、――――もうこれしかない。

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「ピー」

認証音とともに、席の計に明かりが燈る。――ギリ行ける!

これで、戦う!

「うああああ!」

依(えい)を摑んだBotに近接する。

ハッチを閉めれないから、ガラ空きのままだ。

さいわい、このDMTを警戒して、依を取り落としていた。

もう、ただのまま毆るだけだ。

依が怪我したらどうすんだ! 何すんだよ! なんでお前がいんだよ! あああ!?」

押しこんで依から離れてから、わめきながら夢中でBotを毆った。回転槍(サリッサ)の柄――回転しない方で。

持手の柄が粘土みたいにみるみる変形していったが、Botもベコベコにしてやった。

コ~ン!

砲撃を盾(アスピダ)でけ止める。案の定、最後の1機が砲撃してきた。さっきと同じ方角だ。

そもそも、村の前は緑が多め、といっても、小型Botが隠れる草木は限られてる。

しかも小口徑の実弾だ。

「突撃(アサルト)」

ハッチが開いたままだったけど、かまわず突撃した。砲撃は盾でしのいで、敵を、その盾でそのまま押しこんだ。プロテシスパネルでの縦だから、大雑把な縦しかできない。

今度はちゃんと回転した槍――刃部の方――をぶち込んでやった。裝甲の切削とか部機の焼けた煙が空いたままのハッチからってきて、ゲホゲホとむせた。

むせるたびに激痛だからキツかった。

ずいぶん後になって、「ハッチ開けたまま狙撃手に突撃(アサルト)したのは、軍ではキミが最初で最後だろう? ハッチを狙われたら、キミ片になってたぞ?」って怒られたけど。

知るか! そんなこと。

「暖斗(はると)くん。無事か? う~わ!? なんだこの現場!」

ようやくドローンで現著した麻妃は驚いていたが、依を見つけて保護する段取りをし始めてくれた。

晴天だった空が、にわかにる。雲だと思ったのは、戦艦ラポルトの影だった。

影は覆っていく。

DMTの中で転がる僕を。

震える依を。

*****

アピちゃんは無事だった。

のいた場所は、家の奧の方の床下収納だったそうだ。

Botが見えたので、親に教わった通りそこにを潛めていた、と。

依も艦に戻って、僕もDMTと共に帰艦した。

僕は、僕を醫務室へ運ぶベッドが來るまでの間、七道さんにお説教された。回転槍(サリッサ)を回転させずに鈍として使ったのは相當ダメだったらしい。しかも柄の方で毆ってるし。

そんな事をすると刃部を柄に固定している「チャック」という部品が痛んで、回転させた時に軸ブレを起こしてしまうそうだ。「チャック」は超部品なので、艦のCAD/CAMでは作れないんだよ云々。

あと、隔壁縦席に切削塵と煤煙がったのも、MK治ったら自分で掃除しろ、と言われた。

ベッドが來た。介助には、初島さん、來宮さん、折越さん、浜さん、がついてくれた。そのままDMTから擔ぎ出されて、ベッドで醫務室へ向かった。

でも、どうするのだろう。

いつもなら、依が引き継いで、ミルク&睡眠なんだけど。依は責任が強いから、無理してでも僕の介助をしようとするかもしれない。を見て無理そうだったら止めよう。

ミルクは、他の人だと嫌だけれど、しょうがない、麻妃にでも頼むか、なんて考えていたが。

「‥‥‥‥て下さい‥‥‥‥」

醫務室へって、4人の子が介助の準備をしてくれようとしたけれど、何がどこにあるかは依しかわからないばかりみたいで苦戦していたが、依の「赤ちゃんプレイマニュアル 暖斗くん編」を見つけて、何とかなりそうだという事になった。

名稱!

「あ、桃山さんは?」

「うたこは出撃しちゃったんで、今から著艦です」

と、浜さんが教えてくれた。

「‥‥‥‥すから‥‥‥‥ません」

あれ? となりの食堂から人の気配がする。大人數なじで。

醫務室のバックヤードは、食堂とつながってるから、人の気配とかが聞こえるんだよね。若干だけど。

「‥‥‥‥ちょっと待って。何だろ。なんか聞こえるけど」

「食堂っスね。となりは醫務室、患者がいるぞ、靜粛にしろいっと」

來宮さんが、そおっと食堂の様子を見てきて、戻ってから開口一番。

「マズいっス。暖斗くんも來てもらった方が」

ちょっと青ざめた表だった。

「え? 何?」

ベッドのまま、全員で行く事になった。

「ですから、それはこれから調べる事です」

珍しく、というか、そういう聲を聞くのは初めてだよね。子(こごい)さんが、聲を荒げていた。

僕ら男5人がると、食堂には、子さん、渚さん、麻妃、泉さん、仲谷さん、それに、依、が立っていた。

依は、の中央で、右手で左手の肘を持ってうなだれている。

そしてその前には、ドッカリと椅子に座る、滝知山さんがいた。

「‥‥いやあ、嬢ちゃんには酷だけどよ? そうなっちまったモンはしょうがねえだろうがよ?」

滝知山さん、もう今はみなでこっそり、「英雄(えいゆう)さん」って呼んでるけど。が、相変わらずのガラガラの大きな聲でしゃべっている。

僕達に気付いた渚さんが、ぶりでインカムを示したので、僕らもアノ・テリアに參加した。

「‥‥‥‥あのね。英雄さん達も、自分達のクルーザーでハシリュー村へ向かってくれたの。あっちにDMT置いてきてたし。で、村の口で『煙幕係』だったBot2機をクルーザーで追い払って、アピちゃんを家から助け出してくれたのよ」

そうか。それで後半の2機は、遅れて登場したんだ。さすが軍の人、さすが英雄、――――と、この時は思ったけれど。

「そうしたら、アピちゃんが、家に敵外國兵っぽい人がって來てて、そこに逢初さんも來た、みたいな事を言ったらしくて‥‥‥‥」

「え、ちょっと待って。依が、外國兵と‥‥‥‥!?」

僕のいっぱいに、イヤな予が充満した。

依は、僕の方を見もせず、ただ立ち盡くしていた。

それが僕の不安を、一層かきたてていた。

※咆哮。あるいは大きく。あるいは靜かに。々な対象が咆哮します。

ここまで、この作品を読んでいただき、本當にありがとうございます!!

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