《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第42話 咆哮②

食堂。

重苦しい空気の中、滝知山さんの聲だけがビリビリと響いていた。インカムからは渚さんの狀況説明。

「それで、逢初さんは最初否定してたんだけど、途中から認めるような事言って、英雄さんが、途中で話を翻すんじゃ、『スパイの容疑かけた方がいい』ってなっちゃって」

そういえば、Botは一貫して依を連れ去ろうとしていた。

でも、問答無用、というよりは、怪我をさせないようにふんわりと、というじだった。ビームも、砲撃も、僕が依と近接した時は撃ってこなかったから。

何か変だとは思っていたけれど‥‥。

英雄さんが、僕を見つけた。

「おう、小僧か。Bot片付けたんだって? やるじゃあねえか。來い來い。なんだ、ベッドなんかで。あ、おめえアレか? 特脳か?」

「あっ‥‥ハイ。‥‥えっと、特脳?」

インカムで、紅葉ヶ丘さんの聲がした。

「特脳ってのはね。MK(マジカルカレント)の古い言い方。特殊脳波発信者。オッサン語彙(ボキャ)が古いんだよ」

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「そ、そっか」

僕と4人の子も、英雄さんと依のに加わった。

「しかし嬢ちゃんは殘念だったな。小僧のヨメにでもなれそうだったのにな」

「‥‥ですから、まだ確定しておりません。これから調べる事です。白い煙幕の分も、渚學生が採取しております」

さんは、聲を震わせていた。必死の構えだった。

「だからな。それじゃあ溫(ヌリ)イんだよ! 嬢ちゃんがすでに篭絡されてたらヤベエんだ。まず獨房に監しねえと。仲間だって信じたい気持ちはこのオレだってわからあ。でもな。戦場でソレやっちまって、全滅した部隊もあるんだ。作戦上全滅じゃあ無え。文字通り全員戦死の方だ‥‥‥‥!!」

英雄さんは大聲でさらに力を込めて、腹にビリビリ響く聲で言った。

依は、うつむいて微だにしない。

は蒼白だった。

「あの白いケムリはな、ツヌ國の定番なんだよ。國境あたりじゃあ好き放題しやがるんだ。意識障害と催のガスだ」

「‥‥‥‥催!」

さんと渚さんの表がこわばる。

「小職もあのガスを吸いました。でも異常はありません」

「量によるんだよ。嬢ちゃんはたぶん、白いガスの中をあの家までさまよっちまった。敵兵が待ちける家になあ。どうだ? 急に気を失ったりしなかったか?」

その言葉に、依はビクッと肩を揺らした。

「逢初さん。‥‥違うならそう言っていいのよ?」

という子さんの言葉が、食堂に空しく響いた。

「だろ。こんな若い空で気の毒に。しょうがねえんだ。そんなもん撒いてた敵が悪いんだからな。敵に村ごと襲われた村とかなあ、への仕打ちはそりゃあ酷いもんだ。オレは戦地で山ほどそれを見て來た。それと比べりゃ、まあ、生きて帰って來られただけで良かったじゃあねえか。敵兵が何もしないわけはねえがな」

「!?」

「あ、あの、滝知山さん?」

「だってそうだろ。ツヌがあのケムリ使ったって事は『そういう事』さ。気を失ったを拉致したり、催剤で虜にして惚れさせるんだよ、手駒にするために。そこで口封じで殺されたりもあるんだぜ? 普通にな。だから、嬢ちゃんは運が良かった。そう考えな。人生前向きが大事だ。これからスパイとか言われるし、敵兵に抱かれちまったのは、まあ、命と換だった――と、割り切るんだな」

「ちょ‥‥‥‥抱か‥‥‥‥?」

「‥‥‥‥ち‥‥が‥‥もん‥‥」

依が口を開いた。聞き取れない、か細い聲で。顔を上げてもう1回。

「‥‥‥‥ちがうもん」

「ああ? 違う? どこがだ。嬢ちゃん最初は敵兵との接、全否定だったのに、村のガキの証言出てきたら會ったの認めたじゃあねえか。スパイ法が面倒なのはわかるけどよ。噓はダメだ。敵に抱かれたの典型じゃねえか。が湧いちまったんだろ? 嬢ちゃんが変な事しでかす前に、監しとかねえとなんだよ。それからだ。それからゆっくり、の潔白を言いたいんなら言いな」

僕は、絶句するしかなかった。敵兵? スパイ? 抱かれた? 依が!?

噓だろ、と何度も反すうした。口が乾いていた。

「うわああああん!」

依が泣き出した。

僕は、依の聲が大好きだ。高くて、き通っていて、しとやかで、甘い。

そんな、の子らしさを凝したような聲が、今は悲しみのに染まって、この部屋に響いている。

「ちがうもん! ‥‥‥‥そうじゃないもん!」

のように、両手で顔を覆い、その場に泣き崩れる。最後の力を振り絞ったような、大きな聲だった。

火傷した時の赤ん坊の泣き聲に近い。

その聲は、薄暗い食堂の天井に當たり、殺風景な壁に跳ね返り、んな所を反響しながら僕の耳に屆いて、その鼓を激しく叩いた。

僕は、――――キレた。

「‥‥取り消して下さい。‥‥依に謝ってください」

※「暖斗よく言った! これぞ靜かなる咆哮! 依を守れ!」と思った そこのアナタ!!

ここまで、この作品を読んでいただき、本當にありがとうございます!!

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