《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第42話 咆哮③
戦艦ラポルトのDMTデッキでは、桃山006番機が著艦を終了していた。
「詩(うため)ちゃん。お疲れ~」
デッキには、滝知山――英雄さん――のバディ、日金(ひがね)さん――付き人さん――がいた。
「え、何で日金さんが。っていうか、私の名前なんで知ってるんですか?」
「いやあ、カワイイ娘はすぐおぼえちゃうんだよな~。ホント」
「やだ、あはは。やめてください。滝(たき)知山(ちやま)さんに言いますよ?」
「そ~だね~。それはマズイから、この辺にしとこうかな? 今日のところはね」
「今日?」
「だって君の魅力を全部言葉にするには、半日はかかるよ? なくとも」
「もう! 兵隊さんてそんなノリなんですか?」
「はは。実はカワイイ後輩達にアドバイスがあってね。それでデッキにいるんだ。じゃ、またね」
日金はそう言って、整備用タラップを登って上階へいく。上には七道ら、メンテ3人組が日金を待っていた。
「‥‥『カワイイ後輩』って、もう。どうせ誰にでもカワイイカワイイって言ってるんでしょ? ああいう人は」
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桃山は両手を後ろに組んで、口をとがらせた。
「ははあ、じゃあ私らがやってたのは、學校実習用のメニューって事だったと」
そう言って、七道は腕を組む。
「そうだね。學校では仕組みを學ぶためにイチから基本を全部やるだろ? でも、現場、とりわけ戦場では、1機のDMTを戦場に送り出すだけで戦況が変わる。とにかく稼働率なんだ。その稼働率(すうじ)のためには使えるは全て使う」
パネルをりながら説明する日金の後ろで、多賀と網代がうんうんと頷いた。
「あたしらにその発想は薄かったなー。學校で習った事と違えたら、ヤバいんじゃないかって。ね。ゆづ」
「‥‥‥‥。ちーちゃん真面目。意外と」
「はは。それも大切なんだよ。ただ要は優先順位(プライオリティ)さ。一個の部品にこだわってしまって、部隊に必須裝備が屆かなかったら『作戦(オペ)は出來ない』って事になっちゃうよね? この表示窓(テュリス)をよく見て。脳波インターフェイス――プロテシスパネル――は調整が膽だ。校正(キャリブレーション)をマメに。ここは、中型(ケントロン)規格(イシス)の骨格(スケルトス)だけなの?」
「いえ、まだ」
七道が、デッキの奧を指さす。
「あっちにまだ、『開かずの扉』がいくつもあって。そこ中型(セミプレ)よりも大型(ハイプレ)くさいガワなんです」
「わかった。私の権限で開けれる所は、開けとこう」
「やった。新アイテムと強化裝備ゲットだあ~」
3人がハイタッチをする。それを気さくな笑顔で見守る日金の後ろから、桃山がひょっこり顔を出した。
「専門用語ばっかでわっから~ん♪」
「あ、詩ちゃん。何? まだカワイイって言ってもらい足りないと?」
「ちがいますっ。何してるのかな~って」
「ああ、詩ちゃんだけじゃなく、この3人はカワイイ僕の後輩だからね。千(ち)晴(はる)ちゃん。柚(ゆ)月(づき)ちゃん。‥‥‥‥あ、それと璃(り)湖(こ)ちゃんも」
「‥‥今ぜってーワザとだろ」
ふて腐れた七道を見て、全員で笑った。
*****
「実は、僕は海軍工科學校(こうか)出でね。みなと市では無く他県だけど。だから工科の子はみんな後輩みたいなもんなんだ。それで、この制じゃあ大変だろうから、れ知恵をしに來たのさ。教科書じゃなくて、現場の知恵を、ね?」
七道以下、3人は一斉に頭を下げる。
「「お世話になります。先輩」」
「うんうん。じゃ、S(シ)H(ュ)C(ク)R(ル)-N(ン)の研磨と充填行こうか。バリ取り、形態修正、研磨、中研磨、仕上げ。學校で習った通りが理想だが、戦場ではそうもいかない。5本全部の研磨バーを使わなくても、3本に端折(はしょ)ることもできるよ。バリ、、仕上げ、とね。あと、海外製だけど、ワンステップでから仕上げまでできる研磨材もある。粒子がどんどん細化するタイプだ。いざという時はこれで時短をするといい。それとCR充填は、気泡がネックだね。接著界面に度がらないようにする事と‥‥」
「は~。私ら績優秀でこの艦に選ばれたつもりだけど、戦場(げんば)はモノサシが違うわ。基本通りが正しいとは限らない世界か‥‥。そりゃそっか。戦列に間に合わせられない兵は無いと同じか‥‥‥‥なるほど」
七道が嘆息している。
熱心な日金と、そんなメンテ3人組を見て、桃山もなんだか楽しくなった。
何を言ってるかはぜんっぜんっわからないけど。
「なんだ。チャラい人かと思ったら、後輩思いのいい人なんですね。指導も的確みたいだし。七道さんがけに回ってるの、レア映像ですよ?」
「何? 今僕の事チャラいって言った?」
「あっ、聞こえちゃった。でもそう思ってましたけど、違いました!」
「いや、チャラいよ。オレ」
「あは。認めちゃうんかい」
「桃山」
「なに? 七海さん」
「邪魔。後にして」
「は~い。ごめんなさい」
桃山は3人に手を振り、日金に會釈して、その場を去ろうとする。
數歩歩いた所で、ふと思い出して、インカムを耳にれた。
「‥‥‥‥!?」
「‥‥‥‥どうしたの? なんで‥‥暖斗くんがキレてるの? ‥‥‥‥うそ!!」
桃山はメンテ談義の4人を振り返る。――まだ、誰も気づいていない。
食堂の異変に。
「ちょっと、みんなインカムつけて。全通信。日金さん、助けて!」
慌てて聲を掛けた桃山だが、自分の聲が震えているのがわかった。
※「日金さんイイ人じゃね~か。チャラいけど。桃山さんには手出さないでほしい」と願った そこのアナタ!!
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